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しょっちゅう聞かれる「走りながら何考えてる?」に答えます【連載:“山の神”神野大地】

青山学院大学時代、箱根駅伝の「三代目・山の神」として日本中の視線を集めた神野大地(かみの・だいち、24歳)。大学卒業後はコニカミノルタに所属し、2017年12月には福岡国際マラソンで“初マラソン”を走るなど、実業団2年目から本格的にマラソンに挑戦し始めています。

そんな神野選手が、世間のみなさんに「マラソン」や「駅伝」により興味・親しみを持ってもらうべく、さまざまな角度から発信していく連載。

第1弾は、「よく聞かれること」がテーマとなっています。

◆駅伝ランナーに“年末年始”はある?

©テレビ朝日/撮影:長谷英史

コニカミノルタ所属の神野大地です! 2017年も終わろうとしていますが、みなさん今年はどんな1年でしたか?

僕は、今年12月3日(日)に行われた福岡国際マラソンで初マラソンを走りました。

と、ここから福岡国際の振り返りをゆっくり専門的な言葉も交えながらしていきたい…という気持ちもあるのですが、この連載は皆さんに「マラソン」や「駅伝」、そして「神野大地」を身近に感じてもらうということを目的にしているので、ひとまずそれは別の機会に置いておきたいと思います。

僕は、2015年と2016年に青山学院大学のメンバーとして箱根駅伝の5区を走り、多くの方々に「三代目・山の神」として知っていただけました。

いまも多くのみなさんは僕に対して「山の神」というイメージをもっていることでしょう。それ自体はとても嬉しいことで、そうしてみなさんに知っていただいているあいだ、親しみを持っていただいているあいだにマラソンでしっかり結果を出したいと思っています。

©テレビ朝日/撮影:長谷英史

そんな僕ですが、いまもお正月に駅伝を走っています。毎年1月1日に行われる全日本実業団対抗駅伝競走大会、通称「ニューイヤー駅伝」ですね。つまり、大学生の頃からお正月はずっとテレビ中継もされる大きな駅伝に出ているということになります。

だから、よくこんなことを聞かれるんです。

「年末らしいこと、お正月らしいことって、何かするの?」

これに答えるならば、大学に入ってからは年末もお正月も全然意識したことはありません。だから当然“らしい”ことはしないし、年末年始だけでなくクリスマスも、僕らにとっては「無い」に等しいといえます。大学時代は、「“クリスマス”も“お正月”も、箱根が終わったらくるんだぞ!」と青山学院大の原監督からいつも言われていました。

もちろん、たとえ彼女がいたとしても、クリスマスに会うのは難しいです。ただ、ちゃっかりしている人は、12月中旬あたりにちょっと早いクリスマスを楽しんでいたようですが…。まあ、うまくやれる人はいるということですね。

ただ、本当に年末年始に対する感覚はふつうの人とは違っていて、紅白歌合戦も観ないですし、特別何かするわけでもないですし、大晦日から元日になるのは“4月から5月になるのと同じ”という感覚なんです。ただ、1月1日の朝練のときは、頭の片隅で「あ、初走りか」とは思いますけどね。

それで、大学時代は箱根が終わると帰省期間などの“休み”があったのですが、コニカミノルタに入り社会人になったので、その休みはなくなりました。

1月1日にニューイヤー駅伝があって、2日と3日だけが休みなんですけど、ありがたいことに解説などで箱根駅伝に関わらせてもらえる(僕は、駅伝は走るのも見るのも大好きです!)ので、この2日間は“休み”というより“箱根”。で、4日からは会社、6日からは合宿!という感じなんです。

だから、社会人になってからはより、世間の“年末年始”という感覚からは離れてしまいました。本当に、ただただ忙しくサーっと過ぎていく。そんな感じです。

◆走りながら考えていること

©テレビ朝日/撮影:長谷英史

さて、“よく聞かれること”といえば、これもしょっちゅうされる質問。

「走りながら、何考えてるの?」

これ、みなさん気になるみたいですね。かなり聞かれるので、僕は“真面目な答え”と“くだらない答え”の2つを用意できるようになりました。

まず真面目な話をすると、たとえば2017年はずっと福岡国際マラソンを目指していたので、走っているときは42.195kmのゴールとなる平和台陸上競技場を先頭で入ってくる自分と、それを実況するアナウンサーの声を頭の中で思い浮かべることが多かったです。「コニカミノルタの神野が先頭で平和台陸上競技場に入ってきました!」という実況ですね。

箱根駅伝のときも、5区を走ると決まった頃からは、往路のゴール付近で右側にいる観客に向けてガッツポーズを決めながら先頭で帰ってくる自分、そしてそれを実況するアナウンサーの声をずっとイメージしながらいつも走っていました。

つまり、「陸上をしていて最高な瞬間」を思いながら練習して走っているということです。

©テレビ朝日/撮影:長谷英史

一方、“くだらない答え”はというと…。これはもう本当にくだらなくて、「あの人のLINE何て返そうかなぁ」とか、「週末何食べに行こうかなぁ」とかですね…。

ただ、こういうくだらない考え事をするのには理由があって、速いスピードで走ったり、長い距離を走る負荷の高い練習のときはもちろん集中しているので考える暇はありませんが、それ以外のひとりで走る時間って、すっごく暇なんです。

趣味でランニングをしているみなさんも、そう感じることがあるのではないでしょうか。で、マラソン選手はいつも集中しているから、ひとりで走っていても暇に感じたりしないんだろうなぁ…と思っていただけるかもしれませんが、そんなことはありません。暇です!

だから、LINEの返信に迷ったときや食べたいものが決められないとき、とりあえず僕は、「この考え事、走るときまで取っておこ!」と思うことにしてます。

“真面目な答え”と“くだらない答え”、両方披露させていただきましたが、2つともウソではなくホント。僕の場合は、走りながら大体いつもこういうことを考えています。ちなみに、「景色を楽しむことはありますか?」ともよく聞かれますが、それはまったくないということも書いておきましょう

今度僕が走る姿をテレビなどで見てもらえる機会があったら、みなさんはぜひ、「こいつ今、自分の優勝する場面を思い浮かべてんのかなぁ」とか、「こいつ今、明日何食べるかって考えてんのかなぁ」などと楽しみながら観戦してください!<神野大地>