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【世界ラリー(WRC)】ヒュンダイ、涙の初勝利で「4戦終えて4チームが勝利」の状態に

2017年のFIA世界ラリー選手権(WRC)第4戦となる「ラリー・フランス」が、4月7~9日に開催された。

©WRC/無断転載禁止

このラリー・フランスは、今シーズン初となるターマック(舗装路)ラリー。ラリーが行われるコルシカ島は、島のなかの舗装路ということもあり、その道幅は狭く、さらに直線がほとんどない。つねに曲がりくねった道が続く。

このコースで過去のラリーで勝利したことがある現役ドライバーは4人だ。チャンピオンのセバスチャン・オジェ(フォード)、トヨタのエースであるヤリ‐マティ・ラトバラ、ヒュンダイのティエリー・ヌービル、同じくヒュンダイのダニ・ソルド。この4人を中心に争われるものだと予想され、ラリー・フランスはスタートした。

©FFSA/無断転載禁止

初日はS1からSS4までを走り、総合トップに立ったのは、注目の4人ではなく前戦のラリー・メキシコで今季初勝利を得たシトロエンのクリス・ミーク。ミークの好調ぶりは、グラベル(未舗装路)からターマック(舗装路)に変化しても続いていた。

2位につけたのはセバスチャン・オジェ(フォード)。3位にはティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)が続いた。

「ここでは誰がトップに立つか予想できなかった。そんな中でトップに立てたのだから満足だよ。明日もこのリズムを保ちたいね。ただ、2位のオジェにはたった10秒しかリードがない。1キロ単位で計算したら0.1秒程度の違いだ」と、首位に立ちつつもかぶとの緒を締めなおすミーク。

「明日はさらにトリッキーな展開になるだろう。前半と後半は同じSSを走るが、前半は汚れがあって滑りやすい。明日はまた違った展開になると思う。今日の調子を明日も継続したいところだ」と、このままでは終わらないと予想するチャンピオンのオジェ。

トヨタは、ユホ・ハンニネンがSS1の終盤にマシンを橋にぶつけてしまい、火災も発生してSS2のスタートを切ることができずデイリタイアを選択。エースのラトバラは総合5位につけた。

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迎えた2日目、SS5からSS8までが行われた。

2日目にドラマが起きた。最初のドラマは、トップを走行していたシトロエンのクリス・ミークを襲った不運。SS6を走行中のミークのマシンにエンジントラブルが発生。SS6を終えたところでリタイアを選択したのだ。

トップを走っていたミークのリタイアによって、2位以下のドライバーたちの争いに注目が集まった。また、2位につけていたセバスチャン・オジェ(フォード)は、SS7走行後にマシンの油圧トラブルが発生し、SS8はとにかく完走だけを目指しペースダウンした。

そうしたなかで飛びぬけた速さを見せたのが、初日3位だったヒュンダイのティエリー・ヌービル。SS5・6・9と3つのSSを最速で走り、チャンピオンのセバスチャン・オジェを抜いて2日目で総合トップに立った。

2位にはセバスチャン・オジェ(フォード)、3位にはダニ・ソルド(ヒュンダイ)、そして4位にトヨタのヤリ‐マティ・ラトバラがつけ、奇しくも初日トップだったクリス・ミークのリタイアによって、1位から4位までをここラリー・フランスでの勝利経験者が占めることとなった。

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「今日は攻めたよ。結果として、リードも作ることができた。明日もタフな戦いになると思うけど、さらにリードを築ければいいと思う」と、今季初勝利に向けて気持ちを高めるティエリー・ヌービル。

「SS7終了後に油圧トラブルが発生した時点で、今日の目標は完走に変わった。とにかくサービスまでマシンを戻して、修理することが目標だった。ギヤシフトもしないし、4WDではなく2WDマシンになってしまったからね」と、苦しい走りだったことを語ったセバスチャン・オジェ。

そして、チャンピオンのオジェ以上に悔しいコメントを残したのは、初日トップだったシトロエンチーム代表のイブ・マットンだ。「本当に残念な結果だけれども、大事なのは、この原因を調べ、繰り返さないことだ。強がりではなくポジティブなこととしては、ラリー・メキシコに続いて、ターマック(舗装路)でもマシンの速さを見せることができた」と、このままでは終われない気持ちを口にした。

©WRC/無断転載禁止

最終日は、SS9とSS10が行われた。

2位との差を38秒9と大きく保っていたヒュンダイのティエリー・ヌービルの勝利はかなり確立が高いもので、結果は大きく変わらないとみたファンの注目は「パワーステージ」と呼ばれる別途ポイントが加算される最終SSに集まった。

このパワーステージで今後への期待を感じさせたのが、トヨタのヤリ-マティ・ラトバラ

パワーステージでトップを取れば5ポイントが加算される。元チームメートであるセバスチャン・オジェと競い、わずか0秒8差でトップを獲得。見事5ポイントを獲得したと同時に、SS9で総合5位へ落ちていた順位も、このパワーステージで再度逆転して総合4位を0秒1差で守りきった。

©TOYOTA GAZOO Racing/無断転載禁止

結果は、ヒュンダイのティエリー・ヌービルが今季初優勝。2位にセバスチャン・オジェ(フォード)、3位にダニ・ソルド(ヒュンダイ)がつけた。

「今シーズン、2度優勝のチャンスがありながら逃してきた。今季初勝利までは本当に長い道のりだったよ。最後のフィニッシュラインを越えたとき、涙が出た。僕は感情的な人間じゃないけれど、この勝利が持つ意味の大きさに涙が出てきたんだ」と、普段クールなドライバーと知られるヌービルにとっても、今回の勝利は感傷的なものだったようだ。

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「最後はこれ以上ないくらい攻めた。正直、やりすぎたくらいだよ。現に、いくつかのコーナーはアンダーステアが出てしまったからね。でも、総合4位のためにすべてを出し切ったんだ」と奇蹟の逆転劇を見せたラトバラは、チームの一体感が成績に繋がっていることを喜んだ。

©TOYOTA GAZOO Racing/無断転載禁止

世界ラリー(WRC)は第4戦を終え、ドライバーズランキングは88ポイントでフォードのオジェがトップ。2位には75ポイントでトヨタのラトバラ、3位には54ポイントでヒュンダイのヌービルが浮上した。

チーム同士のランキングとなるマニュファラクチャーズランキングは、129ポイントでフォードがリード。今回1位と3位で40ポイントと大きく稼いだヒュンダイが105ポイントで2位へ浮上。79ポイントでトヨタが続き、4位シトロエンが71ポイントと追い上げてきた。今回のヒュンダイのように、上位に2台が入賞すると状況が一変する、まだまだ混沌とした状態といえる。

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次戦「ラリー・アルゼンチン」は、4月27日から30日にかけて、舞台を南米に移し、アルゼンチンで開催される

ここは再びグラベル(未舗装路)ラリーが中心で、SS数は18。同じグラベルコースだったラリー・メキシコと違い、高地ではなく、エンジンパワーも十分。各車の力が存分に発揮されるラリーとなる。ここまで4戦を終えて、4つの自動車メーカーがそれぞれ1勝ずつ。果たして2勝目を揚げるのはどのチームか、ぜひとも注目してもらいたい。

<文/田口浩次(モータージャーナリスト)>