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イメージと真逆?! 山本未來、プライベートでは「虫のような心臓」

16歳のときに、映画『喜多郎の十五少女漂流記』で女優デビューを果たして以降、映画、テレビ、CM、舞台で活躍している山本未來さん。映画でデビューしただけに、映画に対する思いは格別。

◆山本未來は虫のような心臓?

-映画、テレビ、舞台とバランス良くやって来られた感じがしますが、映画で女優デビューということで、映画に対する思いはまた別なのでは?-

「そうですね。やはり見て下さる方が、劇場に映画を見るためにわざわざ、お金と時間を割いて足を運んで下さっているという環境です。映画は、音響やスクリーンの大きさもあり、劇場にいる時間を映画の世界に誘(いざな)ってくれるものだと思います」

-これまで出演されてきた作品の自分に対する評価、お客さんの感想などは、かなり気にされるほうですか?-

「そういう時期もありました。気にはなりますね。改善の余地はあったのかなって…。撮り終えたあとに、とりあえずもう前のことは捨てて、先に進むというタイプではなくて、結構家に帰ってからも、『OKはもらったけど、出し切れなかったなあ』って落ち込んだりもしてしまいます」

-そういうときに切り替えはどうされるんですか-

「他のシーンでカバーしようと思います。次に現場に行くときに切り替えて、最善を尽くします。それでもまた、『ああ、あそこが…』っていう風に落ち込んでしまったりの繰り返しです」

-それはデビューされてからずっとですか?-

「あまり意識したことはないですが、落ち込まないでいることは、芝居に関してはないですね」

-クールなイメージですが、繊細で真面目なんですね-

「よく言われるんですけど、全然ウェットです。かなり不器用だと思います。図太くないです、そこは。虫のような心臓をしています(笑)」

©2017「ミッドナイト・バス」ストラーダフィルムズ/新潟日報社

27日(土)に全国公開される映画『ミッドナイト・バス』では、原田泰造さん演じる主人公・利一の16年前に別れた妻・美雪役。利一が運転する長距離深夜バスで思いがけない再会をしたことから、16年間会っていない息子と娘、再婚した夫と娘、病気の父親との間で心が揺れていく。

◆山本未來、複雑な思いに揺れる心情を体現

-幼いお子さん2人を置いて家を出た美雪役ですが、演じていていかがでした?-

「父親側に子どもが残ったことに疑問を感じました。なぜ一人で家を出たのかなと。美雪の気持ちはどんなだったのだろうと思い、まず原作を読みました。

映画では、元夫婦とのやり取りに重心を置いている分、なぜ子どもたちとバラバラに暮らしていたのかという背景は一瞬でしか触れてないんですけど、原作には描かれていました。

何かお互いに思っていた言葉を口にしなかったがために、理解のくい違いが生じたんだなということを紐解いていって、子どもたちを置いて行くつもりではなかったという気持ちをイメージしました。セリフでは描かれていませんが」

-それにしても利一は、よく言えば優しい、悪く言うと優柔不断な元夫でしたね-

「こんな風に利一さんのような優しい旦那さんがいるんだなって思いました。若いときの恋愛の感覚は、2人のなかで終わっていなかったのだけれど、もう互いの現実があるから戻れないということもあるんだなって」

-新しい夫がいて、そこに子どももいるわけですからね。利一役の原田泰造さんも絶妙でした-

「そうですね。原田さんが演じた利一の柔らかさだったり、口調のペースだったり…。ああいう男性だから、甘えられるスペースがあったんだろうなと思いますね。あれがずっと年上の男性だったらまた違うのでしょうけど。
原田さんと『ああ、こういう夫婦だったんだな』っていうのが見えてきましたね。互いの当時の未熟さが、何となく露出していったなあということで、理解がさらに深まったというのがあります」

-お互いが嫌いになって別れたわけではないですしね-

「そこなんですよね。そうじゃないと、普通戻らないだろうなというのをみんなで話していました。でも、あのときに偶然会わなければ、2人とも連絡を取らないタイプだと思うんですよ。だから、不器用なまま、不器用に生きてるんだなあというのがわかりますけど。まあ人間ってそういうものなのかなって」

©2017「ミッドナイト・バス」ストラーダフィルムズ/新潟日報社

◆新潟ロケの最中、子どもが大変なことに…

-新潟でのロケが結構多かったですね-

「9割がた新潟で撮影していましたので、かなり東京から往復しました。
本当は継続してやっていたいような心情になるシーンも多かったですが、撮影の都合上、長くても3泊ぐらいでした」

-そうなんですか-

「ええ、でも、移動して帰る、素の自分に戻るという時間もあったので、撮影に入って何泊かできるとすごい集中できて、独り身の状態になるので役に没頭できて、どこかその孤独を味わうというのも良かったりするところもありました。
新潟に居っぱなしなら、もう完全に仕事以外を放棄できるんですけど、そういうわけでもない中で行き来していたので」

-何か美雪とオーバーラップしますね-

「そうなんです。撮影入ってすぐだった頃に、7歳になる息子が高熱を出したという連絡が来て、どういう対応を取るかというのを遠隔操作をしなきゃいけないような状況になって。翌日1日だけ撮影が空いていたんですけど、結構距離があるし、行ったところで何かできるわけじゃないし…。でも、朝早くに目が覚めて、今日1日は空いてるし、本人が安心するという意味でも行こうと思って、母親になり、日帰りで往復したんです」

-大変でしたね-

「結果的にインフルエンザではなかったんですけど、でも、これだけ、自分のことじゃないのに、色々振り回されるものがあるというのは、結構過度に動いている状況だった美雪とどこか重なる部分があって、その心境を体感している感じでもありました」

◆山本未來、子どもの希望でパピーウォーカーに!

愛犬家として知られ、2008年から「日本盲導犬協会」のデモンストレーターとしてボランティア活動にも参加している山本さん。生後約2ヵ月から訓練が始まる1才まで、子犬と生活をともにすることで人間との信頼関係を築き、社会経験を学ばせる盲導犬候補の子犬を育成するボランティア「パピーウォーカー」もつとめている。

-今一番の楽しみは何ですか?-

「色々楽しみはありますからね。(笑)表に出るのもそうですし、家族と過ごすのもそうですし、今、パピーウォーカーをやっているので犬がいるんです。その子を無事に最後まで送り届けられるように、寂しいと思いながらも今だからこそたっぷり愛情を注いであげるというのも大切な時間ですね」

-パピーウォーカーというと、盲導犬候補の子犬を1才になるまで預かって一緒に生活するという?-

「そうです。1才で別れなければいけないというのはつらいですけど、子どもの希望で。私はやりたくなかったんですけど、色々なことを説明した上で子どもの希望で今回は受け入れをして、もう決めた以上は腹をくくって、可愛がっています」

-初めてですか?-

「パピーウォーカーとしては初めてです。同じ犬種のラブラドール犬を二頭飼っていたんですけど、黒い子は5年くらい前に他界して、最後の子が去年の春に17才で老衰で。最後まで看取れたので、もうそこでお役御免と思ったんですけど。

2頭と兄弟みたいに育っていた息子の、寂しいという思いを埋めてあげるのに、私たちが遊んであげるというのとは違う、補充をしてあげなくてはいけないんだろうなというところで、パピーウォーカーという選択肢があがったんです。ただ、そのかわり1才になったら別れなきゃいけないということも全部理解させて、それでも飼いたいというので息子に付き合って、今飼っています」

-でも10ヵ月間共にして別れるというのはつらいですね-

「別れは別れで寂しいですけど、うちの子どもも愛犬の死を2回経験しましたし、命の大事さも普通の子よりわかっているところもあるので、本人にとってもすごく良い経験になると思うんです。自分の犬を飼うというのは初めてですし、死に別れとは違いますから。それに社会のためになるというのもありますし。

私も『日本盲導犬協会』でデモンストレーターをやらせていただいているので、無理に盲導犬にさせないということも知っていますし、叩いたり、怒ってトレーニングをするやり方はしないんです。あくまでもユーザーさんの幸せ、ユーザーさんが社会に自分の目として自由に歩けるように、生活できるようにというための盲導犬を育てるということと、犬の天性を重視しながら盲導犬としての合否が決められることも理解していますから、やっても良いかなと思ったんです」

-盲導犬の適正試験に通らなかった場合は、山本さんのところで飼うこともできるんですか?-

「協会にもよりますけど、『日本盲導犬協会』は、パピーウォーカーのもとには返さないんです。キャリアチェンジ犬といって、盲導犬ではなく、私とデモンストレーションをするようなPR犬になる子もいますし、あとはキャリアチェンジボランティアさんのもとで普通にペットとして飼われる子もいます」

-それじゃあ、10ヵ月間で必ず別れることになるんですね-

「そうです。でも、前の2頭で、十分育てたから、もう良いかなって思っています」

別れる日が決まっているからこそ、その間は悔いのないように精一杯愛情を注ぐという思い。女優としてだけでなく、妻、母親としても多忙な毎日だが、「ミッドナイト・バス」の新潟ロケでは前乗りの日には、ちょっと早めに入り、おいしい夕飯を食べるのが楽しみだったとか。息子役の七瀬公さんとは、これぐらい大きく育ったということを実感する上でも一緒に食事をすることが多かったという。「本当に純粋で良い子」と話す表情に優しさがあふれていた。(津島令子)

 

ヘアメイク:石田絵里子(Air Notes)
スタイリスト:金 順華(Sable et plage)

©2017「ミッドナイト・バス」ストラーダフィルムズ/新潟日報社

『ミッドナイト・バス』→新潟~東京間を走るバツイチの長距離深夜バスの運転手・高宮利一(原田泰造)は、交際10年になる東京で定食屋を営む恋人・志穂(小西真奈美)との再婚を考えていた。そんな矢先、息子(七瀬公)が東京での仕事を辞めて突然帰ってくる。そしてある夜、16年前に別れた妻(山本未來)が偶然、利一のバスに乗り合わせ…。
1月27日(土)より有楽町スバル座ほか全国ロードショー。