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「絶対金メダル獲ってやるからな」フィギュア鍵山優真、刺激し合う“同い年の親友”。切磋琢磨を続けた5年間の友情物語

2026年のミラノオリンピックで金メダルを目指すフィギュアスケーター・鍵山優真(21歳)。

12月5日(木)から始まるグランプリファイナルでは、初優勝を目指しリンクに上がる。

そんな鍵山には、お互いに刺激を与え合うライバルがいる。2024年のパリオリンピックで3冠を達成した体操の岡慎之助(21歳)だ。

テレビ朝日のスポーツ番組『GET SPORTS』では、夏と冬のオリンピックメダリストの間にあった、知られざる「友情物語」に迫っている。

◆高校入学以来5年以上、切磋琢磨

2024年夏、パリオリンピックのメダリストたちに喝采が送られたチャンピオンズパーク。その場所に、なぜか日本のフィギュアスケート選手たちが登場した。

2年前の冬季・北京オリンピック団体戦で、日本はメダルを確定させながらも、ロシア選手のドーピング問題により、授与式がお預けになっていた。それが夏のオリンピックを舞台に実現したのだ。

「2年半待ったのですごく嬉しい気持ちと、こうやって素敵な場所で開催してくださったので、ありがたい感謝の気持ちもある」

喜びを語った鍵山。北京オリンピック団体戦では男子フリーに出場し、日本の銀メダルに大きく貢献した。

思いがけず実現した今回のパリ訪問。実はこの地で、鍵山にとってもうひとつ思いがけない出来事があった。

鍵山:「高校の同級生の友だちが体操で活躍していて、やる気やパワーをすごくくれたので、次は僕が頑張らなきゃなと思いました」

メダル授与式の9日前に行われた体操・男子団体決勝。めざましい活躍で日本を金メダルへと導いた岡慎之助。彼こそが鍵山の高校時代の同級生だった。

鍵山と岡が出会ったのは、高校1年の7月。転校してきた岡とともに、競技報告会に参加したのが初めての顔合わせとなった。

当時の第一印象を聞くと…。

鍵山:「(岡は)小さくてかわいいです。僕も小さいほうなんですけど、岡くんは小さくてかわいいって感じでした。後から岡くんが高校にやってきて、そこから唯一の友だちみたいな感じで話すことが多かった。お互いアスリートとして共通する部分もたくさんありました」

岡:「初めて会った時は僕もあんまり知らなくて、先生から『スケートすごいんだぞ』って聞いて、こんなすごいんだって。(鍵山は)アニメが好き。僕は絵は描かないんですけど、彼は結構描いていた。サインの話とかめっちゃしていました」

提供:星槎国際横浜鴨居

その年の5月に、世界ジュニアで金メダリストになっていた岡。しかし、当時は名前を漢字で書いただけのシンプルなサインしか持っていなかった。

一方の鍵山は、洗練されたデザインのサインを既に持っていたという。

岡:「優真はめっちゃかっこいいサインを持っていて、『すごいな。俺ないんだよね』と言ったら、黒板に書いてくれました」

当時の2人の様子を、担任だった松下清喜さんが教えてくれた。

松下さん:「鍵山と岡は、よく黒板を使ってサインの練習をしていましたね。一緒に2人で悩んでサインを作っていた。今の形は鍵山が考えて出来上がりました」

そうして出来上がった実際のサインは、今も校舎に飾られている。漢字そのものだったサインがご覧の変わりようだ。

考えてあげた鍵山。高校入学前から自分のサインを持っていたのは、アスリート意識の高さの表れだったのかもしれない。

その姿勢は、当時の練習にも垣間見られた。

取材スタッフが練習の様子を覗いてみると、早朝5時から黙々とウォーミングアップ。週3回はこの時間から練習しているといい、「最初は眠たかったけど、ちゃんと今は自分で起きられるようになって慣れた。体はあまり動かないですけど、頑張ってます」と笑顔を見せた。

リンクに入ると、曲をかけた通し演技など、朝からみっちりと1時間以上練習。高校生ながら自分を厳しく律し、ひたむきに競技と向き合っていた。

努力は実を結び、高校1年の冬にはユースオリンピックで金メダルを獲得する。競技こそ違うが、鍵山と岡は“夢舞台”への思いを口にするようになっていた。

鍵山:「オリンピックに出たい気持ちがさらに強くなりましたし、狙うとしたら北京オリンピックから狙いたい」

岡:「活躍して、それからオリンピックに出る。世界ジュニアで団体と個人で金メダルを獲って、オリンピックに少し近づいてきた」

提供:星槎国際横浜鴨居

その後も2人は同じクラスで高校生活を過ごし、夢を語り合いながら、親友かつライバルとして切磋琢磨を続けた。

岡:「学校のクラスメイトだったから、存在はすごく大きいし、自分自身も燃え上がるというか刺激をくれる。俺もやらなきゃって」

鍵山:「オリンピックを目指している話もしていたので、『一緒に頑張ろうね』ってコミュニケーションを取っていました。違う競技といえど僕もやる気をもらえる部分はたくさんあったのかなと思います」

◆「絶対金メダル獲ってやるからな」

そして、高校3年生の冬。鍵山は北京オリンピック代表選考会で羽生結弦、宇野昌磨に次いで3位に入り、夢舞台への切符を一足先につかんだ。

高校では、リモートで繋いだ壮行会が行われ、生徒を代表して岡が激励のメッセージを送った。

岡:「北京五輪出場、本当におめでとうございます。先に実現されたことに正直悔しい気持ちもありましたが、今ではともに学んだ仲間として尊敬しています。我々は高校の仲間として思いっきり応援します」

迎えた北京オリンピック本番、鍵山は初出場ながら、男子シングルで銀メダル。18歳9か月、日本フィギュア史上最年少でのメダル獲得だった。

その活躍は、日本から声援を送っていた親友の心に大きく響いた。

岡:「優真がオリンピックのメダルを獲ってから、僕はすごく変わりましたね。こっちも焦りますしね。先にいかれたみたいな。それはめっちゃ思う、同期というか同い年だから。(帰国後に)メダル見せてきた時は、『絶対金メダル獲ってやるからな』ってちょっとけんか腰で(笑)。原動力にはなっていました」

その翌月に高校を卒業した後も、メッセージのやりとりなど2人の親友関係は続いた。

鍵山から刺激を受け、岡は猛練習。そしてついに2024年、悲願のオリンピック初出場を成し遂げる。

堂々とした演技でチームをけん引し、団体戦で日本を金メダルに導いただけでなく、個人総合、種目別鉄棒と合わせて、なんと3冠。親友・鍵山でも届かなかったオリンピックの頂点に立った。

そんな岡から鍵山に、親友らしいビデオメッセージが届いた。

岡:「メダルを4つ取ったんで、優真の先輩になったわ(笑)。(ミラノ五輪は)本当に頑張ってほしい。メダルももちろん獲ってほしいと思いますけど、まずは自分のできる最大のパフォーマンスを出して、ミスなく終えてほしいなって思っています」

このメッセージに、鍵山は…。

鍵山:「すごく先輩らしいことを言われたなって(笑)。すごく的確なアドバイスをもらって嬉しいです。金獲られちゃったなっていう感じなんですけど、僕もミラノで金獲れるように頑張って、もし金メダルを獲れたら、金メダリストの会話ができると思うので、それを楽しみに頑張りたいと思います」

その意気込み通り、ミラノオリンピックのプレシーズンとなる今年。鍵山は、4回転ジャンプの本数を増やすことを決意。フリーに4本を組み込み、高得点を目指している。

グランプリシリーズ初戦のNHK杯では、冒頭の4回転フリップこそ転倒したものの、続く4回転サルコウは見事成功。その後も果敢に攻め、300点の大台を超えて優勝した。

次戦のフィンランド大会でも優勝し、見事グランプリファイナル進出を決めた。

高校1年から始まった切磋琢磨。親友に負けじと、鍵山優真が世界の頂点を目指す。

番組情報:『GET SPORTS
毎週日曜 深夜1:40より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)

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