品川祐が語る!まだ有名じゃないときに「態度の悪いタレント」に選ばれた理由
お笑い芸人だけでなく、映画監督、俳優、小説家、料理本出版とマルチな活躍を続けている「品川庄司」の品川祐さん。自ら「デビュー当時から嫌われ役」と語り、「アメトーーク!」や「金曜★ロンドンハーツ」などで“好感度の低いタレント”として取り上げられることも多い品川さんに15日(金)、都内で話を聞いた。
◆品川祐、無名の頃から「態度の悪いタレント」の上位にランクイン
-「好感度が低い」とか「嫌われタレント」と言われていますが-
「別に嫌われようと思って嫌われているわけじゃないですから、何か普通というかフラットなんですけどね(笑)。単純に年をとったというのもあると思うんですけど。
でも、こういう取材ひとつとっても、昔は態度が悪かったと思います」
-それは聞きますね-
「何か僕、一番最初は、まだ全然有名じゃないときに、ライターさんが選ぶ『態度の悪いタレント』というランキングで、有名人のなかに全然無名の俺らがランキングされていて、ある意味すごいなと思いましたけどね(笑)。『ああそうなんだ』って思って」
-なぜなのか考えたりします?-
「本当に取材とかもあんまり好きじゃなかったんですね。
まず、当時はありがたみがないっていうか…。やっぱり、テレビとかに出たいと思って出て来ているじゃないですか。だから、僕は劇場とかも、正直ありがたみがなくて、それで支配人に怒られたりとか、ラジオとかインターネットとか、すべてにおいてありがたみがなかったんですよ。テレビがゴールだと思ってたんで…。
だけど自分が映画を撮ると、裏方じゃないですか。そうすると、やっぱりみんなより先に来てとか、準備期間こうしてとか、終わった後も色々やって、今度その映画のために雑誌の取材の方がいっぱい来てくれて…。
それでツイッターとかやったら、これだけお客さんが来てくれるんだとか、そういう何か一個ずつ分かり始めたというか…。
わりと早く、3年目ぐらいにテレビに出たので、ずっとテレビのことしか頭になかったんです。
だからでしょうね。雑誌のインタビューなんか受けていても『これ何?誰が読んでいるの?』とか、何か雑誌でボケても面白くならないじゃないですか。だから、真面目なことを言わなきゃいけないけど、真面目なことを言ってもなあって感じだったんですね」
-個人的には色々な才能があるし、多少生意気でも良いのではないかと思いますが、それにしても叩かれすぎだなと思いました-
「まあ、そういう何か時代でもあったし、今はやっぱりね、行儀の良い人しか出られないというか…。だから、一見悪そうな人でも裏では良い人のほうが良いというか…。
そりゃそうですよね。でも、そうじゃなくても良いじゃないかという部分もあるんですけど…。
そもそもおかしな人の集まりだから面白かったりするのに、芯に流れる面白みみたいなものがなくなっちゃうのかなと思いますけどね。だから、『大人しくなった』とか『丸くなった』とか言われるけど、あまり喜ばしいことでもないなって…(笑)。別に嫌われたくはないですけど、芯に何か持っておかないとなあと思います」
品川祐プロフィール
1972年4月26日生まれ。東京都渋谷区出身。1995年、NSC東京(東京吉本総合芸能学院)に第一期生として入る。同期の庄司智春とお笑いコンビ「品川庄司」を結成。品川ヒロシの名前で映画監督としても活動し、小説家、料理本の出版など幅広い分野で才能を発揮している。
◆品川祐、素顔は愛娘の良きパパ
-今の時代はすぐにネットで叩かれたりしますが、気にするほうですか-
「気になっていたときもあったんですけど、それをネタにすることもいっぱいあったし…。
ただね、世間の人は意外と知らないんです。「ヤフーニュース」って、どれぐらいの人が見ているんだろうって思うんですよ。ネットニュースに上がっていたネタを芸人がテレビで喋っても、説明なしでは全然ウケない。
ということは、一部の人が見ているものだからとか、あと『炎上』と言っても100人、悪口が100人どころか、10人とか20人。
1億2000万人で20人って…(笑)。それで、同じ人ばかりが言っているというか、俺を嫌いな人は毎回俺のことを言うし、西野(キングコング)を嫌いな奴は西野、それの絶対数が多いから何を言ってもそういうことになると思うんですけど。本当にいるのかなみたいな感じですね」
-自分の悪評を目にしたときは、やはりグサッときます?-
「今はないですかね。気持ち良くはないですけど、ウンコを踏んだくらいの不快感ですね(笑)」
-品川さんも西野さんも才能がありますし、妬みもあるのでは?-
「それもあるかもしれないですね。『炎上商法』とよく言われるけど、違うんですよね。僕は炎上しても何も売るものがないので。別に今、出版物とかないんで『炎上商法』って言われてもなあみたいな。あと、売名とかすぐ言うじゃないですか。でも、もう名前も売れてるしなあって(笑)」
-今年1年は自分が思い描いていた年でした?-
「『予定通り』とか、『今が一番楽しい』とか言っちゃうと面白くなくなっちゃうじゃないですか(笑)。
テレビやなんかで文句ばっかり言ってるのに、取材とかでは、『いやあ、順風満帆ですよ』じゃ矛盾じゃないですか。だからあんまり、矛盾のないようには…。
やっぱりテレビとかって、ウソじゃないけど、自分の腹立つなあを倍以上にして増幅して喋るんで…。そりゃあ、もちろんありますよ。現状に満足してない部分とか、もっとやりたいという部分はありますけど、意外と今は、本当に面白いと思っている番組に出て、舞台の演出とか、CMを撮らせてもらうとか、映画を撮らせてもらうとか、それにあたっての原稿を書いたりできますからね。これが昔みたいに忙しいと原稿とか書く時間がないじゃないですか。
だからわりと良いんですけど、それが満足かと言ったら、まだまだ全然大成功とは思ってないですね」
-もっとカリカリした方かなと思っていました-
「カリカリもしていますよ。今はたまたま入り時間が遅いとか、そういうのもあるんじゃないかな(笑)。わりと昼間のんびりして、娘と七五三の写真とか撮ってきて、今、平和な気持ちというだけだと思うんですよ(笑)。ちゃんとカリカリしてる日もありますよ」
-お嬢さんは何かお父さんの仕事に関して言ったりします?-
「『“アメトーーク!”とかで嫌われてるの?』みたいな手紙を書いてきたりしていましたけど、まだ1年生なのでわからないんじゃないですかね。
同級生が『お前のパパ嫌われてるな』とかって言う時間にテレビに出てないので(笑)。だいたい僕は、9時とか10時とか遅い時間で、1年生の子どもたちは寝ている時間ですから」
-送り迎えもされるんですか-
「送りは毎日してますね」
-ほかの保護者の方々とは?-
「一応入学式からそうだし、ママ友とかパパ友とか、普通に話したりしますよ」
-お嬢さんとはよく遊んであげるんですか-
「そうですね。10歳ぐらいまで、遊んであげる時間があったほうが良いなあと思うんで。
自分的にも何となくあるんですよ。この5年で種をゆっくり蒔いて、50歳くらいから、もう一回色々集中してって。
そうすると娘がちょうど12、3歳になってくるので、そしたら思春期になって、父親から離れていくじゃないですか。それまでは娘と一緒に持てる時間を持ちたいなって」
-良きパパとして良い時間を持ってらっしゃいますね-
「そうですね。何か年齢ってないですか。20歳、21、22、23って、結構僕は激動だった気がするんですよね。それで、28から32くらいまでがガーって動いて、また40歳からこう1、2年って…何かそういう周期があるんで、次は50かなって。確か「ドロップ」を書いたのが30ぐらいだったと思うんですね。デビューしたのが23でNSCだったんで、やっぱり節目節目というか、その年の前半に起きるような気がするんですよね」
◆初演出舞台のチラシにまさかの誤字が…
12月27日と28日には銀座 博品館劇場で初めて舞台、板尾創路さんと木村祐一さんの二人芝居『平穏~ピースフルライフ~』の演出を手がけることになった品川さん。30年ぶりの再会を果たした幼なじみ2人が織り成すサスペンスコメディ。しかし、チラシにまさかのミスが…。
-初めて舞台の演出もされるのですね-
「オープニングVTRとかは撮りましたが、まだ本読みをやったぐらいですけど、本読みだけで面白かったので」
-チラシに誤字があったとか-
「そうです。『平穏』が『平隠』になっていて…。どこでどう間違えたのか、『へいおん』て普通に打てば『平穏』が出るわけだし、逆に言えば間違えようがないというか、『隠れる』ってわざわざ打たないとならないはずなんですよね。だから、どこで間違ったかは謎なんですよ」
-木村さんが「ナイスな演出」って言ってましたが-
「そうですね。ツイッターでは言ってましたね」
-話題になりましたし、あれは狙いじゃなかったんですか?-
「狙いじゃないですね。そのミスプリも配るというのが『よしもと』らしいなと思いましたね。25000部刷っちゃったんで。しかも『ルミネで配ります』みたいな(笑)。ルミネなら良いみたいな考え方もすごく『よしもと』的だなと思って」
-最初に気がついたのは?-
「雑誌の方に出したときに、『データでは“平穏”ですけど、チラシは“平隠”になっています。どっちが正しいんですか』って聞かれて、マネジャーが『えっ!?』ってなったらしいですね」
-それを聞いたときはどうでした?-
「最初は驚きましたけど、すぐに面白いなあと思って。『じゃあ、それも出して良いの?ツイッターに』みたいな感じでしたね。
そいつが怒られるじゃないですか。『怒られても大丈夫?』って言ったら『もうだいぶ怒られたんで大丈夫です』みたいな感じだったんで、じゃあって(笑)」
-今度の舞台ですが、いつ頃から考えていたのですか-
「まったく思っていなかったですね。特に人の舞台をなんて思ってなかったです。木村さんと飲んでいるときに、木村さんが『こんなことを考えているので、もし良かったらやってみない?』と言われて」
-それですぐに?-
「僕は、『何かやってみない?』と言われて『ちょっと自信ないです』とか『やめておきます』ということはあんまりないんです。言われたらやる。ただ、舞台の演出なんてそんなに簡単にできるものじゃないですから、自分からというのはなかなかないですけど、せっかくお声がけいただいたので。しかもお二人の舞台なんで、それはやっぱり注目も集めるだろうし、自分にとっても良い経験だなと思って」
-幕が上がるまで、もうすぐですね-
「そうですね。セリフがかなりの量なので、お二人は大変。ゾッとしますね、僕が覚えるんだったら(笑)」
「キングコング」の西野亮廣さんと「嫌われ芸人」の不動の2トップなどと言われているが、実際に話を聞いてみるとそんな感じはまったくしない。次回後編では、「品川庄司」の相方・庄司智春さんとの関係、映画監督、俳優としての顔も紹介。(津島令子)