マラソン川内優輝、驚くべき試合前日の食事。「締めでカレー4杯。化け物です」瀬古利彦も驚愕
日本で最も知名度のある現役マラソン選手――それは、最強市民ランナー、川内優輝(30歳)だろう。
これまで、日本中の注目を集めながら日の丸を背負って3度の世界選手権に出場してきた川内。
12月3日(日)に行われる福岡国際マラソンで彼は、日本代表という柵から解放され、“自由な川内優輝”として新たなステージへ立つことになる。
◆“日本人トップ”―「くだらない目標」
今年8月、川内は、「日の丸を背負うのは最後」と誓って3度目の世界選手権に挑んだ。
結果は、入賞まで3秒に迫る日本人トップの9位。すべてを賭けた激走は非常に“川内らしい”レースで、多くの人に感動をもたらしたが、それでも「日本代表は結果を残さなくてはいけない」「夏に行われる東京オリンピックでは、これ以上の順位(9位)は難しい」と代表引退の考えを変えなかった。
そうして、日本代表から解放され“自由”になった川内優輝。
彼は、「日本代表を意識しなくて良いのだと思うとより自由な挑戦ができるので、福岡国際から世界の強豪に挑戦していきたい」と、大好きなマラソンで“日本代表の川内”としてではなくひとりの市民ランナーとして世界の強豪に挑めることにワクワクしている。
そんな川内の口から出る言葉は、非常に刺激的だ。テレビ朝日のインタビューに、彼はこう話している。
「(福岡国際の目標について)正直、“日本人トップ”とかそういうくだらない目標を掲げてもしょうがない。
いまさら日本代表を狙うのであれば日本人トップというのは大事ですけど、そうではなくて、ロンドンオリンピックの金メダリストのキプロティク選手(ウガンダ)もいますし、去年優勝しているツェガエ選手(エチオピア)、一般参加でもディランゴ選手(ケニア)も初マラソンと聞いていますので、あとカロキ選手(ケニア)とかもいるので、やはり海外勢含めた選手の中で何位になれるのか、世界の中で何番になれるのか、というところを意識してしっかり走っていきたい。
大迫(傑)選手も、私がどうこうというよりは、カロキ選手など海外勢と戦いたいと考えているはず。みんなそうやって世界に目を向けていると思うので、“日本人トップ”とか言っている選手はその時点でおしまいだという風に思います。
もし若い選手が、『僕は川内選手とか大迫選手とかに勝って日本人トップを取ればいい』と言っていたとしたら、その選手はその時点で東京オリンピックはあきらめたほうがいい」(川内)
現状、代表復帰は考えず、世界での戦いを考える“自由”な川内にとって、日本人争いは言ってしまえば「どうでもいい」ことなのだ。今回の福岡国際の目標はずばり、表彰台に登ること。世界の強豪に挑む彼の走りに注目だ。
◆「化け物です」川内の驚くべき食事
そんな川内について、陸連マラソン強化戦略プロジェクトリーダーの瀬古利彦氏は次のように話している。
「(川内は)マラソンが友達。だから年に10回も頻繁に出るじゃないですか。あれはすごいと思います。普通の人なら、そんなにマラソン好きになれません。だって、マラソンって苦しいですから。彼は、あえて苦しさに挑んでくる。すごいと思いますね。
日本人のマラソン選手でケニア人が知っている選手は、川内選手以外はいないです。というより、ケニア人でも川内選手はみんな知ってます。それくらい、ケニア人でもできないようなことを彼はやっているわけですよ。だからね、すごい選手だと僕は思います。人のできないことに果敢に挑戦するというね」(瀬古氏)
瀬古氏はさらに、川内の“食事”についてもそのスゴさを語る。
「川内は、普通の食事をした後、その最後の締めにカレーを大盛りで4杯食べるんです。化け物です。食べることも含めてすべてが走ることに繋がっているんですね、彼は。面白いですよ。あんな面白い選手、なかなかいません」(瀬古氏)
食事の締めでカレーを大盛り4杯……常人には考えられない食欲だが、川内の“カレー好き”は有名だ。
実は福岡には、彼が試合前日に訪れる行きつけのカレー店があった。残念ながらその店は昨年の福岡国際の前に閉店してしまったのだが、彼が前日のカレーをやめることはなかった。
昨年の川内は試合前日、ひとつの店で牛しゃぶカレーの大盛り、ハンバーグカレーの大盛り、そしてカレーうどんの3メニューを平らげた。店の従業員からは全部ひとりで食べるのかどうかを怪しまれたそうだが、川内は「全部私なんでそこに置いてください」と答えたという。
当然ながら今年も試合前日にはカレーを予定しているとのことだ。
最後に、川内が福岡国際マラソンに出たいと考える理由のひとつを紹介しよう。川内は、こう話している。
「福岡には本当に何年も出場していて、毎回毎回福岡の人たちはすごく応援してくれますし、行きつけのカレー屋さんはつぶれましたけど、行きつけのハンバーグ屋さんとか、行きつけの床屋さんとか、いくつかそういう慣れ親しんでいるお店があるので、なんというか福岡にくると、『帰ってきたな』って。自分の中での年間のスケジュールに“福岡”っていうのが位置付けられているんです」(川内)
今年も福岡に“帰って”くる川内優輝。新たなステージに立った彼は、どんな走りを見せてくれるのか。彼の刺激的な激走に期待せずにいられない。
※放送情報:「第71回 福岡国際マラソン」
2017年12月3日(日)12:00~14:26、テレビ朝日系列ほか全国29局ネット(一部地域は12:05~放送)