特許技術も開発する“研究者” 車いすバドミントンで13回の日本一、長島理選手
2020年に開催される東京パラリンピック。同大会に新競技として入ることになった種目のひとつが、「車いすバドミントン」だ。
この競技には、メダル獲得が強く期待される日本人選手がいる。長島理(おさむ)選手だ。
大学時代、20歳の頃に自動車事故で脊髄を損傷し車いす生活となった長島選手。辛い寝たきりやリハビリ生活を超えた後、彼は車いすバドミントンに出会う。
「車いすのバドミントンに出会って、1回殻を破って再成長することができた」――仲間の支えもあり、中学の頃に部活で始めたバドミントンを“再開”した長島選手は、そこから大きく飛躍。日本一には実に13回輝き、世界選手権でも4つの銅メダルを獲得してきた。
2020年東京での目標は、もちろん「金メダル」だ。
◆後ろ向きでも驚きのコントロール
車いすバドミントンの特性を簡単に説明しよう。
車いすバドミントンは、ネットの高さは基本的に通常のバドミントンと同じだが、コートの横幅は通常の半分となっている。そのためカギになるのは、前後の打ち分けだ。
そこで重要となってくるのが、長島選手自身が「イナバウアーみたいな感じ」と説明する、のけ反って打つショット。長島選手は、不安定な体勢からでも抜群のコントロールでどんどん得点を決めていく。
そして取材班を驚かせたのが、長島選手を含め世界で数人しかできないというスゴ技。それは、後ろを向いて打つ「ハイバック」だ。
完全に後ろ向きの状況から前に打つ、という車いすバドミントンならではのこの技だが、長島選手はここでもコントロール抜群。取材時にはなんと、反対側のコートの端に置かれた12m先のバケツに、ハイバックで打ったシャトルをなんなく入れてみせた。
このパフォーマンスひとつからも、積み重ねてきたとてつもない練習量と競技への研究の成果がうかがえる。
◆研究者として特許技術も開発
そんな長島選手は、実はまさに“研究者”でもある。
車いすバドミントンで選手として活躍しながら、普段は株式会社LIXILに研究者として従事しており、トイレを汚れにくくするコーティング技術を研究。特許技術を開発したこともあり、業務面でも大きな実績を残している。
「コツコツやらないといけないのは、バドミントンも研究も一緒」と語る長島選手。東京パラリンピックでは金メダルを目指しているが、2020年から初めて車いすバドミントンがパラリンピックの競技になると聞いたときの気持ちはどうたったのか?
「SNSとかLINEとかで、“どうやらパラリンピックの種目になったよ”みたいな連絡が入ってきて、『えっ嘘だろ』ってちょっと思ったんですけど、調べたら実際にそうなっていまして…。全身に鳥肌が立ったって感じでしたね。
もちろん嬉しいですし、これから本当に自分たちの番だっていうのは思ったんですけど、ただ、そこ(パラリンピック)に向けて世界がガラッと変わるなと。みんなパラリンピックを目指して血眼になって戦うと思ったので、これからが本当の勝負だなっていうことを思い知らされた瞬間でもありました」(長島選手)
自身の実力について、「金メダルを獲れる実力があるかというとまだまだ足りない」と話す長島選手。これから2020年に向け研究と練習をコツコツと積み上げていき、本番ではどのようなプレーを見せ、どのような結果を残してくれるのか。楽しみに応援していきたい。<制作:TOKYO応援宣言>
※番組情報:『TOKYO応援宣言』
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