昭和の名作家・山崎豊子の“生誕100年”を記念し、山崎の初期の代表作であり直木賞受賞作でもある『花のれん』がドラマ化され、3月8日（土）に放送された。

原作は“日本エンターテインメント界の母”ともいうべき吉本興業の創業者・吉本せいさんをモデルに、ショービジネスに人生を捧げたひとりの女性を情緒豊かに描き上げた傑作小説だ。

ドラマでは明治から昭和の激動の日本を駆け抜けたヒロイン・河島多加を北川景子が熱演し、束髪や着物姿を披露。

さらに、“ダメ夫”の河島吉三郎（伊藤英明）に振り回されながらも「嫁ぐ相手は生涯ただ一人」と決意を示す多加のワンシーンは惚れ惚れしてしまう展開だった。

【映像】河島多加（北川景子）の強さが感じられる葬儀シーン

◆「あんたの夢が叶いましたで」

呉服店の主人・吉三郎のもとに嫁いだ多加。しかし吉三郎は三度の飯より寄席通いが好きで、やがて派手なふるまいに拍車がかかり店は火の車になっていく…。

そこで多加は「そないに寄席や芸事が好きやったら、いっそのこと寄席でも商売にしはったらどうだす」と、吉三郎を一喝。

そこから多加と吉三郎は寄席小屋を開き、紆余曲折ありつつも経営は軌道に乗っていく。

しかし多加が日々寄席小屋の運営に奔走するなか、吉三郎が今度は愛人を作り…。しまいに吉三郎は、愛人・おしの（渋谷凪咲）との同衾中に心臓麻痺で亡くなってしまった。

あまりにも甲斐性なしの吉三郎だったが、多加は彼の葬儀で“嫁ぐ相手は生涯ただ一人”という意味を持つ白い喪服を身にまとう。そのまま粛々と葬儀を進める多加のシーンは、北川景子の凛とした演技も相まって決意の強さを感じさせる一幕だった。

さらにその後、多加が粘り強い交渉で寄席小屋を入手して“花菱亭”と染め抜いた花のれんを掲げるシーンでは「あんさん、やっと一流の小屋を手に入れましたで。あんたの夢が叶いましたで」と亡き夫に感慨深そうに呟く場面も。

最悪な形で夫に先立たれた多加が、それでも夫の夢を叶えようとしていく姿は懐の深さを感じさせる。

しかし順調に商いを進めていく多加だったが、日本はやがて戦争に突入していき…。

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※番組情報：『花のれん』