トヨタ好調!タナックは2位で3台ともトップ5に【WRC:ラリー・モンテカルロDAY2結果】
現地時間の1月26日、FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦「ラリー・モンテカルロ」のデイ2(SS3~SS8)が行われた。
伝統のラリー・モンテカルロの朝は曇りだったが、地域によっては小雨が降り始めていて、その後さらに天候が崩れて雨が降る予報のなか2日目をスタートした。
SS3のスタート時点では路面はドライだったが、その後雨が降り始めるとどんどん路面状況が変化していき、各ドライバーにとって最適なタイヤ選択が難しい1日となった。
この日、躍進を見せたのはトヨタ勢だった。
4位からスタートしたオット・タナックは、SS3とSS6でトップタイムをマーク。SS4で2位につけていたヒュンダイのアンドレアス・ミケルセンがリタイアしたことで3位に浮上。さらにSS5ではダニ・ソルド(ヒュンダイ)を抜いて2位に浮上した。その後もトップのセバスチャン・オジェ(フォード)に迫り続け、初日のタイム差42秒4から、SS8終了時には14秒9差にまで縮めた。
さらにエサペッカ・ラッピがトップから1分9秒9遅れで4位、ヤリ‐マティ・ラトバラはラッピからコンマ2秒差だけ遅れたトップから1分10秒1差の5位となり、トヨタは全車5位以内という絶好のポジションで2日目を終えた。
2位に浮上したタナックは、「乗れば乗るほどマシンの感じが掴めるというか、とにかく良い感じだ。この順位で戦えていることが素晴らしい」と、ヤリスWRCと相性が非常に良いことを喜んだ。
4位のラッピと0秒2差まで迫った5位のラトバラは、「午前中はアンダーステアに悩まされた。午後になりマシン状態は良くなったが、雨の影響でアスファルト上ではグリップするけれど、泥が路面を覆った部分はノーグリップで、雨で水溜りとなったところはアクアプレーニングが発生して、こちらもノーグリップ。非常に難しい路面コンディションだったね」と、決して楽な展開ではなかったことを語っている。
一方、初日トップのオジェにとって、ラリー・モンテカルロは実家からも近い地元ラリーとあって、多数のファンが沿道で応援していた。
手堅く、かつSS4でトップタイムをマークするなど速さを見せていたオジェだったが、誤算はSS7だった。
残り5kmという25km地点の下り坂右ヘアピンで、後輪をスライドさせてコーナーを最短距離で回ったのだが、スライドが多すぎて道の進行方向に対してマシンのフロントを右にした状態、つまり真横になって止まってしまった。そこからハンドルを左に切って進行方向に戻ろうとしたが、アスファルト両脇の土部分にある溝にマシンが傾くようにしてはまってしまう。
運が良かったのは、オフィシャルや観客が多いヘアピンコーナーだったので、ドアを開け、手を挙げて救助をアピールしたことですぐに人が集まり、なんとか20秒強のタイムロスでコースに復帰したのだが、このタイムロスによって2位タナックとの差を詰められることとなった。
SS7は、タイム差的には20秒強のロスだったのだが、オジェ本人は30秒ほど失った感覚だったようだ。「難しい路面コンディションの1日だった。もしSS7のスピンがなかったら、2位との差は1分程度あったと思うと残念だ。それでもトップの位置を守っていることは良かったと思う。明日は良い走りが必要だ」と、リードを守り続けることを誓った。
◇
2日目の上位陣は、1位オジェ(フォード)、2位タナック(トヨタ)/トップから14秒9差、3位ソルド(ヒュンダイ)/同59秒7差、4位ラッピ(トヨタ)/同1分9秒9差、5位ラトバラ(トヨタ)/同1分10秒1差、6位クリス・ミーク(シトロエン)/同2分45秒5差と、5位のラトバラまでは表彰台、さらには優勝争いが狙えるタイム差に収まっている。
ラリー・モンテカルロのデイ3は、SS9からSS13が行われる。SS9のスタート時間は午前8時8分(日本時間は午後4時8分)を予定している。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>