ドラマ『unknown』第2話、ママ・麻生久美子が鮮やかに放った“深すぎる”メッセージ。素敵な吸血鬼夫婦が大暴れ!
<ドラマ『unknown』第2話レビュー 文:横川良明>
「私、吸血鬼なんだ」
闇原こころ(高畑充希)の人生を懸けた告白から一転、受け入れてくれたかのように見えた朝田虎松(田中家)が実は本気にしていなかった……というまさかの展開からスタートした『unknown』第2話。
そこで描かれたのは、自分とは違う他者をどう受け入れるかという、多様性の時代には欠かせない心のプロセスだった。
◆田中圭はそろそろ“恋愛ドラマの帝王”と呼んでいいと思う
このドラマはそれぞれのキャストのいいところを引き出すのがとてもうまい。
今回で言えば、やっぱり田中圭だろう。こころの決死の告白を冗談だと受け流し、真面目に説明しても「そういうキャラでいきたいってこと?」と面白がる始末。
これは絶対結婚したあと、何回言ってもシャツを裏返しにしたまま洗濯に出すし、ママ友との付き合いについて相談しても真剣に取り合ってくれないタイプだわ。と、レタスクラブのお悩み相談室にこころが投稿している未来まで想像できたのですが、それでも憎めないのが田中圭のうまいところ。
恋愛ドラマに出演するたびにリアコを増やすことで定評のある田中圭ですが、ダメなところとキメるところのメリハリが最高なんですよね。
この第2話で言えば、闇原家を訪れるなり、父・海造(吉田鋼太郎)にビビって門前払いを喰らうところとか、超ヘタレ。なぜだか知らないけれど、田中圭は理不尽に怒られるのがめちゃくちゃ似合う。
いつまでも弁当を食べていて、伊織(麻生久美子)に呆れられるところとかも、掃除の時間になっても給食を食べている小学生みたいでかわいい。「すみません」って謝らせたら日本一の俳優だと思う。
一方、車の中にいるこころを連れ出すために、公務執行妨害を持ち出す策士な面も。こんな恋愛テクニック、ROLAND様も教えてくれませんでした…!
そして、1人で先走ってあれこれと喋り続けるこころに、口封じキス。ゲリラ豪雨のごとく突然雄みが猛威を振るうから、田中圭からは逃れられない。ぱっと見は温泉なのに、入ったら二度と出られない。水質がアロンアルファ。それが、田中圭沼です。
しかも今回はおなじみ謎のいい体も披露。これがYouTubeだったら、あのシーンでやたらスパチャが飛びまくっていたと思う。
高畑充希との無言の空気感もやっぱりうまいんだよなあ。ただこころのことをじーっと見ている虎松。その視線に気づいて、恥ずかしそうに笑ってこころが視線を落とす。こういうやりとりが本物のカップルみたいでニヨニヨが止まらない。
ラストの「私と結婚したらさ、天気のいい日に海も行けないよ?」「じゃあ、屋内プールに行こう」から始まる一連のやりとりは、往年の名作『東京ラブストーリー』の「ビートルズのコンサート、うちで開きたいって言ったら?」「連れてくる!」を彷彿とさせて、令和になっても女子のお願いを聞いてくれる男子はそれだけで滋養強壮にいいのです。
◆暴走列車・吉田鋼太郎&小悪魔・麻生久美子が大活躍
こころの両親を演じる吉田鋼太郎と麻生久美子も両者の魅力がバッチリ。
今回も吉田鋼太郎という暴走列車はブレーキ知らず。「ノークレーム! ノーリターン!」から始まり「ファンタジー」「リアリティ」「ロマンティック」など、ねばっこい英語の連発がもう完全に吉田鋼太郎節。
マントをコウモリのようにバサバサしているところとか、あれもう絶対現場で自由に吉田鋼太郎が楽しんでいるんだろうなあと、カットがかかった直後の現場の空気まで想像できる。
今日も安定の声の大きさ。とりあえず隣の部屋の人に怒られそうなので、吉田鋼太郎が出るときはカウントダウンをしてほしい。一旦、ボリュームも5つくらい下げます。
脚本も、吉田鋼太郎のシーンは完全にノリノリ。とりあえずメルカリに棺桶を出すな。誰が買うんだ。八甲田山のおいしい血とか完全に天然水扱い。虎松は『白い巨塔』話で盛り上がっていたけど、海造が観ていたのは確実に田宮二郎バージョンだと思う。
麻生久美子も持ち前のチャーミングさを存分に振りまいてくれた。こういうお茶目でマイペースで、ちょっと小悪魔なところがある女性像を演じると、麻生久美子は見事にハマる。
ニンニク入りの餃子とニンニク抜きの餃子が混ざっちゃっても甘えた声で「ごめ〜〜〜ん」と謝れば、海造もあっさり「混ざっちゃったの〜」と骨抜きにされてるあたり、いいバカ夫婦である(褒めてる)。
その上で、「世の中はまだまだ自分の知らないことで溢れてるじゃない? それを恐れて嫌って排除しようとするのか。歩み寄って知ろうとするのか。虎ちゃんはどっちの人?」と今回の芯となるメッセージを説教臭くならず、さらりと、でもちゃんと観る人に残るように伝えられるのが麻生久美子の良さ。天使の羽根のような軽やかさが彼女には備わっている。
◆見逃せないサスペンス要素。あのチャペルから立ち去った人物は…?
サスペンスについてもふれておこう。今回、全身の血が抜かれた女性の遺体が発見された。しかし、犯行のヒントとなるものは今のところまだ見えず。
こころの弟であり、刑事の漣(井上祐貴)と、五十嵐まつり(ファーストサマーウイカ)の息子であり、ヤンキーの大五郎(曽田陵介)が新たに登場したが、この2人は事件にどんな関わりを持っていくのか。特に、夜に行動することも多いだろうヤンキーの大五郎の方は何か目撃していそうだ。
その中でスルーしてはいけなさそうなのが、今福梅(木野花)に渡された、血のついたハンカチ。このハンカチはなんなのか。ハンカチを置いていったのは、梅ばあの家に火をつけた者と同一人物なのか。ならば、なぜ執拗に梅ばあにこだわるのかも謎めいてる。
謎と言えば、虎松の記憶もまだ薄い靄がかかったままだ。今回わかったのは、虎松が父子家庭で育ったこと。そして、虎松の記憶の中で蘇るあの凄惨な事件風景は、カレンダーによると2003年2月の出来事であることだ。
毎回、冒頭で流れるチャペルの記憶も、さらに詳細が明らかに。ウエディングドレス姿で倒れているのは、こころ。そして、目が覚めたこころは、目の前で倒れている誰かを見つけて叫び声をあげた。その指に光る結婚指輪から考えて虎松だと見るのが妥当だが、となるとチャペルから逃げるように立ち去った人物は誰なのか。
幸せな結婚へと突き進む2人に何があったのか、早く今後の展開が知りたい。
とりあえず今後注目しておかなければいけない人物は、こころの相棒・加賀美圭介(町田啓太)だろう。
こころの声の変化にさりげなく気づいて「泣いたあと、いつも甘えた声になるから」なんて殺し文句を言う男にろくなやつはいない。ここからどんな波乱を巻き起こしてくれるか楽しみにしたいところ。
なんだったら町田啓太も実は吸血鬼だったという設定でもいい。そしたら町田啓太に血を吸われたい人々が万里の長城より長い列をなすので、その際はぜひ町田啓太は赤十字あたりとタッグを組んだらいいと思います!(文:横川良明)
※番組情報:『unknown』
【毎週火曜】よる9:00~9:54、テレビ朝日系24局
※『unknown』最新回は、TVerにて無料配信中!(期間限定)
※動画配信プラットフォーム「TELASA(テラサ)」では過去回も含めて配信中!