テレ朝POST

次のエンタメを先回りするメディア
未来をここからプロジェクト
menu

俳優・平山浩行、「本当に勉強になった」内野聖陽との共演。演技、姿勢、役作り…「役者ってこういう人のことをいうんだ」

2003年、人生初のオーディションで『高原へいらっしゃい』(TBS系)のメインキャストのひとりに抜てきされ、念願だった俳優デビューを飾った平山浩行さん。

2007年にはドラマ『碌山の恋』(TBS系)に主演。『臨場(続章)』(テレビ朝日系)、『やすらぎの刻~道』(テレビ朝日系)、映画『ハルカの陶』(末次成人監督)などコンスタントにドラマ、映画に出演することに。

 

◆元板前のホスト役に「黄色い声援とはこういうものかと…」

2005年、平山さんは、第二次世界大戦で世界最強最大と謳(うた)われた「戦艦大和」に乗り込んだ乗組員たちの悲劇を壮大なスケールで描いた『男たちの大和/YAMATO』(佐藤純彌監督)で映画デビュー。

2006年には、映画『ウォーターズ』(西村了監督)に出演。これはひょんなことから人助けのためにホストクラブをはじめることになった7人の若者たち(小栗旬・須賀貴匡・松尾敏伸・森本亮治・葛山信吾・桐島優介・平山広行※)の奮闘を描いたもの。平山さんは元板前の鉄平役を演じた。(※平山広行は当時の芸名)

-私は初日の舞台あいさつのMCをさせていただきましたが、あれからもう16年、早いですね-

「そうですね。あの映画は小栗旬くんが主演だったんですけど、その前にドラマで共演させてもらっていたので、『また一緒になったね』って」

-小栗さんをはじめ、若手イケメン俳優の皆さんがそろっていたので、おひとりずつ登場していただくたびに悲鳴と熱気がすごくて驚きました-

「そうでしたね。『黄色い声援ってこういうものなんだ』って思いました(笑)。本当に『キャーッ』という悲鳴でしたよね」

-女性から黄色い声援を受けるのは?-

「僕はアイドル志向ではないので、照れ臭くて仕方がなかったです。作品は群像劇の青春映画だったので撮影は楽しかったですけど」

-あのときの役名も字は違いますが、『やすらぎの刻~道』と同じ「鉄平」でしたね-

「そうなんですよ。自分では、鉄平(鉄兵)というのは結構気に入っている役名です。男っぽくていいなあって」

2007年、『碌山の恋』でドラマ初主演。2010年には『臨場(続章)』に出演することに。このドラマで平山さんは、元有名チーマーだったが、父親を殺した犯人を逮捕するべく警察官になった永嶋武文役を演じた。

「『臨場』もテレビで何回も再放送されていますけど、元チーマーで改心組。グレていた人間が、父親を殺されてその犯人を見つけるために刑事になるというドラマティックな設定でした。

『臨場』で内野(聖陽)さんと共演させてもらって、本当にすばらしいなあと思ったんですよ。役者ってこういう人のことをいうんだなあって思わせてくれた方でもありましたし、すごく尊敬しています。演技、芝居に向かう姿勢、役作り…本当に勉強になりました。

僕が演技の経験がそんなにないとか、そういうことはまったく関係なく、内野さんは接し方が、みんな一緒なんですよね。すごく優しくて。

僕がちょっとNGを出したときでも、『大丈夫。俺たちはできるんだから大丈夫だよ』という優しい言葉をかけてくださったり、すごく勇気づけてくださる方です。

頑張ろうという熱意、そういう心と心が通じ合っていたメンバーだったので、役者ってそういう目に見えない力があって、何も言わなくてもわかっている、わかってくださる、そういう関係性がすごく良いなあ、良かったなあって思います」

-『臨場』は劇場版もできましたね-

「うれしかったです。今はできないような大がかりな爆破シーンもあって、すごかったじゃないですか。結構派手にやっていましたよね。あれ以来、そういう派手な作品はあまりやってないので、本当に良い経験ができたと思っています」

 

◆お母さんが大好きな息子役に

2011年、平山さんはオムニバス映画『それでも花は咲いていく』(前田健監督)の一篇「パンジー」に主演。この映画で平山さんは、最愛の母親(麻生祐未)を突然亡くしてぼう然と日々を送る息子を演じた。

-男の子はお母さんが大好きだと言いますけれども、本当にその典型でしたね-

「そうなんです。お母さんのことが大好きな息子役で、母親が生前使っていたタオルケットをかけてその匂いに包まれて安心して眠り、起きたら匂いが消えないように袋にしまっておく。

母親だけじゃなくて、父親とかおばあちゃん、おじいちゃんだとしても本当に心から愛していたら、生前着ていた洋服とか布団の匂いを懐かしいって嗅いでみたり、それを抱いて寝ると安心するということもあるかもしれないなと。でも、親を大事にするということは絶対なので、間違いではないなと思います」

-お母さん役の麻生祐未さんがまた本当にきれいでステキなんですよね-

「そう。きれいすぎるんですよ。恋人ができてもお母さんと比べてしまってうまくいかない。あまりにもきれいで良いお母さんなので亡くなった喪失感が大きいというのがわかりますよね」

-デビューされてからこれまで途切れることなく映画、ドラマをされていますが、辞めたいと思ったことは?-

「それはいろいろありますね。やっぱり自分がやりたいと思う作品とまた違う作品だったりすると、役者は何でもできないといけないんでしょうけど、そこに興味がないと難しいですよね。たとえば殺人鬼の役とかをやっていると、『これって僕が伝えたかったことなのかな?』という疑問が出てくるわけですよ。

逆に刺すよりも刺されるほうがいいとか、そういう思いがよぎったりして、犯人役は自分には向いていないと思ったこともありましたしね。でも、犯人役をやってみると、『犯人役っておもしろいなあ。やりがいがあるなあ』って思ったりして(笑)」

-実際にはやらない、できないことがお芝居の中でできるわけですからね-

「そうなんです。実際にはできないことですからね。でも、そういう役をやると、悪い印象を持たれたりすることもあるわけじゃないですか。それが役者なのかなとか、いろんな思いが頭をよぎって自問自答したりしながらずっときていますね」

-平山さんの場合は、養成所や演技スクールではなく、全部現場での経験でやってこられたわけですよね-

「そうです。僕は演技学校とかに通ったことはないですからね。全部現場で学ばせてもらってきたので、それはすごく贅沢なことだと思います。なかなか現場で学ぶなんてことはできないじゃないですか。それをやらせていただけたので、ありがたかったです。

そうしようと思っていたわけではないんですけど、お仕事をいただきながら、一個一個勉強させていただいたという感じですね」

平山さんは、『S -最後の警官-』(TBS系)、『オトナ女子』(フジテレビ系)、映画『BRAVE HEARTS 海猿』(羽住英一郎監督)、映画『昼顔』(西谷弘監督)など次々と話題作に出演することに。

 

◆趣味の陶芸を活かせる役に挑戦

2019年、平山さんは、『やすらぎの刻~道』に根来(ねごろ)鉄兵役で出演。「鉄兵兄ちゃん」とみんなに慕われ頼りにされる存在だったが、「喰うためでもないのに生き物を殺すのは性(しょう)に合わん。殺すのもイヤだし、殺されるのもかなわん」と徴兵を拒否して失踪してしまう。

-すごく印象的な役でしたね-

「そうですね。寡黙な人間というか、『戦争は、俺は好かん』って筋が通っていますよね。やっぱり倉本(聰)さんはすごいなあと思いました。戦争に対する思いもですけど、みんなが助け合って生きていて、本当に良い昭和の時代を描いていたじゃないですか。脚本の力ってすごいなあって思いました」

-命の大切さが伝わってきますよね。猟銃を抱えている姿も絵になっていました-

「すごく演じやすかったというか、自然にできましたね。本当に台本に書かれているものに対して共感をして、そのまま無理なく演じられました。

普通は『えっ?こういうことを言うかな?』って、ちょっと疑問が湧いたりすることがあったりもするんですけど、あのドラマに関しては、何の疑問もなく自然と体に入れて表現するという感じで、あんなに芝居がやりやすかったことはないです」

同年、平山さんは、岡山県備前市で陶芸に情熱を燃やす人々を描いた映画『ハルカの陶』に出演。頑固でぶっきらぼうな職人気質の若き気鋭の備前焼作家・若竹修を演じた。

-『碌山の恋』では彫刻家、『ハルカの陶』では陶芸家でしたが、職人さんも合っていましたね-

「ありがとうございます。僕は趣味で陶芸をやっていたので、『ハルカの陶』は、ぜひぜひという感じでした」

-陶芸はいつ頃はじめられたのですか-

「都内にある陶芸教室に通いはじめたのは、10数年前からです。『陶芸をやりたい』ということをずっと言っていたら、そういうテレビ番組の仕事があったんですよ。それで益子焼の窯元とかアトリエに行かせていただいたので、『じゃあ、はじめよう』って」

-自作のお皿で食事されたりしているのですか-

「そうです。そういうのが目的ではじめたので、自分で作ったものはいろいろあるんですけど、作るのってすごい時間がかかるんですよ。粘土で形を作って、乾かして、素焼きをして、削って…とか。結局1カ月とか2カ月くらい時間がかかっちゃうので、だったら買ったほうが早いと(笑)。

お金も時間もかかるので、これってやっぱり仕事として本格的にやらないとダメだ。趣味で簡単にできるものじゃないなと。この日に削りに行かないと固まっちゃうんだけど、仕事で行けないってなっちゃったこともあるし、これは本当に難しいなと思ったんですよね、1から10まで全部やるというのは。

ただ形を作るだけだったら簡単だけど、それだけやって、『あとはお願いします』というのでは自分の作品じゃない気がして。やるなら最後まで焼き場まで行って、出来上がりが見たいじゃないですか。そこまでやるには、ちょっと障害がいろいろあるかなって。

『ハルカの陶』のときには一応まったく知らないわけではないので、そういう意味では良かったですね。やっていておもしろかったです」

実際にやっていただけにリアルで絵になっていた。さまざまな役柄にチャレンジを続けて平山さんは、『わたし旦那をシェアしてた』(日本テレビ系)、『おじさまと猫』(テレビ東京系)など話題作に出演することに。

次回はその撮影エピソード、初主演映画『シグナチャー~日本を世界の銘醸地に~』(柿崎ゆうじ監督)の撮影裏話も紹介。(津島令子)

ヘアメイク:鎌田順子(JUNO)
スタイリスト:久保コウヘイ

※映画『シグナチャー~日本を世界の銘醸地に~』
2022年11月4日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開
配給:カートエンターテイメント
監督:柿崎ゆうじ
出演:平山浩行 竹島由夏 徳重聡 山崎裕太 渡辺大 伊藤つかさ 長谷川初範 宮崎美子 榎木孝明

日本のワイン業界を牽引(けんいん)した麻井宇介(浅井昭吾)の想いを受け継ぎ、「日本を世界の銘醸地」にするために奮闘する醸造家・安蔵光弘の半生を描く。1995年、東大大学院を卒業した安蔵(平山浩行)は、ワインを作りたいという希望叶えるために山梨県勝沼町にあるシャトーメルシャンに入社。そこで会社の大先輩である麻井宇介(榎木孝明)と出会い、その見識の高さと人柄に傾倒していく。やがてワインの醸造にも携わる中で、ワイン造りを切磋琢磨する仲間にも出会うことに…。

はてブ
LINE
おすすめ記事RECOMMEND