ドラマ『unknown』第6話、謎を深めた衝撃のラスト1分!疑念が膨らみつつ、好感度も爆上がりしてしまう存在
<ドラマ『unknown』第6話レビュー 文:横川良明>
いやもうわっかんねえええええ!!!(と、トルネード投法でさじをぶん投げる)
謎が謎呼ぶ『unknown』。第6話にして、ついに物語冒頭で描かれていた教会のシーンへと辿り着きました。血染めのドレスを着て倒れていた闇原こころ(高畑充希)。その視線の先にあったものは……?
しかし、それはさらに謎を深める結果となるのでした。(※以下、第6話のネタバレを含みます)
◆加賀美は、こころが吸血鬼であることに気づいている?
結論から申し上げると、こころの目の前で横たわっていた男。それは、朝田虎松(田中圭)の父・一条彪牙(井浦新)でした。
しかも手にアイスピックが握りしめられていたことから、こころに殺人の疑いがかけられることに。
彪牙を殺したのは誰か。なぜこころを陥れようとするのか。
まるで謎が解ける気配がしないので、そろそろコナンか金田一少年に来てもらった方がいいと思う。
ただ、この6話だけでも引っかかるところが多いんですよね。まずはそこをピックアップしてみます。
・彪牙は虎松に何か伝えようした?
虎松の結婚式に姿を現した彪牙。その目的は何なのかという話ですが、そもそも20年前の殺害現場で虎松に目撃されたときも、虎松を見て何やら言っている様子なんですよね。
逃走中に虎松に電話をかけていますし、崖から飛び降りる直前も、一瞬、虎松に向かって何かを伝えようとしたように見えました。
一体あのとき、彪牙は虎松に何を言おうとしたのか? そして、なぜ20年の時を経て再び姿を現したのか。まだ誰も知らない20年前の事件の真相を彪牙が握っていることは間違いなさそうです。
・伊織は加賀美を見て何を思ったのか?
こころの勤める編集部を直接訪ねた伊織(麻生久美子)。そこで加賀美圭介(町田啓太)と鉢合わせした伊織は、楽しげに雑談をしたあと、立ち去る加賀美を見送りながら、何やら思惑めいた様子で首を傾げました。あの挙動の意味するものははたして何か。
気になるのは、伊織が日傘を渡したときに言った「日焼けしたらやばいですもんね」という加賀美の台詞。
単純に紫外線について心配しているようにも聞こえますが、見方を変えるとまるでこころが吸血鬼であることを知っているかのような口ぶりでした。もしそれに伊織が気づいたとしたら……?
・加賀美の目的、そして過去は?
ギャグ要素かと思われていた加賀美のコロッケ好きという設定ですが、どうやら別の意味が込められていそうな気配も。
「なんで君はさ、そんなにコロッケに取り憑かれているんだい?」という虎松の問いに、一瞬言い淀んだあと、はぐらかすように笑っていました。あれは、単に母親の思い出の味というだけではない、というリアクションに思える。
もうひとつ気になるのが、コロッケ三姉妹です。末っ子のカニクリームコロッケに対して、ひとりだけ形が違うからコンプレックスがあると説明した上で、加賀美はゲーセンでとれたコロッケ三姉妹の末っ子をこころにプレゼントしました。
つまりそれは、こころが「ひとりだけ形が違う」ことの暗喩。上記の2点から考えて、加賀美はこころの正体を知っていると見て、ほぼ間違いないと思います。
ただ、だからと言って、じゃあ加賀美の目的はなんなのか? と言われると依然として謎のまま。施設育ちである加賀美は、いつどんな理由で両親を亡くしたのか。
海造(吉田鋼太郎)は吸血鬼は人を襲わないと言っていたけれど、人間がみんな善ではないように、吸血鬼もまた善い吸血鬼もいれば悪い吸血鬼もいるはず。
もし加賀美の両親が吸血鬼に殺されていて、そのことで加賀美が吸血鬼に恨みを抱き、復讐のために吸血鬼を陥れるような犯行を繰り返しているとしたら……というのも考えられなくはないけど、ちょっと手口がまどろっこしい気がするし、何より20年前の宗像一家殺害事件との関連性が見えない。
はたして春陽町で起きている連続殺人事件と、20年前の宗像一家殺害事件を結ぶ線はどこにあるのか。コナンくん、これ以上死者が出る前に早く解決しておくれ〜!
◆女が男を守ってもいい。こころに見る令和のヒロイン像
そんな疑念が膨らむ一方、好感度も爆上がりしてしまうから、加賀美という男は恐ろしい。
爆上がりポイントの1つめは、泣いてるこころのために、さりげなく体で壁になってあげたところ。
ひと昔前のドラマならここでバックハグしたり頭ポンポンしたりするんでしょうが、相手が弱っているところをつけ込んで軽率にボディタッチしてくるやつは信用しちゃいけねえって田舎のばあちゃんが言ってたので、今の時代はこの対応が大正解。加賀美、めちゃくちゃ信用できる……と思わず唸ってしまいました。
そして、もう1つの爆上がりポイントが、喧嘩したこころと虎松を仲直りさせるためにさくらんぼ狩りに連れ出してくれたところ。加賀美、めちゃめちゃいいやつすぎん……? 笑顔が怖いとか言って本当に申し訳ありませんでした。
3人でさくらんぼのヘタを結んでいるところとか微笑ましすぎて、もうこのまま3人で同居生活をしてほしい。こころと虎松は加賀美を養子として迎えればいいと思う。
胸の痛むようなヘビーな展開が続いていた分、このシーンは本当に優しくて、キラキラしていて、この作品に通底している温かさがそのまま全部溢れ出た場面になっていました。
高畑充希と田中圭もいいんですよ。
上述のこころが泣く場面なんて、説明的な台詞はひとつもないのに、虎松に打ち明けてもらえない寂しさや、虎松の力になれない無力感がちゃんと伝わってくるのは、それまで高畑充希がちょっとした視線の落とし方やぎこちない間で、こころ自身も無理をしていることを表現してくれていたから。
笑っているのに笑っていない表情が、高畑充希は絶妙なんです。チューペットをくわえながら、ふっと痛みがこみ上げるこころに、観ている方までじんわり泣けてきた。
それに、自分の中に流れる父の血に苦しめられる虎松に対し、こころが単なる聖母じゃないのがすごく現代的。「もしやばいやつが来たら、私がぶっ飛ばすし、虎ちゃんがもしやばくなったら、私が虎ちゃんをぶっ飛ばすから大丈夫。安心して」はこころの明るさとたくましさがつまった名台詞。
大切な人を守るために戦うのは男性だけじゃない。女性が男性を守るために立ち上がってもいいんです。来たる日に備えて、ジムのコースをグレードアップしているこころの姿に、ちょっとしたギャグシーンかもしれないけど、愛を感じました。
一方、父の影に怯え、普段より感情的になってしまう虎松の表情も切迫感があって良かったんだけど、その合間合間に挟み込まれる「いや渡すな。受け取るな」とか、周回遅れでぶっ込まれる「こころって言うなよ」という時差ツッコミとか、ハードな状況なのにクスッと笑える希望が見えるのは、田中圭だからこそ。虎松には、田中圭の愛され力が凝縮されていると思う。
どう見てもお似合いの2人ですが、ここから父を殺された被害者と、父を殺した容疑者として引き裂かれてしまうのでしょうか。いよいよ終盤戦へと突き進む『unknown』。まだ明かされていない“unknown”を隠しているのは、はたして誰なのか――。(文:横川良明)
※番組情報:『unknown』
【毎週火曜】よる9:00~9:54、テレビ朝日系24局
※『unknown』最新回は、TVerにて無料配信中!(期間限定)
※動画配信プラットフォーム「TELASA(テラサ)」では過去回も含めて配信中!