西野ジャパン、8強の夢破れても日本流を確立!海外メディアも前評判を覆す大善戦に賛辞
日本サッカー史上初のベスト8まで、あと一歩。壮絶な逆転負けだった。サッカーW杯の日本は2日(日本時間3日)、決勝トーナメント1回戦で優勝候補のベルギーに2-3で敗れた。
後半に入ってMF原口元気(27)が先制ゴール、MF乾貴士(30)が強烈なミドル弾で追加点を挙げながら、疲労と勝利へ引き気味になったところを、土俵際で底力発揮の「赤い悪魔」に突かれ、立て続けに失点。最後はアディショナルタイムに痛烈なカウンターを食らい、決勝点を許した。
試合後、乾は泣きじゃくり、MF香川真司(29)はピッチに倒れ、天を仰いだ。西野朗監督(63)は試合直後「ワールドカップの怖いところでしょうか。何が足りないのか」と語り、会見では「本気になったベルギーに対抗できなかった。最後にコーナーキック(CK)のチャンスから、スーパーカウンターを受けるとは思わなかった。紙一重の勝負。善戦するだけではなくて、勝ちきらないと」と悔しそうに振り返った。
夢は破れても、ロシアの激闘は日本サッカー界にとって大きな一歩となったはずだ。
開幕2カ月前に監督が交代する緊急事態を乗り越え、チームは西野監督の下で団結。1次リーグでは格上のコロンビア(2-1)、セネガル(2-2)に真っ向勝負を挑み、同最終戦のポーランド戦(0-1)では先発を6人交代させて主力温存、終盤の「時間稼ぎ」は世界中の批判を浴びながら“したたか”にグループリーグ突破。そして世界ランク3位のベルギーから3度目の決勝トーナメントで初めて得点を奪い、前評判を覆す大善戦で海外メディアの賛辞を受けた。
バヒド・ハリルホジッチ前監督(65)が否定した「ポゼッション(ボール保持)」を認め、つなぎと速攻を織りまぜた日本流のサッカーが確立された。ベルギー戦の先制点はMF柴崎岳(26)の鋭い縦パスから、献身的に走った原口のカウンター攻撃。国際サッカー連盟(FIFA)の公式サイトでも絶賛された2点目の乾のスーパーゴールは、香川のコンビネーションで生まれたもの。欧州組は、前指揮官が求めていた「デュエル(1対1)」の強さも示している。
華麗なパスサッカーで2010年南アフリカ大会を制した「無敵艦隊」スペインは、決勝トーナメント1回戦で敗退。ポゼッションの進化系「プログレッション(前進)」で2014年ブラジル大会優勝のドイツは、1次リーグで姿を消した。戦術がどんどん進化するなか、日本人の俊敏さ、粘り強さ、組織的で勤勉なプレーを生かした「侍サッカー」は輝きを放ち、原口は「日本代表として進むべき道、こうやって行こうという一つは見えた」と話した。
敗戦後、MF本田圭佑(32)が「今回が最後のW杯」と代表引退を示唆。「おっさんJAPAN」(開幕時の平均年齢28.3歳は6大会で最年長)とも皮肉られた日本代表は、先を見据えた世代交代の時期を迎える。
西野監督の続投も報じられるなか、主力は大幅な入れ替えも。4年後のカタールW杯は、今回の代表メンバーでもあるMF大島僚太(25)、DF遠藤航(25)、DF植田直通(23)ら2016年リオ五輪世代の成長に期待だ。
また2020年東京五輪世代のFW堂安律(20)、U-19日本代表としてロシアW杯にサポート帯同したFW久保建英(17)らの将来性を見込んだ抜てきも可能性あり。“ロシアの財産”が彼らに引き継がれていく。
新生ジャパンの初陣は9月7日、札幌ドームで行われる国際親善試合になる。