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蝶野正洋、年末恒例のビンタは「毎年『やりません』って断っている」

©テレビ朝日

前人未踏のG1クライマックス5度制覇を果たし、NWA世界ヘビー級王座も獲得。数々のタイトルを手にし、スーパースターとしての地位を確立し、“黒のカリスマ”として絶大な人気を集めた蝶野正洋さん。

しかし、長年の過酷な試合で古傷の首は悪化。両膝と両肘の手術も行った。新しい生き方を模索し始めた蝶野さんは、プロレスだけでなく、テレビ、映画、CM、バラエティー番組にも進出。

なかでも『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)-「笑ってはいけないシリーズ」の「蝶野ビンタ」は毎年恒例の定番ネタとして名物コーナーとなっている。

 

◆蝶野正洋、今年はビンタをやらない宣言?

-年末の名物「蝶野ビンタ」をやらない宣言をされていましたよね-

「基本は毎年『やりません』って断ってるんですけど、結局やることになっちゃっていますね。もう恒例行事になっちゃっていますから」

-最初にテレビで見たとき、蝶野さんがビンタというのが驚きでした-

「俺は試合でもビンタなんてやらないですからね。俺はこれまで親に殴られたことも、先輩の猪木さんにたたかれたこともない。後輩への体罰もやったことがないし、自分の子どもに手を上げることも絶対にしません。

だから山崎君(月亭方正)をたたくことで初めてビンタを覚えたという感じなんですよ。基本的には、たとえばお笑いで頭をたたいてのツッコミとか、あれも俺は見ていて不愉快で、試合の中のビンタなんていうのも、まずやらない。プロレスはからだとからだがぶつかって見せていくものだから、ビンタなんて必要ないっていう気持ちなんですよ。

だから、ビンタは本意ではないんですけど、ただ、それが恒例行事みたいになっていて、みんなに楽しんでもらっているということなので、そこは割り切ってますけどね。でも、あれは当てる位置を意識して、なるべく危なくないように考えながらやっていますよ。まともにやったら、大変なことになりますからね(笑)」

-年末恒例として浸透しましたからね-

「そうですね(笑)。もう10回か11回になるんですけど、何が面白いのかというと、山崎君の嫌がる仕草がやっぱり面白いっていうことがもうわかってるんで。だからそこをいかに引き出すかっていうことだと思ってやっています。

あの番組(ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!笑ってはいけないシリーズ)を見ている人は、俺のレスラー時代を知らない中高生とかも多くて、『ビンタのおじさん』と思われているみたいですよ(笑)」

©テレビ朝日

◆プライベートでは小学生2児の父

1991年にドイツ人のマルティーナさんと結婚。結婚15年目の2006年に長男、2009年には長女が誕生し、2児の父となる。

-お子さんは今、小学生ですか-

「小学校6年生と3年生です。まだちっちゃいです」

-送り迎えをされたりするんですか-

「駅まで朝の送りはいつもしています」

-お子さんたちはお父さんのことを何か言ってます?-

「いやあ、多分嫌なんじゃないですか。去年の3月までNHKのEテレの『天才てれびくん』という番組に出ていたんですけど、あの番組がバッチリ小学生向けだったので、小学校に行くといまだに『蝶野教官』とか、年末のビンタのことを言われるみたいで、恥ずかしがっていますよ。

上のお兄ちゃんは小さいときからからだが大きいので、幼稚園でも小学校でも、番長みたいになるんですけど、ただ、やっぱり低学年のときは上級生の男の子たちから名指しでそういうことを言われるのが嫌だったみたいです」

-蝶野さんに似てます?-

「どうでしょうね。でかいですよ。今、まだ6年生ですけど、背が180cmで体重は115kgぐらいかな。顔は小学生ですけど、高校生の柔道選手みたいなからだをしてます(笑)柔道をやってるんですけど、小学校の部活は定員が集まらなくて、たまに高校の練習や中学校の練習に呼んでもらって一緒にやっています」

-将来が楽しみですね-

「そうですね、続ければね。でも、夢はユーチューバーなんて言ってますからね(笑)」

-お嬢さんは?-

「からだは大きいんですけど、私立の子ってちょっと大人びているというか、意識が早いと思うんですよ。だから同じ学校の子に比べるとちょっと幼い感じ。ただ、近所の同じ年頃の子どもたちと比べると、ちょっとませている感じですね」

-お父さんのことはどんな風に?-

「『またテレビでこの間見たよ』とか言われるのが恥ずかしいんじゃないかなと思いますけどね。『天才テレビくん』のときなんかは、毎週何かキーワードを言って楽しませるコーナーがあったんですけど、うちの子どもたちは見ないんですよ。

だけど学校に行くと、必ずそれが話題になっちゃっていたみたいで。やっぱり自分が友だちの話題になるのは良いけど、親の話題が中心になるというのは恥ずかしいんじゃないですかね(笑)」

©テレビ朝日

◆蝶野正洋、飼い犬に手を噛まれた…

20年間にわたって4匹の猫を飼い、現在は2匹のブルドックを飼っているという蝶野さん。奥様が大の猫好きで、4匹の猫はすべて、野良猫や捨てられていた子猫だったという。蝶野さんと奥様の優しい思いが伝わる。可愛がっていた猫が年齢を重ね、糖尿病を発症した際には、蝶野さんがインスリンの注射を打ってあげていたという。

-猫4匹飼っていらしたそうですね-

「はい。最初は偶然、近所で段ボール箱に入れて捨てられていた子猫を見つけて連れて帰ってナナちゃんと名づけたんですけど、一日中鳴いているので、寂しいのだろうと思って、次の日に仲間の子猫を探しにペットショップに行ったんですよ。そしたら隅っこのゲージに入れられていた値段もついていない一匹の小さい赤ちゃん猫のチビちゃんが、家内に猛アピールしていて…。

20年以上前のことなので、保護猫のことは知らなかったんですけど、あまりのアピールに放っておけなくて2人で笑いながら連れ帰りました。その後でオスのトム君とメスのピーちゃんも同じように、行きつけのペットショップと動物病院で偶然に出くわして、結局野良ちゃん4匹と生活していました」

-病気で大変だったそうですね-

「トム君が長い闘病の末、亡くなって、ナナちゃんは老衰で、チビちゃんは糖尿病になって、自分がインスリンの注射をしてあげていました。具合が深刻な状態になったときにはもう高齢で、病院の小さなゲージで寂しく死なせるなんてかわいそうで、できませんでした。みんなが居る家の自分の居場所にいるのが幸せなんじゃないかなって思って…。

亡くなったのは午前4時くらいだったんですけど、俺がそばにいるときに眠るように息を引き取りました。病弱で糖尿病も患っていて短命じゃないかと心配していたんですけど、よく頑張ってくれました。大往生だったと思います」

-そうですね。現在は?-

「ブルドッグが2匹います。雄のブルース君と雌のローズマリーちゃん」

-2匹は仲良いですか-

「基本的には仲が良いんですけど、夢中になって遊んだりしているとバトルになっちゃうこともありますね。今年の1月も雪遊びをさせていたら、マジバトルになってしまったんですよ。それで制止しようとして手を伸ばしたら、咬まれたということもありました。

まあ、犬もわざとじゃないだろうけど、血がバーッと出て手のひらを貫通しましたからね。ビックリしました(笑)。興奮状態のときには気をつけないとね」

-昨年はドラマにも出演されていましたが、それも動物がきっかけだったと聞きました-

「役者の仕事は難しいので、基本的には断っているんですけど、『警視庁いきもの係』(フジテレビ系)には、自分の好きな猫(スコティッシュフォールド)がレギュラーで出ているし、ほかにも色々な動物が出演するということだったので出ました」

-立てこもり事件を起こす暴力団員でしたが、迫力がありました-

「いつもリングの上で同じようなことをやっていましたからね(笑)。ああいう役はやりやすかったですよ。猫との共演シーンがなかったのは残念でしたけどね(笑)」

©アリストトリスト

◆橋本真也選手の急死、救急救命活動がライフワークに

2005年7月11日、“闘魂三銃士”として、ともに一時代を築いた橋本真也選手が、脳幹出血で急逝する。まだ40歳という若さだった。盟友の突然の死をきっかけに、蝶野さんは救命救急の啓発活動に取り組むことに。

-橋本選手が亡くなって13年ですね-

「そうですね。訃報を聞いたときは何かの間違いじゃないかと思いました。亡くなる少し前に会ったとき、体調が悪そうだったんですけど、信じられなかったです。何かしてあげられなかったのか、助けられなかったのかって思いました」

-救命救急にさまざまな形で取り組まれていますが-

「橋本選手が病気で、『プロレスリング・ノア』の三沢光晴選手がリング上で(2009年6月)亡くなったのが一つのきっかけになっています。プロレス業界でもちゃんと選手管理を考えなくてはいけないという動きもあったんですけど、途中で頓挫してしまったりして…。

自分はちょうど新日本プロレスをやめた時期だったんですけど、業界内にいなくても何かできることがあるんじゃないかと思ったんです。それで救命救急の講習があることを知って受けて、東日本大震災の後には被災地を慰問で訪れたり、試合をやったりとか何回か足を運んだんですけど、消防、警察、自衛隊の活動は、結構ちゃんと報道されていたんですけど、その下で地域防災を行っている消防団という存在を知って。もちろん消防団の名前は知っていたんですが、自分はその活動をよく理解していなかったんですね。

東日本大震災では消防団の方が250人近い人が亡くなったという話を日本消防協会の方から聞きました。そのことはあまり報道されていないし表に出ていないんです。消防団の方は“自分が自分が”と表に出ずに、裏方に徹している人が多くて。

自分としては、体を張って地域を守っている消防団の人たちの活動を社会に知らせたいし、住民の人たちは消防団をはじめいろんな人に支えられているということを理解してほしいなと思っています」

-実際に活動されていかがですか-

「国とか役所、市町村は色々なルールを作ることだけは上手なんですけど、そうした防災のガイドラインが市民までは伝わっていない。そういうことが、AEDと一緒なんですよね。『公助』が定めている防災マニュアルは、前もって知識として入れておくだけで被害はかなり減ると思います。これからは防災から減災。まず自分の身を守る『自助』意識を高めて、その上で『困っている人を助ける』という『共助・自助』の意識を高めていければ」

-確かに、AEDの設置箇所は多くなっていますが、実際にそれを使えるかというと難しいですからね-

「そう。防災にしても救命にしても、どんどん変わるんですよね。今は119番にかけたら、次にAEDも同時に持ってきて、必要じゃなくてもセットする。もしかしたら突然、心臓が止まるかもしれないというので。だから『AEDはもうマストで119番とセットです』っていうようなことも、多分伝わってないと思うんですよね」

-だからこそ、蝶野さんのようなお名前がある方が取り組んでいると広く知られるきっかけにもなりますね-

「それでメディアとかで取り上げてもらえるんだったら、俺は『客寄せパンダ』で良いと思ってるんですよ。救命措置が必要な現場は、救援を待つまでの間、民間での対処対応が求められています。救急車が到着するまでの空白の時間が生命を大きく左右することがあるので」

-5月23日には「ももいろクローバーZ」の東京ドームライブにも登場されました-

「2日間とも5万人以上集まるんだからすごいですよね。若い人から高齢の方まで世代も広いですし、その人たちが救命救急に興味を持ってくれたら良いなと思います」

蝶野さんは2014年に「一般社団法人ニューワールドアワーズスポーツ救命協会」を設立。自ら代表理事をつとめ、より多くの人に「地域防災」の理解を深めてもらうべく、様々な情報発信を行っている。

今後は新たな取り組みとして、アパレルブランドとマネージメント事業を行う「アリストトリスト」とNWHの関係強化、AED救急救命活動の啓発をより強めるための新ブランドを立ち上げることも決定。タレント活動に加え、救急救命・地域防災の普及啓発に燃えている。(津島令子)

※『夢のみち2018』蝶野正洋トークショー&AED体験イベント
8月17日(金)12:30~13:00(予定)※入場無料
新宿駅西口広場イベントコーナー(新宿西口地下1階)