トヨタ2台が表彰台獲得!WRC開幕戦から強さ見せる【ラリー・モンテカルロ最終結果】
現地時間の1月28日、FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦「ラリー・モンテカルロ」の最終日となるデイ4(SS14~SS17)が行われた。
最終結果は、優勝が5年連続王者のセバスチャン・オジェ(フォード)。2位にオット・タナック(トヨタ)、3位にヤリ‐マティ・ラトバラ(トヨタ)が入り、トヨタが復帰2年目の開幕戦で2台表彰台に入るという結果を残すこととなった。(※結果は、日本時間21時30分時点の暫定結果)
また、トヨタは3台目のエサペッカ・ラッピが最後に7位と順位を落としたが、3台全車が大きなトラブルもなく上位成績を獲得。2017年シーズン報告会で「2018年シーズンはチャンピオンシップ獲得に挑戦したい」とコメントしていた友山茂樹トヨタ自動車副社長兼GAZOO Racing Company社長だが、さっそく期待以上の成果を魅せた。
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ラリー・モンテカルロ最終日となる4日目は、SS14からスタートした。
昨日までのラリー・モンテカルロは、雨や雪に見舞われ例年以上に難しいコンディションに見舞われていた。その原因は、雪や氷で凍った路面の表面だけがわずかに溶けているという、最も滑りやすい状態にあったこと。とくに朝いちばんのSS(スペシャルステージ)は、前日夜の冷え込みと雪によって世界最高レベルの腕前が揃うWRCドライバーであっても簡単にスピンしてしまうほど。
最終日は一転して晴天に恵まれたものの、ドライバーたちはそれでも路面状況はトリッキーで難しいと口を揃える。そんななか、1位をキープするオジェ(フォード)は王者の貫禄を見せ、SS14でトップタイムをマークしてリードを広げた。それを2位のタナック(トヨタ)が追う展開。また、4位のラッピ(トヨタ)と5位のクリス・ミーク(シトロエン)はタイム差がなく、こちらも接戦。ラッピはSS14でミークを12秒引き離し4位を守る。
SS15は各車大きな波乱はなく、SS16では4位を争うトヨタのラッピが右コーナーを曲がりきれず雪の壁にマシンをぶつけるシーンがあったが、マシンへのダメージと大きなタイムロスなくコースへ復帰した。
SS16までを終えて、1位はオジェ(フォード)、2位タナック(トヨタ/1位から57秒9遅れ)、3位ラトバラ(トヨタ/同1分53秒2遅れ)と続く。
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そして迎えた最終ステージのSS17。世界ラリー選手権では、最終日最後のSSはパワーステージと呼ばれており、SS上位5名には1位5ポイントから5位1ポイントまで、総合順位とは別にポイントが加算される。
つまり、成績が下位だったドライバーにとってはポイント獲得のチャンスであり、総合上位のドライバーにとっては、年間争いを見据えてチャンピオンシップポイントの追加加算のチャンスとなる。
そんなSS17を制したのは、ミーク(シトロエン)。王者オジェは最終順位を優先しつつも5番手のタイムで1ポイントを加算、タイトルを狙うラトバラも4位で2ポイント加算するなど、トヨタ勢は最後のSSまで速さを見せた。
惜しかったのはラッピ(トヨタ)で、SS17終盤、泥が乾いて舗装路上がグラベル(未舗装路)のようになった滑りやすい右カーブでコースアウト。コース復帰に手間取り、見えていた4位獲得から7位まで順位を落としてしまった。
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こうして終えた2018年シーズン開幕戦。上位陣ドライバーたちの感想もそれぞれだ。
ラリー・モンテカルロ6度目(2009年と2014年から5年連続)の優勝を決めたオジェは、「SS15の最後、観客たちが焚いたスモークで前が見えなくて一瞬速度を落とした。SS16は適切なタイヤじゃなかったから飛ばしていない。勝利のためにまずは完走だよ。簡単なSSに見えてもタイヤ選択などで変わるからね。SS17を終えて、今週は本当に難しかった。とくにタイヤ選択がね。でも、勝つことができた。本当に嬉しいし、チームに感謝したい。何がこの難しい週末の鍵だったのかは秘密だよ」と、6度目の勝者らしい余裕も最後に見せてシーズンスタートの優勝を喜んだ。
トヨタに新加入した最初のラリーで2位を獲得したタナックは、「勝てるチャンスがあれば最終日を攻めるというドライバーはいるけれど、今日の僕はそうじゃなくクレバーに行くことにした。SS14はそれでもトリッキーだった。SS15は安全策を取ったよ。SS16は朝のSS14の時よりは多少マシだったけど、クリーンに走ることは難しかったね。SS17も無事走り終えて、本当に嬉しいよ。こんな形でシーズンスタートできて嬉しい。チームは素晴らしい仕事をしてくれた。今週末は本当にトリッキーだったけど、すべてに感謝するよ」と新体制に満足げだ。
3位表彰台のラトバラは、「SS14は想定していたより雪と氷が残っていた。SS15ではリスクを負わないようにした。SS16はタフだったけど悪くはなかった。プッシュし過ぎないよう気をつける必要はあったけどね。SS17を終えて3位表彰台を獲得できて嬉しい。ここはシーズンスタートで、まずはミスなく結果を残せたよ」と、チャンピオンシップを見据えたコメントを残している。
最後のSS17で3つ順位を落とし7位となったラッピは、「SS16で右コーナーをまっすぐ進んで雪壁にぶつかったのか、なぜかはわからない。速度的には適切な進入速度だったからね。SS17はグラベル状のところで滑ってコースアウトしてしまった。すぐにバックできなくて…それで終わりさ」と、ひとつのミスを悔しがった。
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初日のタイムロスが最後まで響いたヒュンダイのヌービルだったが、最終日もSS14が2位、SS15、SS16でトップタイム、SS17は2位となり、その速さを証明した。
「SS14の最後7kmは路面情報がほとんどなかった。それを考えると速いタイムが出せた。SS15も予想以上のタイムだったよ。SS16は朝よりマシだったけど、トリッキーなコンディションだったね。あとはタイヤが合っているかどうか。SS17は良かった。週末通じて良かったと思う。残念なのは木曜日だよ。自分の責任だけどね。でも、これがラリー・モンテカルロだ」と、木曜日のタイムロスさえなければ優勝も狙えただけに、インタビューを受ける笑顔の裏に悔しさを覗かせた。
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ラリー・モンテカルロ、上位陣の結果は、1位セバスチャン・オジェ(フォード)、2位オット・タナック(トヨタ/トップから58秒3遅れ)、3位ヤリ‐マティ・ラトバラ(トヨタ/1分52秒0遅れ)、4位クリス・ミーク(シトロエン/4分43秒1遅れ)、5位ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ/4分53秒8遅れ)、6位エルフィン・エバンス(フォード/4分54秒8遅れ)となった。(※結果は、日本時間21時30分時点の暫定結果)<文/モータージャーナリスト・田口浩次>