石原さとみ、3年ぶり連ドラ復帰作『Destiny』で「自分をさらけ出した」 照明スタッフにした“お願い”「クマもシワも…」
4月9日(火)よりスタートする、石原さとみ主演のドラマ『Destiny』。
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本作の主人公・西村奏(石原)は、「横浜地方検察庁」中央支部の検事。
中学生の時、検事の父を亡くしたことをきっかけに母の故郷・長野県に移り住み、そのまま地元大学の法学部に進学した彼女。
そこで出逢った4人の仲間と共に司法試験に向け苦楽を共にする一方、恋に喧嘩に友情にと、雄大な自然に包まれながら生まれて初めての「青春」を謳歌し絆を深めていた。
しかし、ロースクール入試を間近に控えたある日、“事件”が起こる。これが彼女たちの運命を大きく狂わせていく。
そして、奏が大学時代の恋人・野木真樹(亀梨和也)と12年ぶりに再会を果たしたことで青春時代の“ある事件”は甦り、運命の波に翻弄されていくこと…。
本作は、そんな抗えない運命の中でも自分の意志を貫いて突き進む主人公・奏の姿を描く、完全オリジナルの壮大なサスペンス×ラブストーリーだ。
脚本は、数多くのヒット作を生んできた人間ドラマの名手、吉田紀子氏が手掛けている。
石原さとみは今作で3年ぶりに連続ドラマに復帰し、亀梨和也と初共演。大学時代の仲間のキャストには宮澤エマ・田中みな実・矢本悠馬もそろい、さらに安藤政信・佐々木蔵之介・仲村トオルら豪華キャスト陣が集結。
昨年11月の情報解禁から大きな注目を集めていた本作がいよいよ4月9日(火)よりスタート。テレ朝POSTでは主演・石原さとみにインタビューを実施し、ドラマ『Destiny』の魅力や撮影エピソードについて聞いた。(文/聞き手:木俣冬)
――ショートカットがお似合いですね。
石原:「映画『ミッシング』のお仕事で、髪の毛を伸ばし、あえて傷んだ感じにしていたので、撮影終了後、『Destiny』に入る前にばっさり切りました。
『Destiny』の西村奏はショートにしたかったんです。どういう人間なのかによってビジュアルが決まってくると私は思っていて。奏はショートかなと。
また、彼女の12年間を演じ分けないといけないので、それには髪型の変化も役に立つと考えました」
――『Destiny』はどんな物語ですか。
石原:「第1話からジェットコースターのように話が転がっていきます。
運命に激しく翻弄されながら、揺れ動いていく登場人物たちの心情が丁寧に描かれていて、登場人物のみならず、視聴者の皆さんもどこに向かうかわからないストーリーを楽しんでいただけると思います。
事件パートとラブストーリーパートが並行して進んでいくこともおもしろさのひとつで、事件パートはサスペンスが満載で全9話を通して考察を楽しんでいただけますし、ラブストーリーパートでは、12年前の大学時代のラブストーリーと、12年後の奏が検事として働きだしてからのラブストーリーが2本立てになっていて、それもまた最後までどうなるか予測できないと思います」
◆吉田紀子氏の脚本とサブテキストに感じた“熱い思い”
――主人公・西村奏はどういう人物なのでしょうか。
石原:「運命に翻弄されて変わらざるを得ない状況に追い込まれますが、もともとは芯が強く、12年前に起こったある事件に毅然と向き合っていきます。何事にも決して振り回されず、自分の足で立ってしっかり生きる強さを持ち、自分が大切だと思うものを守り抜こうとします。
が、強いだけではなく、弱い部分も持っていて、ときに揺れることもあります。その感情の行き来が演技のしどころかと思います」
――検事という職業を演じるに当たって準備したことはありますか。
石原:「検事という職業についてまとめられた冊子を読みました。ただ今回は、検事とはこういう仕事です、と紹介する職業ドラマではなく、奏が検事の仕事を通して12年前の事件の真相に近づいていく、一種のツールのようなところもあるのですが、専門用語とは格闘しました(笑)。
それと、吉田紀子さんが書く脚本がほんとうに細かく丁寧で、それを読むだけでも、検事の仕事の流れやあらましがよくわかるようになっていたので、ご覧になるかたにも伝わると思います」
――吉田さんの脚本は細かいんですね。
石原:「私、吉田さんの脚本の文体が大好きなんです。物語の展開ももちろんおもしろいのですが、脚本の書き方がおもしろいんですよ。
例えば、通常は、ト書きをあまり書かない脚本家さんが多いなかで、吉田さんはセリフの前後に()でくくって、動きや感情のディテールを書き込んでいるんです。
脚本によっては、解釈を演者や演出に委ねるような表現の場合もありますが、吉田さんは心情を細かく書き込んでくださるので、演技するうえで間違えずに済んで、とても演じやすいです。
しかも、最初に、吉田さんは“奏はこういう人間です”とプロフィールのようなものが書かれたサブテキストをくださったんです。私にはそれが、作家からの濃密なお手紙のように思えて、心して拝読しました」
――どんなことが書いてあったのでしょうか。
石原:「奏の父母のことから、奏がどうやって生まれてどう育ち、両親からどう愛されて、どんなことに悩んで、どう乗り越えていったか。その結果、いま、どういう考えに至っているか……ということを微に入り細に入り書いてありました。全9話分の流れも書いてあって。
それをベースにして脚本が肉付けされたのでしょうね。12年前はこうで、10年前こうで、4年前、2年前、現在…と奏の置かれている状況と心情が複雑なので、把握するのが大変だったのですが、助けになりました。
細かく丁寧に、それでいて、こういうふうに演じて、という上から目線では決してなくて、役者に寄り添ったやさしさに溢れるような内容で。その濃厚な内容から、吉田さんの熱い思いがひしひしと伝わってきて、なんとしても3か月間の撮影を乗り越えたいという気持ちになりました」
◆こだわりが詰まった“幸せ”な現場「家族に助けてもらいながら乗り切りました」
――3年ぶりの連ドラ出演で、撮影現場はいかがでしたか。
石原:「産後最初の作品のお仕事は映画で、吉田恵輔監督からたくさん学び、それがとても貴重な経験になりました。お芝居の楽しさをようやく実感できた気がして、嬉しくて、『Destiny』でも、演じるおもしろさをもう一度追求したいという気持ちで取り組みました。
(『Destiny』の)新城毅彦監督も映画のような撮り方をされていたんです。現場ではモニターチェックをしなかったので、どう映っているかわからなかったのですが、できあがった映像を見たら、地方ロケで撮った映像や芝居がとても美しく感じました。
連ドラはたいてい、オンエアぎりぎりに撮影をすることが多いので、慌ただしくなってしまうんです。時間や天候の都合で急いで撮らないといけないことも多くて。ところが、今回は早めに撮影がはじまったこともあり、スタッフの皆さんが、妥協しないで、より良いものを撮ろうとしていて、その姿勢が励みになりました。
照明ひとつ、カメラアンングルひとつ、何度も試行錯誤して、ときには撮り直しをすることもありましたが、スタッフの皆さんのこだわりの詰まった現場にいられて幸せでした」
――石原さんが映画で発見して『Destiny』でも踏襲した表現はどんなものがありますか。
石原:「自分をさらけ出すということです。新城監督の演出も、相手役の亀梨和也さんもとても生っぽいもの――いい意味で、お芝居をしないことを選択していました。
モニターチェックもしないから、どう映っているかにとらわれないし、ファッション重視ではないから、どう見せたいかも考えなくていい。ただ奏がいまどういう気持ちでどうしたいのか、それだけを考えていればいいという現場でした。
映画の現場でも学んだ、逆算して芝居を作るのではなく、その瞬間、無意識になり、自然に役の感情になるということを『Destiny』でもやれました。
照明の加藤あやこさんには、私のクマもシワも、すべて映してくださいとお願いしました。私、そのものの人間性を撮ってほしかったんです」
――全然、クマもシワもないですよ。
石原:「撮影が長く続くと肌状態に影響が出るもので(笑)。育児しながらの撮影で、家族に助けてもらいながら乗り切りました。よく倒れなかったなと自分で思います。気を張っていたのでしょうね。
そんなこともあって、何があっても大切なものを守り抜くという奏の気持ちは、出産してからのほうが理解できるようになった気がしますし、尊敬する気持ちが強くなりました」
◆クランクインの日は「ほんとうに良い1日でした」
――亀梨さんをはじめとする共演者の皆さんとのエピソードを教えてください。
石原:「クランクインは、大学時代の5人の友人たち(※石原・亀梨・宮澤・田中・矢本)とのシーンでした。
最初にいちばん仲が良いときを撮らなくてはならないことに心配もありましたが、最初からすごく気が合ったんですよ。すばらしいキャスティングと思って感動しました。
カラオケやドライブに興じるシーンがあり、そこが5人の絶頂期で、あとから一気に関係性が破滅していくところのギャップを見せるため、猛スピードで最高に楽しいところまでみんなで持っていきました。
声のトーン、テンポ、はしゃぎ具合など、大学生だから少し浮足立ったところを出そうとして、ジャンプしてみたり(笑)。そのとき撮った写真を、その後の私自身の原動力にしようと、撮影期間中、何度も見返しました。
その大事な撮影を引っ張ってくださったのが亀梨さんなんです。仲良くなるように、率先してたくさん笑わせてくれて。とても人間力があるかただと感じました。おかげで待ち時間も楽しかったです。
夕日のシーンがあって、5人で劇中車に乗って待っているとき、亀梨さんに歌のリクエストをして歌ってもらったりして。SMAPの『オレンジ』のリクエストがあって、完璧に歌ってくれて大感動でした。そのあとの夕日のシーンがほんとうに素敵なものになりました。
12年前の若い時代をがんばって演じるという同じ目的をもって5人がゴールに向かう、ほんとうに良い1日でした」
――最後に改めて、視聴者の皆様に、ここを見て、というところを教えてください。
石原:「展開が凝っていて、終わったかと思うと、また始まったみたいな、何度も何度も“クライマックスが来た!”というような感覚になるほどの目まぐるしさを楽しんでいただけたら嬉しいです」
衣装:宮澤敬子(WHITNEY)
※番組情報:『Destiny』
2024年4月9日(火)初回拡大スペシャルでスタート!毎週火曜よる9:00~9:54、テレビ朝日系24局