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侍ジャパン・栗山監督、大谷翔平から初めて言われた“謝罪”の言葉「本当に悔しかったんだろうな」

4月2日深夜放送のGET SPORTSでは、WBCで日本を世界一に導いた栗山英樹監督がゲスト出演し、番組ナビゲーターの南原清隆と対談した。

2人は番組が始まった1998年から14年に渡ってナビゲーターとして共演。栗山監督が侍ジャパンの監督に就任してからも、WBC直前まで何度も対談を重ねてきた。

そんな旧知の2人は大会後、何を語り合ったのか――。

テレ朝POSTでは対談の模様を全6回に分けてお届け。初回は「投手起用についての構想」「大谷翔平とマウンドで交わした言葉」などに迫る。

◆栗山監督が語る投手起用の裏側

南原:「お疲れさまでした、おかえりなさい。世界一おめでとうございます!」

栗山:「ありがとうございます。選手がよく頑張りました」

南原:「栗さんもよく頑張りましたよ。顔色が少し戻っていてちょっと安心しました」

栗山:「やっぱり知らないうちに追い込まれていたんでしょうね。自分としては元気な感じだったんですけど」

南原:「帰ってくる飛行機の中では一睡もしなくてずっと考え事をしていたってスタッフから聞いたんですけど、何を考えていたんですか?」

栗山:「やっぱりあれでよかったのかなとか。結果的に勝ちましたけど、もっと違うやり方があったのかなとか」

南原:「反省ですか?」

栗山:「反省ですね。もう終わったんだから好きにやるぜって(飛行機に)乗ったんですけど、何か寝られなくて興奮していて」

多くのファンに出迎えられる中、人知れず自らの采配を振り返っていたという栗山監督。

日本中の注目と期待を一身に受け、世界一を奪還するまでの道のりはどんなものだったのか。まずは、大会を通じての投手起用について話を聞いた。

南原:「1戦目は大谷翔平投手が先発。これはやっぱり驚いたことのひとつでした。大谷投手はまだアメリカで1試合しか投げていなかったんですよ。また、2戦目のダルビッシュ有投手はまったく投げていないですよね。打撃練習で1回投げただけでぶっつけ本番。これはいつ決めたんですか?」

栗山:「1戦目、大谷翔平。2戦目、ダルビッシュ。これは早い段階で決めていましたね。1月にはもう本人と。流動的だったのは、翔平が今年エンゼルスで中6日で回るのか、中5日で回るのかということ。それに合わせて(WBCでも)回れたら一番理想だねと2人で話していました。

ダルに関しては、ある程度監督に任せますとはっきり言ってくれていました。一番大事なのは、まず韓国戦に先発すること。中5日で回るなら、ダルと翔平2人で(先発)いけばいいと思っていました。

1月の段階で彼らと話をして、初戦45~50球ぐらいと球数もある程度出てきたので、LINEで確認をして、(大谷には)1戦目と準々決勝行くよ、ダルには2戦目と準々決勝に行くよというイメージは何となく伝えていました。

一番大事なのはやっぱり準々決勝なので、それを取るためには1戦目か2戦目で(先発に)いかないと中5日以下になってしまう。そうすると、例えば山本由伸投手でいくのか、佐々木朗希投手でいくのかという考え方もありますよね

ただ僕の頭の中では、最後はアメリカと勝負をするので、アメリカでアメリカと勝負をするなら、アメリカで結果を残しているピッチャーをたくさん使いたい(と考えていました)

あのスケジュールを考えると、普通先発ピッチャーって投げても1回か2回なんですよ。だけどダルと翔平を3回投げられないかなというのが頭にあったんですね。そうすると早めに(先発)いって2回投げて最後の試合、決勝戦にいくというパターンしかない。それは最初からすごく考えていました」

南原:「なるべく早めに投げてもらってということですね。準々決勝を現地で見させてもらったんですけど、ダルビッシュ投手が2回投げると思わなかったんですよ。ちょっとびっくりしました」

栗山:「ダルの場合はまったくバッターに投げないという、ありえない登板の仕方をしてもらっていたので、結局それが最後まで尾を引きましたよね。ちゃんと調整ができないし、ダルの状態に上がりきらないまま最後までいって…。これは本当に謝るしかないです。

ただ、あの調整で試合に臨める選手は、僕はダルビッシュしか知らないです。普通のピッチャーには無理です。すごいです。状態はよくなかったけど、あそこまで持っていける彼の凄さみたいなのを感じていましたね」

1次ラウンドから決勝まで見据えた起用プランを組んでいたという栗山監督。そして準々決勝以降、一発勝負の激戦へと向かっていった。

◆マウンドで初めて聞いた大谷の謝罪の言葉

南原:「準々決勝のイタリア戦を振り返ってみましょう。点差だけでいうと9対3だったんですけど、途中までわからなかったですよね。ベンチの空気感はどうだったんですか?」

栗山:「僕もあの試合の前には選手を集めて『ここから違う戦いが始まる。ここからトーナメントなんだ。完全に切り離して』という話はしました。あの試合はものすごく緊張感がありましたね。

翔平も思った以上に調子はよかったのに5回に捕まるじゃないですか。捕まるというよりも、疲れてたぶん握力もなくなってボールがコントロールできなくなった。変え時の難しさもありましたし、翔平が点を取られてマウンドを降りていく時にものすごく緊張感がありました」

準々決勝、先発の大谷は4回までヒット2本・無失点に抑え込む上々のスタートを切った。ところが5回。コントロールが定まらず、迎えた満塁のピンチ。高めに浮いたボールを運ばれ、2失点を喫した。

球数が71球に達した大谷に対し、栗山監督は自らマウンドへ行き交代を告げた。

南原:「監督はだいたいマウンドに行かないですよね。この大会は最初から行くと決めていたんですか?」

栗山:「僕が決めたんじゃなくて、吉井理人ピッチングコーチが『監督行ってくださいよ』と言うんで、『ああそう?』みたいな」

南原:「大谷投手の時にマウンドに行ったのは初めてでしょ。何を話したんですか?」

栗山:「ピッチャー交代なのでボールを受け取った時に、翔平が『すみません』って言うから、『いやいやお疲れさん』って言いました」

南原:「やっぱり本人はもう少し投げたかったんでしょうか」

栗山:「そういう展開にしたことがすごく悔しかったんでしょうね。自分が勝たせようと思って来ているのに。勝ちたくてしょうがなかったと思うので、本当に素直に言った言葉だと思います」

南原:「マウンド上で初めて聞いた言葉?」

栗山:「マウンドから少し降りかけながら『すみませんでした』って。その言葉は僕にとっては重かったですね。試合中に初めて聞いた言葉なので。どんな展開でも謝ったりしないタイプですから

南原:「前を向くタイプだったんですか?」

栗山:「そうですね、謝る場合じゃない。この試合勝つためにできることをやるっていうタイプなので、本当に悔しかったんだろうな」

◆驚きだった大谷のバントの真相

長年連れ添った栗山監督が初めて聞いた大谷の謝罪の言葉。さらにこの準々決勝、大谷は打席でも栗山を驚かせた。

南原:「大谷がセーフティバントをしました。これ、監督は指示出してないですよね?」

栗山:「はい、まったく」

南原:「僕も3塁側で見ていたんですけど、バントしたので周りみんな『えー!? バントしたー!すげー!』ってなったんです。後からVTRを見てみたら、あのとき監督『翔平らしいな』という風に唇が動いていたみたいなんですけど、なんて言っていたんですか?」

栗山:「なんて言ったか覚えていないですけど、あのとき僕がどう思っていたかというと、『それアウトでしょ、そのバント下手糞だなって(笑)』。ピッチャーが取って普通に投げたらアウトなので(笑)。慌てたからセーフだったんですけど、なにそのバントみたいな。

確かに流れは変わったんですけど、そんな意表をついて誰も気にしていないからもっと普通にやってよっていう感じですね」

南原:「でもあれでだいぶ空気変わっていきましたよね。何かが前向きに動きそうな」

栗山:「何でもいいから勝ちにいかなきゃいけないという姿勢を見せてくれたのは間違いないですね。でもそこは翔平なので、もっとうまくやれるでしょっていう(笑)」

意表をついたバントで勝利への執念を見せた大谷。この奇策をきっかけに打線に火がついた日本は、一挙4得点をあげ、準決勝進出へ大きく近づいた。

栗山英樹監督×南原清隆対談、次回は「主砲・村上宗隆、5番降格の裏側」に迫る。

番組情報:『GET SPORTS
毎週日曜 深夜1:25より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)

『栗山英樹×南原清隆~WBC世界一の舞台裏~ノーカット完全版』はABEMAで配信中!

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