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【王者決定】セバスチャン・オジェ(VW)が史上3人目のWRC4連覇を達成!

10月13日から始まったラリー・カタルーニャ。

シーズンも残り3戦となるなか、昨年優勝したVWのアンドレアス・ミケルセン(VW)はイベント前に再び優勝への豊富を語っていた。

「天候も含めタフな週末になりそうだけど、想定内だし、再びこの地で優勝できると信じている。チャンピオンシップ争いは正直トップのセバスチャン・オジェ(VW)と差が開いてしまっているが、3位のティエリー・ノイビル(ヒュンダイ)との差はわずか15ポイントだから、2位を守ることも考えなくてはいけない」(ミケルセン)

このように、若きVWドライバーとヒュンダイドライバーが共に王者セバスチャン・オジェに挑戦する2016年シーズンとなっているが、ラリー・カタルーニャは、そんな若き挑戦者の夢を打ち砕くものとなった。

 

◆序盤は、地元の英雄・ソルドがトップに

13日の木曜日は、通常イベントとは違い、前日にバルセロナ市内で特設のSS1が開催された。

これはエキシビジョン的要素が強いこともあって、どのドライバーも無理はせず、トップ10が7秒以内に収まり無事終了。本番ともいえる金曜日に各車備えた。

14日金曜日はSS2からSS7までを開催。

この日トップに立ったのは、王者オジェでも、若きミケルセンやノイビルでもなく、地元スペインが生んだWRCドライバーであるダニ・ソルド(ヒュンダイ)だった。

33歳という円熟味も増したベテランドライバーは、ダート(未舗装路)とターマック(舗装路)が入り混じったSS2からSS7までを無理なくまとめてみせた。

「初日のグラベルというのは本当に難しいコンディションだからトップに立ててハッピーだよ。2回目に同じルートを走行したときは、多少、コースが(走行によって)作られていて走りやすくはなっていたね。マシン状態も良いし、なによりリーダーというのは気分がいい」(ソルド)

初日のグラベルが終わると、土曜日と日曜日は完全なターマックでの勝負となった。

とくに土曜日は昨年から2箇所SSルートに変更があったことで、大きな順位変動やマシントラブルやクラッシュなどによるリタイアが予想されただけに、土曜日をどう勝負するのかが各チームの腕の見せ所となっていた。

 

◆ミケルセンが不運のクラッシュ

土曜日はSS8からSS15が開催された。

この日不運に見舞われたのは、2年連続優勝を狙っていたミケルセン(VW)だった。SS12でクラッシュ。マシンは転倒、大破させてしまいリタイアとなった。

これによりチャンピオンシップ争いで2位の座を守ることも苦しくなってきた。それに対して、この日トップに立ったのは、4年連続王者を狙うオジェ(VW)。17秒差と、母国ラリーという地の利を持つソルド(ヒュンダイ)との差をひっくり返した。

「ターマックでもダニ(ヒュンダイ)が速いことはわかっていたし、彼も素晴らしいドライビングをしていた。でも、僕たちは各ステージで約2秒ずつと、ほんの少しだけ彼より速く走ることをマネージメントできた。でも、僕たちが得たリードはわずか5.8秒。決して十分ではないけど、リードがないよりあったほうがいい。後は、明日もプッシュして、とにかく勝利を目指すよ。ミケルセンのクラッシュだけど、まずはドライバーもコドライバーも無事で良かった。ドライバーズ・チャンピオンシップ争いがこれで楽になったとは思わない。それどころか、マニュファクチュアラー(製造部門)のチャンピオンシップは油断できない。ヒュンダイ勢が強いからね。彼らはシーズン後半に差を縮めてきたけど、なんとか彼らからタイトルを守りたいね」(オジェ)

 

◆オジェが偉業を果たす

そして迎えた最終日。残るステージは、SS16からSS19を残すのみとなった。リードしたオジェ(VW)が勝利すれば、4年連続王者を獲得する重要な日となる。

オジェ(VW)は、SS16でトップを取ると、SS17からSS19はすべて2位となり、安定した走りで見事総合優勝を果たした。

2位にはスペインの英雄であるソルド(ヒュンダイ)が15.6秒差で入り、3位と4位もヒュンダイ勢が占めている。

上位2台のポイントが加算されるマニュファクチュアラー・チャンピオンシップでは、1位と14位で29ポイントを獲得(総計322ポイント)したVWに対して、2位と3位で33ポイントを獲得(総計260ポイント)したヒュンダイが、その差を4ポイント縮めてきた。

この日総合優勝を果たしたオジェ(VW)は、これで4年連続王者となり、WRCレジェンドドライバーであるユハ・カンクネン(1986、1987、1991、1993年王者)やトミ・マキネン(1996、1997、1998、1999年王者)に並ぶこととなった。

「彼らと並ぶ成績を収めたことは本当に誇らしい気分だ。僕が5年前、このチームに移籍したとき、カルロス・サインツ(1990、1992年王者)が『よい移籍をした』と言ってくれた。彼は正しかったよ。チームと共に築き上げた4年連続のタイトルだ。今年はこれまでになくハードな争いだったと思う。夏場に勝利を上げることができずストレスも感じていた。いまはこれ以上ないくらいにハッピーな気分だよ」(オジェ)

一方、母国優勝を狙ったソルド(ヒュンダイ)にとっては、少々ビターテイストな2位となったようだ。

「金曜日は素晴らしかった。でも、その後は少し難しい状況になったね。2位という結果には満足している。でも、少し残念な気分であることも事実だ。僕たちはオジェに勝つべく挑戦したのだけど、ほんの少しずつ彼らの方が速かった。トップを彼に譲った後は、本当に少しずつ引き離されていった。最終日は僕たちもリザルトを残すべくリスクを取ることができなかったしね。ただ、母国ラリーとうことで、本当にファンに背中を後押しされた。すべてのステージで凄い応援だった。ファンには本当に感謝しているよ」(ソルド)

RC1の10位までの最終結果は以下の通り。

 

◇◇◇

これでシーズン12戦までを終えたWRC(編集部注:中国イベントは中止となり、ここまで実施した実イベント数は11戦)は、残り2戦、イギリスとオーストラリアを残す。

いよいよ大きくマシン規定が変わる2017年マシン開発と、WRCへのトヨタ復帰の足音が聞こえてくるなか、各チームがどのような戦いを見せるのか、2016年シーズン終盤もまだまだ目は離せない。

次回、イギリスで開催される『ウェールズ・ラリー』は、10月27日から10月30日を予定している。

文/田口浩次(モータージャーナリスト)

※写真はすべて©WRC/無断転載禁止です。

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