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宇野祥平、映画『罪の声』でみせた入魂の演技。10kg以上減量、声をかけられないほどの役作り「皆さんの力でなれた」

2009年に公開された『オカルト』(白石晃士監督)で映画初主演を果たし、自身がモデルになった映画『俳優 亀岡拓次』(横浜聡子監督)、映画『セーラー服と機関銃 -卒業-』(前田弘二監督)など多くの映画やドラマに出演している宇野祥平さん。主役を張るようになっても役の大小に関わらず意欲的に作品に参加し、独特の存在感を放っている。

2020年に公開された映画『罪の声』(土井裕泰監督)では、10kg以上減量し、悲壮感をにじませた入魂の演技で、かつての誘拐事件のキーパーソンを体現。第44回日本アカデミー賞優秀助演男優賞、第94回キネマ旬報ベスト・テン助演男優賞など複数の助演男優賞を受賞して話題に。

 

◆自身がモデルの一人となった映画に出演

2016年、映画『セーラー服と機関銃 -卒業-』に出演。この映画は、薬師丸ひろ子さん主演で1981年に公開され、社会現象を巻き起こした映画『セーラー服と機関銃』(相米慎二監督)のその後を描いたもの。

宇野さんは、かつて伯父(榎木孝明)を殺した敵を機関銃で襲撃する事件を起こした18歳の少女・星泉(橋本環奈)が組長をつとめていた弱小ヤクザ・目高組組員の晴雄役。

目高組はすでに解散し、女子高生としての生活を送りながら「メダカカフェ」の店長となっていた泉と店員となっていた組員たちだったが、泉の友だちがモデル詐欺事件に巻き込まれたことがきっかけで、再び不穏な影が…という展開。

-宇野さんは、とても人のよさそうな組員・晴雄を演じてらして印象的でした-

「ありがとうございます」

-『セーラー服と機関銃』のその後をキャストも全部変わって撮影すると聞いたときはいかがでした?-

「とてもビックリしました。自主映画から一緒にやらせてもらっている高田亮さんが脚本を書き、前田弘二さんが監督し、リメイクではなく“その後”を描くということにも驚きました」

-撮影現場はどんな感じでした?-

「橋本環奈さんは当時16歳でしたが、大人ばかりの中、堂々としていて肝(きも)が据わっている方だったので、僕は映画の中と同様に組長についていくだけでした」

-あれだけ話題になった映画の続編ということでのプレッシャーは?-

「相米慎二監督の『セーラー服と機関銃』は大好きな映画なので、もちろん緊張はありましたが、昔から知っているプロデューサーの星野秀樹さん、脚本家の高田さん、前田監督の挑戦に参加したいという気持ちが強かったです」

同年、宇野さんは、自身がモデルになった映画『俳優 亀岡拓次』に宇野泰平役で出演。主人公・亀岡拓次(安田顕)は、ホームレス、泥棒、チンピラ、斬られ役などさまざまな役をこなし、業界的には誰もが知っているおなじみの顔で、“現場に奇跡を呼ぶ男”と呼ばれている俳優。

作品の規模や役の大小に関わらず、スケジュールさえ合えばどんな役でも応じ、監督たちに重宝されている、不器用だが愛すべき俳優のユーモラスな日々を温かい目線で描いた作品。原作は、自身も劇団を持ち、俳優としても活躍する作家・戌井昭人さんによる小説『俳優・亀岡拓次』。

-この映画は、宇野さんがモデルの一人だと言われていますね-

「戌井昭人さんが言ってくれていますが、半分以上は戌井さん自身だと思います(笑)」

-宇野さんご自身も芸名に近い宇野泰平という役名で出演されています-

「戌井さんは映画が大好きな方なので、殿山泰司さんへのリスペクトと願いを込めて“泰”という字を僕の名前に入れられたのかなと勝手に思っています。殿山さんの足元にも及ばないですが大変光栄に思いました」

-どの辺が自分だなという感じですか?-

「僕が演じた宇野泰平は、原作に描かれた宇野泰平とは少し見え方も違うように思います。横浜聡子監督がイメージを膨らませてくれました。そんな泰平が自分に近いかというと、わからないです。あるかないかわからない僕の側面を、横浜監督が引き出してくれた実感があります」

-どんな現場でも何とかしてくれる、“現場に奇跡を呼ぶ男”ってカッコいいですよね-

「亀岡拓次おもしろいですよね(笑)」

-亀岡が海外の映画のオーディションを受けたと聞いて、目を輝かせて『いいなあ、僕には声がかからなかった』って言っているときの宇野さんの少年のような純粋な表情が印象的でした-

「売れっ子の亀岡が羨ましかったんだと思います。宇野泰平としても、宇野祥平としても(笑)」

 

◆自身と重ね合う役で複数の助演男優賞を受賞

2020年、宇野さんは、実際にあった昭和最大の未解決事件をモチーフに過去の事件に翻弄される2人の男の姿を描く映画『罪の声』に出演。

35年前に起きた昭和の未解決事件を追う新聞記者・阿久津(小栗旬)は、当時犯人グループの脅迫テープに声が使われた京都在住のテーラー店主・曽根(星野源)をはじめ、3人の子どもたちにたどり着く。

宇野さんは3人のうちの一人、生島聡一郎役。子ども時代に自分の声が脅迫に使われてしまったことで人生が一変。自分の声が脅迫に使われたことをまったく知らなかった曽根と対照的に事件の影におびえ、身を潜めて生きてきて死をも考えた聡一郎を入魂の演技で体現。全身から悲壮感をにじませた演技が魂を揺さぶる。

「土井裕泰監督が原作を読んだときに、僕のことを思い浮かべていただいたとお聞きしました。プロデューサーの那須田淳さんはじめ、たくさんの方のおかげで参加できたと思いますし、とてもうれしかったです」

-宇野さんが演じた聡一郎の人生は、本当に壮絶でしたね-

「僕も同じ関西生まれ、関西育ち、同世代なんですが、聡一郎の人生を思うと言葉がでないですが…」

-全身から苦悩、それまで歩んできた重さ、切なさをにじませた姿は観ていて鳥肌が立ちました。どれだけのものを抱えて生きてきたんだろうって-

「とても大きかったのが、服の質感や眼鏡の汚れや曇り、生活している部屋、使っているもの、部屋に入る光、各パートのスタッフの方々に聡一郎の生きてきた年月を作っていただきました」

-あの役のオファーが来たときはどう思われました?-

「オファーをいただく前に、たまたま塩田武士さんの原作を読んでいたのですが、全然違う人生を歩んできたのに何か惹かれるものがありました。言葉にするのは難しいのですが、自分に重ねた部分があったんです。

僕は早くに母親を亡くしまして、母に対して後悔や失望のようなものがずっとありました。土井監督とは面識がなかったのですが、僕よりも僕のことを知っているんじゃないかと思いドキッとしました」

-かなり体重も落とされて、いかに良心の呵責(かしゃく)に苛(さいな)まれ、苦しんで生きてきたのかということが痛いほど伝わってきました-

「原作を読んだとき、からだが壊れていっているような、何と声をかけていいのかわからなくなるような、それまでの時間がにじみ出てしまっているような強い印象が残ったので、聡一郎になるには今の体重ではないなと思いました」

-周りの方も声をかけられない雰囲気だったとおっしゃっていましたけど、本当にすごかったです-

「小栗さん、星野さんに聡一郎共々デリケートに察してもらいました。土井監督はじめ、スタッフ、共演者の皆さんの力で聡一郎になれたように思います」

-日本アカデミー賞をはじめ、多くの賞を受賞されましたがいかがでした?-

「今もそうですが、なかなか実感がわかなくて。自分がそういう賞をもらえるとは思っていませんでしたし、役者だけじゃなくて、何かの賞をもらったのも初めてなので(笑)。

だから実感がないというのが正直なところなんですけど、ただ関係者の皆さんや、今までお世話になってきた方々が喜んでくれたので、それがうれしかったです」

-『罪の声』で注目を集めて演じる役柄も変わっていったと思いますが、ご自身ではどのように?-

「色々な役をいただけて本当にありがたいことだと思っています」

-役柄が大きくなると拘束時間も多くなって、何本も出演するのは難しくなったのでは?-

「僕は器用ではないので、できるだけ掛け持ちはしないようにしたいのですが、今はどうしてもコロナで延びたり、重なってしまうときがあるので申し訳なく思っています。できるだけ一つずつ丁寧に演じていきたいと思っています」

誠実で謙虚な姿勢も愛されるところ。『罪の声』で業界やもともとの映画ファンだけでなく、認知度が拡大した宇野さん。

『恋するけだもの』(白石晃士監督)、『前科者』(岸善幸監督)など多くの作品に出演。2022年7月8日(金)に『ビリーバーズ』、8月26日(金)に『アキラとあきら』(三木孝浩監督)、8月27日(土)に『オカルトの森へようこそ THE MOVIE』、9月1日(木)に『さかなのこ』(沖田修一監督)と公開待機作が多数控えている。

次回後編では、『ビリーバーズ』の撮影エピソードも紹介。(津島令子)

※映画『ビリーバーズ』
2022年7月8日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次公開
配給:クロックワークス、SPOTTED PRODUCTIONS
原作:山本直樹『ビリーバーズ』(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
監督:城定秀夫
出演:磯村勇斗 北村優衣 宇野祥平 毎熊克哉ほか
宗教的な団体「ニコニコ人生センター」に所属しているオペレーター(磯村勇斗)、副議長(北村優衣)、議長(宇野祥平)の3人は、無人島での共同生活を送っていた。3人は瞑想、夢の報告、テレパシーの実験…本部からメールで送られて来る不可解な指令″孤島のプログラム″を実行していたが…。

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