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河村勇輝、バスケ人生で初めての怪我。しかし、その期間で目を見張る成長!「PGとして進化して帰ってきた」

今年夏、8月25日より沖縄で開幕するFIBAバスケットボールワールドカップ。

大会に向け、テレビ朝日バスケ班が注目する日本代表候補選手を紹介。今回は、5月に22歳の誕生日を迎えたばかりの河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)だ。

◆22歳は「チャレンジの年」

「22歳は、チャンレジの年にしたいです。(8月に)ワールドカップがあって、世界と戦うのも初めて。今までアジアでしか戦っていなかったので、未知の領域というか、日本としてもチャレンジの年なので、22歳はチャレンジの年にしたいです」

そう話す河村は、2022年3月に東海大学を中退し、横浜ビー・コルセアーズとのプロ契約締結を発表。ワールドカップに向け大きな覚悟をもって、この約1年間、決断と努力を重ねてきた。

「日本でワールドカップが開催される。その(ワールドカップの)ために1日1日無駄にせず、1日1日積み重ねてきました。それがワールドカップで花咲くって信じてやってきていますし、自信はもちろんあります。

世界の舞台で怖気づいてプレーするようじゃ、すぐやられてしまうのは分かっていますし、自信をもってプレーできない選手が日本代表として立つ資格もないと思う。

やはり、日本代表のコートに立つっていうことは、そのくらいの覚悟と責任をもってプレーしなくてはならないと思ってます」

強豪・福岡第一高校時代、「日本一の練習をすれば、日本一になれると信じてやっている」と、とてつもない努力を重ねていた河村。

「高校のときにやっていた、“日本一練習して試合に臨む”っていうマインド。日本代表としても、世界に勝つためには、世界レベルのチーム以上に考えて練習して、質も量もやっていかないといけないと思う」と、プロに、そして代表選手になっても、頂点に輝いた高校時代の気持ちを忘れていない。

◆バスケ人生で初めての怪我

ワールドカップに人生をかけるほど熱い思いをもつ河村だが、じつはここ数カ月で大きな変化があった。

3月末、右太ももを怪我し、全治4週間と診断されていたのだ。河村にとって、人生で初めての大きな怪我だった。

3週間まるまる試合に出られないことも、バスケからここまで離れたことも初めてだったという。

「22年間っていうか、バスケを小学校2年生から始めて、今の今までほとんど怪我っていう怪我をしたことがなくて。練習もほぼ休んだことがないし、怪我などで試合に出られないってことが全くなかったので、ほんと初めての経験でしたね。

バスケットをやりたくてもできないという環境や悔しさを経て、あらためて自分が本当にバスケットが好きなんだなと感じられる期間でした」

そう話す河村について、横浜ビー・コルセアーズのチームトレーナーも、「もうやりたそうでウズウズしてて、『シュート打っていいですよね? いいですよね!?』って聞いてきて、『まだ待て!我慢しろ!』の繰り返しで、もう本当にバスケ少年でしたね(笑)」と振り返る。

怪我から復帰し、体育館で本当に楽しそうにバスケをしている河村の姿は、以前よりさらに生き生きして見えた。

そして4月末のシーホース三河戦、タイム制限はあったものの3週間で復帰を果たす。さらに、続くサンロッカーズ渋谷戦ではスタメンに戻り、ここでは怪我前より進化した姿を見せることになった。

◆怪我の期間だが…チームメイトも目を見張る進化

怪我で試合に出られなかった3週間、「めっちゃ追い込みました」とトレーニングを強化した河村。足が使えないぶん、上半身やお尻をかなり鍛えたという。

「3ポイントも、前より安定に繋がっていると思います」。この言葉通り、復帰したばかりの三河戦では、3ポイントラインからかなり離れた超ディープ3ポイントも力強く決め、さらに渋谷戦では、キャリアハイとなる8本もの3ポイントを沈め、31得点の大活躍で完全復調を果たした。

しかし、河村の進化はそれだけはなかった。この3週間で、河村のバスケを変える大きな気づきがあったという。

「初めて外から見ていて、選手一人ひとりの良い所や悪い所、チームの良さにも細かく気づけた時間でした」

ずっと試合に出続けていた河村にとっては、本当に初めてじっくりベンチから試合を見られた機会とあって、怪我前には気づけなかった選手一人ひとりの活かし方が見えたという。

「ウイング(シューティングガードやスモールフォワード)の選手は、シュートだけというよりかは、ボールを持たせてコントロールすることができるというのがこの3週間でより分かりました。

自分がすごく点を取りにいくことも大事ですけど、ある程度任せて周りの選手が点を取っていくっていうスタイルも、この横浜ビーコルにあってるなという風に感じました」

ポイントガードの河村は、ゲームコントロールをする役割もあるが、特に得点を取りにいくことを期待されている。

現に、毎試合2ケタ得点、20点は当たり前の河村だったが、怪我から復帰してからは、自分が得点を取りにいくことも頭に置きつつ、ウイングの選手に早めにボールを託し、アシストのパスも以前より早く供給するようになっている。復帰した試合では、2試合連続で11アシストを記録した。

ウイングの赤穂雷太(横浜ビー・コルセアーズ)選手は、

「怪我前は、どちらかというと勇輝のタイミングでパスが来た。勇輝が点を取りにドライブして、ダメだったら俺たちにパス、のような。それが怪我から帰ってきてからは、俺たちが欲しいタイミングでパスが来るようになった。かなりやりやすいんですよ!

現に勇輝が怪我から帰ってきてからの試合は、チームでも90点得点を取っているし、チームとしてかなり成長している。勇輝は3週間、すごくベンチからよく見てくれていたんだな。すごいですねよ、若いのに!」

と、その進化を絶賛。そして青木勇人ヘッドコーチも、「怪我前より確実にアシストのバリエーションが増えたし、プレーの幅が増えた。チームとしても、オフェンスのバリエーションが増えました。ポイントガードとして進化して帰ってきましたね」と、単なる“休み” にしなかった河村の姿に目を見張る。

河村にとって人生で初めての怪我は、ポイントガードとしての成長という面で大切な3週間となったようだ。しかもそれは、5月13日から始まるチーム初めてのチャンピオンシップの直前であり、さらにはワールドカップ前というタイミング。もしかしたら神様からの貴重なメッセージなのかもしれない――。

◆初めてのCSへ。「全身全霊でチャレンジ」

コートに入る前、必ず深くお辞儀をする河村。復帰戦では、それがいつもより深く、いつもより少し長かった。

「バスケットができることって当たり前じゃないなってベンチ外でずっと思っていて、やっとコートに立てるという気持ちと、ここまでサポートしてきてくれた方々、チームのメディカル陣も含め、外部でも体をいつも見てくださる方などたくさんいたので、そういった方々への感謝の気持ちを込めてコートに入りました」

バスケへの、そして周りの人たちへの感謝の気持ちをあらためて感じた河村勇輝。悔しい怪我の3週間で成長し、またも進化した22歳が世界を驚かす日は近い。

そして、5月13日から始まるBリーグチャンピオンシップ。万年下位争いをしていた横浜にとっては、チーム創設以来、初めてのCSだ。

初戦の相手は、同じ中地区で首位の川崎ブレイブサンダースであり、レギュラーシーズンでは最後2連敗して終わっている因縁の相手である。

河村は次のように意気込みを話す。

「お互いもう手の内は知り尽くしていると思うんで、後はどっちが勝ちたいかっていう気持ちの戦いになるんじゃないのかなって思います。アウェーではあるものの、僕たちはリベンジの気持ちで川崎さんには臨みたいと思いますし、横浜の歴史をつくるっていう意味でもこのチャンピョンシップ、1戦目はすごく大事になってくると思うので、もう全身全霊でチャレンジしたいなって思います」

※大会情報:「FIBA バスケットボールワールドカップ2023」
2023年8月25日(金)、沖縄で開幕!テレビ朝日系、日本テレビ系で生中継

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