バスケ日本代表最年少、ジェイコブス晶。“1週間の冬休み”から激変した人生…成長の源は「自分を信じる力」
8月5日(火)よりサウジアラビア・ジッダで開催される「FIBAアジアカップ2025」。
54年ぶりとなるアジアの頂点を目指すバスケットボール男子日本代表の注目選手を紹介。今回は、ドレッドヘアがトレードマーク、ジェイコブス晶選手(21歳)だ。
昨年行われたパリ五輪、チーム最年少となる20歳で代表メンバー入りを勝ち取ったジェイコブス選手。彼の選手キャリアは、およそ5年前の“ある決断”から劇的に変化していった。
日本人の母とアメリカ人の父のもと横浜で生まれたジェイコブス選手は、生後間もなくアメリカへ渡り、育ったのはカリフォルニアの地。NBAプレーヤーを目指し少年時代からバスケに明け暮れてきたが、アメリカで注目を集めることはなかった。
そして16歳だった2020年の冬。ジェイコブス選手は日本にいる祖父のもとを訪れる。
当初は冬休み中の1週間の滞在予定だったというが、当時コロナ禍でアメリカではほとんどバスケが出来なかった一方、日本では体育館を使うこともでき、またアメリカで上手くいっていなかった現状をリセットして新しく始めたいという思いから、家族に「日本に残りたい」と伝え、そのまま日本に引っ越すことに。
この決断が、ジェイコブス選手のバスケ人生を大きく変える。
日本に住むことになり、まずはチーム探し。“ネット検索”で見つけたのは、Bリーグの横浜ビー・コルセアーズだった。
ユースチームに応募し入団テストを受け、これに合格すると、それから1年も経たない2021年夏にはトップチームと特別指定選手契約。同年11月には、当時最年少となる17歳7カ月でBリーグデビューを果たした。
そして翌2022年にはU18日本代表に招集、アジアの有望な若手選手を集めた「バスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズ・アジア・キャンプ」へ参加、さらに世界中からNBAを目指す有望選手を集めたオーストラリアの「NBAグローバルアカデミー」へ加入。
続く2023年は、日本代表過去最高のU19ワールドカップベスト8に貢献、日本代表初招集、NCAA(全米大学体育協会)1部のハワイ大へ進学。そして2024年、パリ五輪出場。
来日からの4年間で、ジェイコブス選手は自身のバスケ人生を文字通り“激変”させたのだ。
©日本バスケットボール協会
2020年の冬、当時のジェイコブス選手はアメリカでバスケキャリアが上手くいっていなかったが、母・恭子さんは息子の努力をいつも見ていて、来日にあたり、努力をすれば誰かがいつか見てくれてその努力は報われると伝え、「どこに行っても頑張るんだよ」と背中を押してくれたという。4年間での成長と激変を支えた、まさに原動力といえるだろう。
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◆「なんで僕は自分のことを信じないんだろう」
ジェイコブス選手にはまた、自分を変えてくれたもうひとつの“言葉”があるという。
身長2メートル超で体重は100キロ。豪快なダンクに3ポイント、ドライブで仕掛けることもできるオールラウンダーのジェイコブス選手。
ハワイ大では、2023-24シーズンはリーグ戦平均出場時間7.2分で平均得点は2.6点だったが、在籍2年目の2024-25シーズンは平均出場時間18.9分、平均6.9得点を記録。着実に成長を遂げ、25年4月にはハワイ大を離れ新天地フォーダム大での挑戦も発表している。
そんな飛躍のきっかけとなったのが、昨年夏、パリ五輪メンバーを争っていた直前の強化試合・韓国戦だ。
この試合で3ポイントを期待されていたジェイコブス選手だったが、前半の3ポイント成功は4本中0本だった。
ハーフタイム、声をかけ激励したのは、トム・ホーバスヘッドコーチ。ジェイコブス選手は振り返る。
「ハーフタイムに自信がなくなって、でもトムから一言、“打ち続けるんだよ”と言われて。まだ信じてくれているんだって。コーチがここまで信じてくれているなら、なんで僕は自分のことを信じないんだろうと思って」
この言葉を背にジェイコブス選手は後半も3ポイントを打ち続け、後半では5本中3本を成功。自分を信じる力で、当落線上からパリ五輪への切符を掴み取った。
アジアカップに向けたインタビューの中で、「自分の中で自信をなくしてるっていう場面はもうない。役割はシューターだけじゃない。もっと強くなってるし、もっと速くなってる。次の代表に行ったときは進化をみせたい」と断言し意気込むジェイコブス選手。
激変した4年間を経て、さらに成長を続けている姿をアジアカップで見られるのが待ちきれない。
※放送情報:「FIBA男子アジアカップ2025」
テレビ朝日系列地上波・ABEMAにて生中継
8月8日(金)よる8時 グループステージ第2戦 日本×イラン
8月10日(日)よる7時58分 グループステージ第3戦 日本×グアム
8月12日(火)準々決勝進出決定戦 ※日本進出時
8月17日(日)決勝/3位決定戦 ※日本進出時