“終戦の日”は国によって違う? 世界で異なる終戦の考え方を池上彰が解説
本日8月16日(土)放送の『池上彰のニュースそうだったのか!!』3時間スペシャルでは、よく耳にするけど意外と知らない戦争について基礎から解説していく。
今年は戦後80年。第二次世界大戦を振り返り、なぜ日本は戦争をしたのか? また、世界で異なる終戦の考え方など、戦後80年を迎えた今、知っておくべきことを池上彰が徹底解説する。
スタジオには、カズレーザー、片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、谷まりあ、都築拓紀(四千頭身)、浮所飛貴(ACEes)、深田竜生(ACEes)ら戦争を知らない若い世代のゲストにもわかりやすく、池上がひも解く。
◆世界各国の“戦後”の内情
放送日の前日、8月15日が日本では“終戦の日”とされているが、それは80年前のこの日に“玉音放送”があったからだという。
玉音放送とは、1945年8月15日に昭和天皇が「これ以上戦争を続けることはできない」と判断し、NHKのラジオ放送で国民に終戦を伝えた放送のことで、国民はこのときに初めて昭和天皇の肉声を聞いたそう。
また、日本では8月15日が終戦の日だが、世界各地で争いが起こっていたので、実は国や地域によって終戦の日が違うという。
たとえばヨーロッパでは、主にドイツを相手に戦ったので、ドイツが正式に降伏した5月8日としている国が多数。そして世界的に完全な戦争の終わりとなった日は、日本がポツダム宣言の受諾を決定し、降伏文書にサインした9月2日で、世界的にはこの日が終戦の日と認識されている。
今年は戦後80年ということで、日本では例年にも増して戦争をモチーフとした映画の公開やニュースで特集が組まれるなど、「追悼」「慰霊」「平和を祈る」という雰囲気になっているが、世界ではどうなのか? 各国を取材し、その内情に迫る。
日本と戦ったアメリカでは、意外と終戦の日を知らない人が多いのだそう。なぜなら、アメリカにとって、第二次世界大戦は“多くの戦争のひとつ”だから。
また、「原爆は必要だった」という声も聞かれるが、終戦直後に行われた世論調査では、原爆投下を支持する人が85パーセントに上ったのに対し、最近の調査では「正当化できる35パーセント」「正当化できない31パーセント」「わからない33パーセント」といった結果に。
終戦当時より割合は下がっているものの、それでも「正当化できる」と考える人が多いのも事実。しかし、最近は若い世代ほど「正当化できない」と考える人が増えているそう。
それは戦後、被爆者にいかにひどいことが起きていたのかがわかってきたことも理由のひとつにありそうだ。「今だからこそ、さまざまな意見が出ることもわかります」(谷)、「議論し続けることが重要」(片寄)とゲスト陣はこの結果を興味深く見守る。
第二次世界大戦を引き起こし、最終的に敗戦国となったドイツでは、降伏した5月8日を終戦の日としているが、強制収容所ごとに解放記念日を設けて、ナチスによる被害者への追悼も重要とされている。
このように、ドイツは“戦争の反省”を徹底して行ってきた国で、ユダヤ人大虐殺など自分たちが加害者だったことを隠さない、否定しない姿勢で戦後に国際社会から信頼を回復してきた。
ただ最近、ナチスへの考えが変わってきたことを示すデータが。「ナチスを思い起こさせ続けることが、健全な国民意識の醸成を阻んでいる」という今年1月に実施した世論調査で59パーセントがこうした考えに同意すると回答し、2010年の44パーセントから大幅に増加。
また、過去を反省することをやめて、もっと世界にアピールしていくことを謳い、反移民を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢」が支持を拡大。多くの国民はナチスの過去を繰り返さないことを当然と考えているが、いつまでも過去の反省ばかりでは前に進めないと感じる人も一部にはいるよう。
深田は「戦争で勝った国と負けた国とではぜんぜん捉え方が違うのですね」と大きくうなずく。
一方、中国では9月3日を「抗日戦争勝利記念日」とし、大規模な軍事パレードを行うなど、お祝いムードに。今年は80周年の節目ということで、習近平国家主席のスピーチやプーチン大統領、トランプ大統領も招かれるそう。
国民の多くは、軍事パレードの生放送を鑑賞。その背景には、日本軍が中国に行ったことや、それを守った共産党の偉大さを教える中国の“愛国主義教育”があり、若者の反日感情を育む結果に繋がっているとされている。
しかし、近年は日本のアニメやドラマなどのカルチャーに興味を示す若者も増えてきており、この事実を受けて浮所は「僕たち世代の若い人が、日本のことを肯定的に思ってくれているのは前向きだと思う」と感想を述べた。
また、韓国では8月15日を「光復節」という独立記念日とし、政府主催の記念式典やコンサートの開催、ソウルの光化門広場で大規模な集会やデモ行進が行われる。
しかし、Z世代のなかには「光復節」の本当の意味を知らない人も増加。ただの休日だと捉えて、日本に旅行に行くなどする若者も多いそうだ。
池上は「戦後80年、いろいろなことがありました。それを振り返る、あるいは知るということが大切ですよね。それと同時に、国によって立場が違うんだということを知り、それが平和を維持するということにも繋がっていくように思います。折に触れて、ぜひ戦争で何があったのかということを、知っていただければと思います」と語る。
※番組情報:『池上彰のニュースそうだったのか!!』3時間SP 知っておきたい!終戦80年
2025年8月16日(土)よる6:56~9:54、テレビ朝日系24局