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【WRC】第6戦、トヨタ連勝なるか? エース・ラトバラ優勝経験ありのポルトガル

5月17日~20日、WRC(FIA世界ラリー選手権)の第6戦「ラリー・ポルトガル」が開催される。前戦ラリー・アルゼンチンに続き、グラベル(未舗装路)ラリーだ。

©TOYOTA GAZOO Racing

日本とは1543年とされる“鉄砲伝来”からの繋がりがあるポルトガル。1557年にポルトガルがマカオの居留権を手にしたことで、より日本との貿易がしやすい環境となり、南蛮貿易を発展させていった。

そのため、長い歴史のなかで、ポルトガル語の語源がそのまま日本語になったものも数多くある。例えばカボチャはカンボジア経由でやってきた野菜の名称であり、天ぷら、バッテラ、カステラ、金平糖、タバコ、シャボン玉のシャボン、おんぶ等々、これらはほんの一部でしかない。それほど、日本とポルトガルとの歴史は長いということだ。

©TOYOTA GAZOO Racing

ラリー・ポルトガルが開催されるのは、そんなポルトガルの第二の都市であるポルト周辺。ポルトの旧市街は世界遺産に指定されており、日本からも観光客が多く訪れる観光地として有名だ。

特産品でも、アルコール分を強化した長期保存可能なポートワインが有名で、映画『ハリー・ポッター』シリーズのファンであれば、ポルトにあるポルトガル最古の書店「レロ・イ・イルマオン」は外せない。原作者であるJ・K・ローリングは英語教師時代にポルトに住んでおり、この書店内に以前あったカフェをよく訪れていたという。同書店の美しい内装が『ハリー・ポッター』の世界観に活かされたことは有名だ。

さらに、宮崎駿氏が監督したスタジオジブリ作品『魔女の宅急便』も、このポルトが街の設定だったと言われている。主人公の魔女キキが地図を手に街の空を飛ぶシーン、彼女が持っている地図は、明らかにポルトの街を思わせる地図なのだ。

 

◆ラトバラがラリー・ポルトガルを語る

話をラリー・ポルトガルに戻そう。

今年の開幕以降、優勝者はセバスチャン・オジェ(フォード)、ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)、オジェ、オジェ、そしてオット・タナック(トヨタ)と続いた。すでに3勝をあげている王者オジェが有利な立場でチャンピオンシップを戦っていることは明らかだ。それをヒュンダイとトヨタが追う展開となっている。

王者オジェは昨年のラリー・ポルトガルも優勝しており、実にここでは通算5勝という相性の良さを見せる。それだけに、リタイアなどで大きく後退することは考えにくい。となると、実力でオジェを上回り、より大きなポイントを獲得する必要がある。

その可能性を秘めているのが、ヒュンダイのヌービルとアンドレアス・ミケルセン、トヨタのタナックとヤリ‐マティ・ラトバラ、そしてシトロエンのクリス・ミークだろう。ラトバラとミークは、ここラリー・ポルトガルで優勝した経験もある。また、ここに挙げた5名のドライバーは誰もがグラベル(未舗装路)ラリーを得意としている。

©TOYOTA GAZOO Racing

ラリー・ポルトガルは、どんなラリーステージなのか? ラトバラが語った。

「ここの路面はソフトな表面だけど、その柔らかな部分の下側はより硬い路面が隠れているから、ソフトすぎて路面をタイヤが掘りすぎるということはない。だから、マシンをプッシュできるグリップレベルがあるんだ」

このように、走りやすく比較的高速なラリーになると解説した。

 

◆「間違いなく飛んでいた」見どころのジャンプ

ラリー・ポルトガルは、木曜日夜に街中で行われるスーパースペシャルステージと呼ばれるSS1からスタート。金曜日は8ステージ、土曜日6ステージ、日曜日5ステージの全19ステージを予定している。

金曜日のメインとなるのは、SS7「ポンテ・デ・リマ」と呼ばれるステージ。ラトバラは、このステージは“レッキ”と呼ばれるペースノートを作る練習走行がとても重要だと語る。

「ここは路面の表面がソフトなので、その下側に隠れている路面の状態がどうなっているのか、レッキでしっかりと調べる必要があります。所々に岩のように固くなっている場所が隠れているからです。走りやすくスピードも出せるぶん、そうした隠れた路面に足元をすくわれるステージなんです。私も昨年、マシンをひっくり返しました。そうした出来事が起きるステージなんです」

©WRC

そしてもうひとつの見所が、日曜日の最終ステージであるSS19「ファフェ」だろう。風力発電の風車が数多く立ち並ぶなかを走り抜け、パワーステージ最後の最後に訪れる大ジャンピングスポットがある。昨年の“WRCジャンプ・オブ・ザ・イヤー”には、このファフェの大ジャンプを初めて走ったトヨタのエサペッカ・ラッピのジャンプが選ばれた。

ラッピは、「あの大ジャンプ、間違いなく飛んでいた。テイクオフの気分だったよ。そして、どこまでこのジャンプは続くんだろうと感じたジャンプだった。激しい着地をして、次のコーナーを無事に曲がれたとき、自然と笑いが出てしまったよ」と語っている。

そしてラトバラは、このステージをこう解説する。

「ステージの序盤は、ここは難しいテクニカルなステージです。それが徐々に高速な区間へと移行していき、最後のほうには本当に多くの観客の姿が視界に入ってくる。それと同時にどんどんアドレナリンが出ていくのが感じられ、最後の大ジャンプに向かってドライバーも盛り上がっていくステージなんです」

このように人気ステージの魅力を話している。

©TOYOTA GAZOO Racing

木曜日のSSS1は、午後7時3分スタート予定。日本との時差は8時間あり、金曜日午前3時3分スタートとなる。トヨタはラリー・アルゼンチンに続き、連勝を飾ることができるか。注目が集まるラリー・ポルトガルは間もなくスタートする。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>

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