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侍ジャパン・大勢「勘違いするなよと思わされた」 屈辱の一球で露わになった思わぬ“課題”

昨シーズン、彗星のごとく現れた巨人の若きクローザー・大勢(23歳)。

プロ1年目ながら強烈なストレートでセ・リーグを席巻し、新人王を獲得。WBCのメンバーにも選出されている。

テレビ朝日のスポーツ番組GET SPORTSでは、世界に挑む大勢の“勝負の2年目”に迫った。

◆「もうあんな悔しい思いをしたくない」

昨シーズンは、まさに名前のごとく“大きな勢い”でプロ野球界を席巻した大勢。

迎えた新年1月。激動の1年を次のように振り返った。

大勢:「去年は試行錯誤しながらという感じでしたね。1年目だったのでいろいろなことを試しながらという感じでした。その経験を2年目に活かせたらいいなと思います」

プロ1年目を終えたばかりにもかかわらず、侍ジャパンにも選出。夢に見た舞台を前に、トレーニングにもより一層熱が入る。

さらなる進化を求める理由は、昨シーズンの“苦い経験”にあった。

大勢:「もうあんな悔しい思いをしたくないっていう気持ち。村上に打たれたホームラン…

そう振り返ったのは、2022年9月13日のヤクルト戦。

大勢はこの試合まで防御率1.98と安定した投球を見せていたが、5点リードの9回、昨シーズンのセ・リーグ三冠王・村上宗隆に自慢のストレートを運ばれ、55号ホームランを許した。

大勢:「本来だったら差が開いていなかったらあんまり勝負しなくてもいいバッターですし、勝負しないと思うんですけど、点差があったので、『よしいこう』といったなかでのファーストスイングでのホームランでした。自分自身に『あんまり勘違いするなよ』と思わされたというか」

力と力。真っ向勝負を挑みはじき返された大勢にとって、屈辱の一球だった。

◆露わになった“課題”

なぜ村上に、いとも簡単にストレートを捉えられたのか。実は大勢、この一球にある“課題”を見出していた。

大勢:「プロに入った当初は、シーズン後半に比べたらやっぱり(腕の位置が)高かったんですよ

注目するのは、リリース時の右腕の位置。

プロ入り当初のフォームと村上にホームランを許したフォームを比べてみると、村上に一発を許したフォームはシーズン当初よりも腕が下がり、リリースポイントも下がっている。

(写真左:プロ入り当初のフォーム、写真右:9月13日のヤクルト戦のフォーム)

大勢:「疲労が溜まっているぶん腕で投げにいっていた。それは自分の中であまりよくないこと。下げたくて下げていたんじゃなくて、疲労で下がっていたから」

意図せずにリリース時の腕が下がってしまう。この課題を克服すべく取り組んでいるのが、“足首の可動域”だ。

大勢といえば、かかとを上げ、低く沈み込んでから投げる「ヒールアップ投法」。

一度重心を上に上げたところから、右足にしっかりと重心を乗せ、右足を使って体重移動していく。そうすることで、下半身の力を効率よくボールに伝えることができる。

しかし、昨シーズン終盤は右足首が上手く使えず、重心を右足に乗せきれなかった。その結果身体のバランスが崩れ、意図せず腕が下がり、ボールに力が伝わらなくなったという。

初めてシーズンを戦い抜き、疲労に影響されない、より下半身を使った効率的な投げ方が重要だと気付いた大勢。そのためにいま重点的に鍛えているのが「足首」というわけだ。

◆プロ2年目へ、思い描く青写真

「もう悔しい思いはしたくない」――明確なテーマを持って取り組む大勢のトレーニング。とにかく意識するのは足首。キャッチボールでも、一球一球右足首の動きを確かめた。

そして迎えた2023年2月26日。

大勢の自主トレの成果は、侍ジャパンの紺色のユニフォームを身にまとった姿でベールを脱いだ。

ソフトバンクとの強化試合で8回のマウンドに上がると、“うなる”ような強烈なストレートで相手を圧倒した。わずか8球で無安打2奪三振無失点の快投。

さらに、3月3日の中日戦(強化試合)にも登板。自己最速となる159キロを2度もマークし、相手打者のバットをへし折るなど、またしても三者凡退の好投をしてみせた。

王座奪還を目指す侍ジャパンの重要な“ピース”として、そして来たるプロ2年目へ。思い描く青写真は――。

大勢:「WBCもありますし、シーズン通して野球を見てくださっているファンのみなさんを魅了できるような活躍をしたい。これからもプロ野球選手として野球をやっている姿で応援してもらえるようなプレイヤーにもっともっとなっていきたいと思います」

日本、そして世界の頂点へ挑む巨人・大勢、23歳。さらなる進化を誓う。

番組情報:『GET SPORTS
毎週日曜 深夜1:25より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)