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最後の父子鷹、生後すぐ失った左目の視力…山梨学院4年が挑む最後の全日本【全日本大学駅伝 直前特集】

11月5日(日)、第49回全日本大学駅伝が行われる。

「全日本」とも呼ばれる同大会は、その名のとおり“大学駅伝日本一”を競う大会。箱根駅伝、出雲駅伝とともに学生三大駅伝とされているが、出場大学が関東地区のみに限定されている箱根駅伝や選抜方式の出雲駅伝とは異なり、全国各地の選考会を勝ち抜いてきた大学が出場。大学駅伝日本一が決定する。

 

◆“最後”の全日本、山梨学院大学の黄金世代

今回、6大会連続30回目の出場となる山梨学院大学のキーワードは、「父子鷹で挑む最後の全日本」だ。

山梨学院の上田誠仁監督と主将の上田健太選手(4年)は、実の親子(※健太は次男)。ふたりが父子鷹で競技に挑んできたことは駅伝ファンにとってはお馴染みとなっているが、今回の全日本は“最後の挑戦”になるのだ

また、10月の出雲駅伝には山梨学院大は出場しておらず、全日本は彼らにとって今シーズンの開幕戦ともなる。

上田選手は現在4年生だが、この学年は高校時代(山梨学院大学付属高校)に全国高校駅伝で日本一に輝いた黄金世代。

しかしながら、この黄金世代はこれまで優勝という成績を残せていない。前評判で優勝候補に挙げられていた前回の箱根駅伝は、インフルエンザが原因で主要メンバーが出場できず、総合17位という結果に終わってしまった。

今回の全日本、上田選手は、「父親である監督を胴上げするために(優勝したい)」としながらも、「チームの目標としている夢自体が優勝で、自分も勝ちたいという気持ちが強い。それが胴上げにつながったらと思います」と、あくまでいち選手・主将という立場で悲願の優勝への意気込みを語っている。

父子鷹で挑む最後の全日本、黄金世代としても最後の全日本…。「最後の全日本」で、チームとして有終の美を飾れるのか。そしてその結果、父親を胴上げできるのか。

 

◆生後すぐに失った左目の視力…亡き父に贈る最後の伊勢路

また、山梨学院大学では市谷龍太郎選手(4年)にも注目したい。上田選手と同じ付属高の出身で、全国高校駅伝で日本一に輝いたときのメンバーである。

そんな市谷選手は、未熟児で生まれ、生後すぐに網膜剥離が原因で左目の視力を失った

子供の頃、テニスやサッカーをやってみても立体感がつかめないことからうまくいかず、そんななか父親の勧めで陸上を始める。父親は、球技をやっても難しいことはわかっていたが、「まずはやらせてみる」という教育方針をもっていたそうだ。

そうして始めた陸上競技で市谷選手はメキメキと実力を伸ばし、前述のように陸上の名門・山梨学院大学付属高校に入学。しかし、高校2年生のときに悲劇が起きる。父親が、癌が原因で他界してしまったのだ。

この翌年の3年生のとき、市谷選手たちは初の全国優勝を果たすのだが、市谷選手の心にあったのは父親から生前贈られた「1番になれ」という言葉。亡き父に贈る快走だった。

それから山梨学院大学に入学し、夢であった箱根駅伝への出場も果たした市谷選手。しかし、まだ学生3大駅伝では優勝していない。市谷選手は、「最後の全日本はチームに貢献する走りをしたい」と意気込んでいる。

なお、今回の最後の全日本には、石川県に住む母親・智子さんも現場に応援に来てくれるという。智子さんは、市谷選手がまだ出走するかどうかわからないにも関わらず、ホテルを予約しているそうだ。

親の思い、そして親への思いも背負って全日本に挑む上田選手や市谷選手。山梨学院らしい、諦めない粘りある走りで伊勢路を走り抜く彼らに注目だ。

※放送情報:JAバンクスポーツスペシャル 秩父宮賜杯第49回全日本大学駅伝対校選手権大会
2017年11月5日(日)7:45~13:40、テレビ朝日系列で放送