残り400mの悲劇から1年!神奈川大学のリベンジ【全日本大学駅伝 直前特集】
11月5日(日)、第49回全日本大学駅伝が行われる。
「全日本」とも呼ばれる同大会は、その名のとおり“大学駅伝日本一”を競う大会。箱根駅伝、出雲駅伝とともに学生三大駅伝とされているが、出場大学が関東地区のみに限定されている箱根駅伝や選抜方式の出雲駅伝とは異なり、全国各地の選考会を勝ち抜いてきた大学が出場。大学駅伝日本一が決定する。
◆残り400mでの無念の途中棄権
2大会ぶり16回目の出場となる神奈川大学。昨年は、選考会で悔しさに泣いた。
昨年の関東地区選考会、当時2年生ながら各校のエースが集まる最終組に出場したのは、山藤篤司選手(3年)。
3組終了時点で神奈川大学は既に出場圏内につけており、手堅い走りで無難に出場権を獲るという選択肢もあったが、山藤選手はじめチームの胸の中には「強豪校に挑戦したい」という想いがあり、彼は終盤まで留学生ランナーたちに食らいつく攻めの走りを見せた。
しかし、残りわずか400mのところで無念の途中棄権となってしまう。このときのことについて、山藤選手は次のように話す。
「ラスト1kmを過ぎたあたりから身体に異変を感じて、足が前に出なくなって、気付いたら倒れて…。呼吸もちょっとキツいという状態で、すごく汗が出ていました。
4年生の方に対して、最後の全日本駅伝が自分のせいで出られなくなったのは本当に申し訳なくて、そのときは箱根予選も終わっていなくて、箱根に出られるかどうかも分からず、駅伝も何ももしかしたらないかもしれないという状況にしてしまったことに、すごく責任を感じました」
過呼吸から脱水症状となり、この棄権のあと点滴のため病院へと行った山藤選手だが、寮に戻ったとき、驚きの光景が彼の目に映った。チームメイト全員が玄関に出て、彼の帰りをあたたかく出迎えてくれたのだ。山藤選手は、この出来事をこう振り返る。
「本当に嬉しかったです。どういう顔をして寮に帰ってくればいいか分からなかったのですが、着いたらみんなが笑顔で待っていてくれて、『よく頑張った!』とか『お前のせいじゃない!』とか『またこれから頑張っていこうぜ!』って前向きな言葉をかけてくれて、本当に“このチームで良かったな”っていうことをそのとき実感しました」
そうしてまた真摯に練習や体調管理に取り組んできた山藤選手は今年、箱根では1区を走りトップと5秒差の区間5位に入り、総合5位の立役者に。
そして、リベンジの想いを胸に迎えた関東地区選考会でも、昨年の苦い経験を恐れず全体8位に入る好走を見せ、見事神奈川大学はトップで全日本の切符を掴んだ。
10000mでは神奈川大学記録(28分29秒43)を持ち、9月には5000mでも神奈川大学記録(13分46秒04)を樹立した山藤選手。彼は、伊勢路でどんな快走を見せてくれるのか。
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また、主将の鈴木健吾選手(4年)の走りにも注目したい。
前回大会の箱根では花の2区で区間賞を獲得した学生ナンバーワンの呼び声高い選手で、神奈川大学の大後栄治監督は、「これまで指導してきた選手でダントツですごい選手。こういう選手が将来、2時間5分、6分台でマラソンを走るんだと思う」と非常に高く評価している。
そして、山藤選手も鈴木選手を“憧れ”としており、「(トラックの神奈川大学記録は自分がもっているが、)そのレースでさえも一緒に走ったら絶対に負ける。メンタル面も含めて健吾さんには敵わない。憧れであり、目標。自分も将来はマラソンをやりたい」と話している。
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鈴木、山藤、そして、力のある4年生と勢いのある2年生。2年分の思いを襷に込めて走る神奈川大学に注目だ。
※放送情報:JAバンクスポーツスペシャル 秩父宮賜杯第49回全日本大学駅伝対校選手権大会
2017年11月5日(日)7:45~13:40、テレビ朝日系列で放送