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かたせ梨乃、実は怖がり。“極妻”の撮影で岩下志麻から怒られたことも「私を盾にして隠れたわね!(笑)」

日本人離れしたプロポーションと端正なルックスで注目を集め、『極道の妻たち』シリーズ、『肉体の門』(五社英雄監督)、『孤狼の血 LEVEL2』(白石和彌監督)、大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』(NHK)など多くの映画、ドラマに出演し、確固たる地位を築いた、かたせ梨乃さん。

20代の頃と変わらぬ抜群のプロポーションを誇り、公開中の映画『BAD CITY』(園村健介監督)では韓国マフィアの首領・マダム役を演じ、圧倒的な存在感を放っている。

 

◆『極妻』のような役は誰でもやれるわけじゃない

『名探偵キャサリン』(TBS系)、『湯けむりドクター華岡万里子の温泉事件簿』(テレビ東京系)など主演ドラマシリーズも多いかたせさん。

2021年には映画『孤狼の血 LEVEL2』に“極妻”役で出演。五十子(いらこ)会の会長を務めた五十子正平(石橋蓮司)に先立たれた妻の環を演じた。

-『極妻』シリーズのファンにはうれしいキャスティングでした-

「私は前作を観て、石橋蓮司さんが演じられた五十子会会長が重厚な艶がある極道だったから、この人の妻をやりたいなあって思ったの。

石橋蓮司さんとは、前にもNHKの『慶次郎縁側日記』という連ドラでご一緒させていただいたことがあるし、大好きなんですよね。

“極妻”というのは妻であり、姉であり、母であり、女性のいろいろな要素を持っている人。そのイメージをもう一度自分の中に蘇らせて演じさせていただきました」

-迫力があって“極妻”はやっぱり画になりますね-

「楽しかったですね。『BAD CITY』もそうなんだけど、こういう役って、やれる人が限られていて、誰でもやれる役じゃないからいいのかなって(笑)」

-『極妻』は高島礼子さんの代になったときも出演されていましたね-

「そうですね。最初の作品にちょっとお付き合いさせていただきました。『極妻』で一番多かったのは、やっぱり(岩下)志麻さんですね。志麻さんとは今でも仲良くさせていただいています」

-2022年、岩下さんは『徹子の部屋』に出演されていましたが、凛とされていて、とてもきれいでした-

「本当にきれいですよ。あれだけ美しくいられるのは、ものすごく管理、コントロールされてらっしゃるんじゃないですか。やっぱり銀幕のスターってすごいですよ。遠い人です。オーラが違いますからね。今もカッコいいし、志麻さんはやっぱりすごいと思う」


©2022「BAD CITY」製作委員会

※映画『BAD CITY』
公開中
配給:渋谷プロダクション
監督:園村健介
出演:小沢仁志 坂ノ上茜 勝矢 三元雅芸 山口祥行 本宮泰風 波岡一喜 TAK∴ 壇蜜 加藤雅也 かたせ梨乃 リリー・フランキー

◆暴発した銃の音が怖すぎて、思わず岩下志麻の後ろに…

かたせさんは、現在公開中の映画『BAD CITY』にひとり息子・テギョンを殺害された悲しみを抱える韓国マフィアの首領・マダム役で出演。

この映画は、小沢仁志さんがOZAWA名義で製作総指揮・脚本も担当した小沢仁志還暦記念作品。小沢さんが100人以上にのぼる敵を相手に、CGなし、スタントなしのガチンコアクションに挑戦していることも話題に。

-小沢(仁志)さんと共演されたことは?-

「30年近く前に『沖縄恋唄 マングローブの島の女』というドラマで沖縄ロケに一緒に行ったのが最初ですね。ほかに同じドラマに出ていたことはあるんですが、しっかりお芝居をさせていただくのは久しぶりになります」

-今回は、小沢さんが製作総指揮、主演、脚本もということですが、「梨乃姐の芝居に泣かされた」とおっしゃっていましたね-

「アクション映画なんだけれども、私の役としては息子の復讐劇じゃないですか。私は『母なる証明』(ポン・ジュノ監督)という映画が大好きで、母子ものをやりたいなあってずっと思っていたんですよね。

この映画は、マダムと息子についてのシーンはそんなに出てくるわけじゃないんだけど、最終的に自分の生き方に息子を巻き込んで殺されてしまうことになってしまったという母の後悔についての心情の話が、私がやりたい作品に共通する部分があったんですよね」

-かたせさんのパートが出てくることで、全然違いますよね。息子を自分のせいで死なせてしまったという切ない思いも感じられて-

「そうですね。あとやっぱり孫。血がつながっているということですよね。不思議なのは、私はマフィアで小沢さんは警察なのに、彼をマフィアにスカウトしようとするというのがおかしくて(笑)。『うちに来ない?警察に置いておくのはもったいない』って」

-かたせさんの金髪姿も合っていました-

「私は外国人の役をやるのは初めてなんですよ。黒い髪じゃないほうがいいかなと思って、衣装合わせのときにかつらを何個か用意していただいたんです。それで金髪がいいかなって」


©2022「BAD CITY」製作委員会

-かたせさんが拳銃を手に…というのは、『極妻』を思い出してうれしくなります-

「でも、私は弾着とかもやったことはあるんだけど、怖がりだから火薬がダメなんですよ。長くそういう現場で仕事をしてきているから、初めて拳銃を持つのとは違うというのはありますけどね。

ただ、本作は周りがベテランじゃないですか。マダムの側近役の本宮(泰風)さんにしても小沢さんにしても。だからそういう意味では、安心してできましたね。

走って逃げたりしなきゃいけないから、本宮さんが本当の側近かのように、動線とか足元がつまずかないようにとか、このコースで行けば大丈夫だとか、そういうのを全部チェックしてくださったんです」

-マダムの忠実な部下という設定そのままですね。本宮さんがいたら、何かあっても絶対大丈夫という感じがします-

「そうなの。私は怖がりだから音が怖くて耳栓をしていたんですよ。それで何か言われても聞こえなくて、後から自分が耳栓をしていたことに気がついたりね(笑)。

火薬の取り扱いとかは結構ドキドキしちゃうんです。前に『極妻』の発砲シーンの撮影で、スタッフさんが火薬の調整をしていたときに銃が暴発してしまったことがあったの。

『バン!』ってなったときに、私は思わず志麻さんの後ろに隠れちゃったんですよ。映画の中ではからだを張って姐(志麻)さんを守っているのにね。『私を盾にして隠れたわね!』って怒られちゃった(笑)」

-この映画に関しては、小沢さんがガチでやってらして-

「そうなんですよ。すごいですよね。私は拳銃を左手で持って撃つんだけど、右利きだから最初は右手の予定だったのね。だけど、左側に本宮さんがいて、右手で拳銃を受け取ると0コンマ何秒遅れてしまうの。

だから左手で受け取りたいんだけど、それが難しいんですよ。左手で拳銃を撃つことはできるけど、受け取るのがね。それで、『どうしよう?』って言ったら、本宮さんがすごいの。私が左手を前に出したら、次の瞬間拳銃が私の左手に入っていたんですよ。まったく問題なかった。

すごいなあって思った。視線を相手から離さずに拳銃を手にして撃ったほうが強いんですよ。さすが(撮影で)拳銃を扱い慣れている人は違うなあって(笑)」

-かたせさんも『極妻』では、拳銃だけでなくマシンガンも手にしていましたね-

「そうですね。マシンガンもやりました。結構いろいろやっていましたね」

-殺された息子の奥さん役の圭叶さんは、嶋大輔さんのお嬢さんだそうですね-

「そうなんですってね。すごく可愛らしい方で、目の可愛い感じが嶋さんと似ているの。嶋さんと共演したこともありますからね。可愛らしいお嬢さんだなあって思いました。撮影のときは知らなかったんだけど、彼女は韓国語もしゃべれるみたいですね。

孫役の子どもちゃんは素人ちゃんなんですよ。役者さんじゃないの。だからはじめは『何で僕はここにいるの?』って感じだったんだけど(笑)。そのキョトンとしている感じが反対に悲しかったの」

-状況がわかってないわけですものね。最初登場したときには怖そうなマフィアのマダムが、最後はガラッと変わって-

「あのシーンは台本を読んだとき、フッと志麻さんの顔が浮かびました。そして選んだのが、あの帽子です」

-出来上がった作品をご覧になっていかがでした-

「私はアクション映画に出たのは、初めてなんですよね。『極妻』とかはアクション映画ではないじゃないですか。任侠映画でしょう? 女の極道の社会と、男の社会って全然描き方が違いますからね。

それとやっぱり小沢さんが、60歳でCGを使わないでアクションをあれだけやるのはすごい。ちゃんと管理していますよね。役者の基本は、『いかに自己管理ができるか』ということだと思います。小沢さん、本気度MAXでしたからさすがです」

 

◆体型維持の秘訣は水泳とウォーキング

かたせさんは、20歳過ぎまではまったく泳げなかったが、20代のときに映画の仕事で泳ぐシーンがあり、必要に迫られて水泳をはじめたという。

-見事なプロポーションを維持し続けていらっしゃいますね-

「やっぱりからだがちゃんとしてないと、自分がやりたいことや伝えたいことができないですよね。からだが弱いと。

水泳は習慣にしちゃったから、今日も泳いできたしね。もう生活の一部になっています。朝起きて歯を磨かないと気持ち悪いでしょう? そういう風になっちゃいましたね」

-イメージ的には、華やかな夜の街に…という感じですが-

「前は出かけていたんだけど、コロナで変わりましたね。もし自分に何かあったら、撮影が途中で中断しちゃって迷惑をかけることになるから、そういうことがないように気をつけて、あまり出かけなくなりました」

-ものすごく規則正しい生活を送られているそうですね-

「おうちにいるから早く寝ちゃうんですよ。今はちょっと寒いからダメだけど、朝明るくなるのが早くなったら、空気がきれいだから朝お散歩に行ったりとかね。コロナ禍でウォーキングをはじめたので」

-皆さんが驚くくらい変わらないですね-

「一時、ちょっと太った時期もあったんだけど、今は20代後半から30代くらいの体型に戻りました。でも、同じにはならないけどね。やっぱり年齢は重ねているわけだから、全体的に重力がかかって、下がってきちゃっているけど、体重とかはその頃に戻った。

一時ちょっと太ったときは、アルコールの摂取も多かったし、夜中にいろんなものを食べちゃったりしていたので、そうすると血液が汚れたりするじゃないですか。でも、それをやめて今、20代後半から30代の体重に戻ったら血液もきれいになったみたい」

-2023年にやりたいことは?-

「いま、配信があったりとか、昔とちょっとずつ変わりつつあるじゃないですか。はじめはポータブルで映画を観たりすることに抵抗がすごくあったんですよ。

スクリーンで観るものは、やっぱりスクリーンで観たほうがいいんですけど、またくり返して観たいときにそれはそれで身近なものとなって自分の目の中に入ってくるのは、悪くはないなあって。

それと、誰もが映画館に行けるわけではないから、たくさんの方に観ていただくために、配信というのもあるのかなって。Netflixとかおもしろいものをやっているじゃないですか。好きなときに時間を選ばないで観ることができるのは、便利だし有りなのかなって思うようになりましたね」

-新たにやりたいことはありますか?-

「今が幅広い年齢の役をできるギリギリなんですよ。自分の実年齢よりちょっと若い役、それから実年齢よりちょっと上の役。年齢幅広く演じられる役に出会えたらうれしいですね」

茶目っ気タップリに話す笑顔がとてもチャーミング。水泳とウォーキングでプロポーションも完璧。セクシーでカッコいい!(津島令子)

ヘアメイク:山岸直樹(Rouxda’)