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15歳のエース、飛び込み・玉井陸斗。世界水泳の初舞台はパリ五輪メダル獲得への第一歩

6月17日(金)から、ハンガリーのブダペストで開催されている世界水泳。

大会終盤の7月2日(土)の予選から開始される飛び込み・男子10m高飛び込みに出場する玉井陸斗(15歳)にとって、初めて経験する海外での世界大会は、今後の成長へ向けた重要な機会になってくる。

自身初の世界水泳に挑む玉井陸斗

小学1年から飛び込みを始め、19年4月の日本室内選手権では12歳7か月ながらも474・25点という高得点で史上最年少優勝を果たして注目された玉井。

同年8月の世界選手権は年齢制限のために出場できなかったが、9月の日本選手権では最高難度の109C(前宙返り4回半抱え型)など2本を抜いて難易度を落とした構成ながら、世界選手権4位相当の498・50点を出して優勝した。

コーチは、96年アトランタ五輪に高校1年で出場し高飛び込み決勝進出で10位になって以来、東京大会まで6大会出場のレジェンド・寺内健を育てた馬淵崇英氏。

その寺内の後を継ぎ、日本飛込界に新たな歴史を作る逸材として注目されるようになった。

小学5年生から指導を受ける馬淵崇英コーチと

そして、新型コロナウイルス感染拡大のために東京五輪が1年延期されたなか、21年5月に東京五輪プレ大会も兼ねて開催されたワールドカップでは、シニア国際大会初出場ながら、予選では5本目終了時点で準決勝進出圏外の19位タイだったが、最後の5255B(後ろ宙返り2回半2回半ひねりえび型)をきれいに決めて91・80点を出し15位に上げ、準決勝進出18名までに与えられる五輪出場権を獲得。準決勝9位で進出した決勝では8位と勝負強さを見せつけた。

そして東京五輪でも、その度胸を存分に披露。予選は最初の407C(後ろ踏切前宙返り3回半抱え型)をしっかり決めた後は3本で大きなミスをして、最後の6本目を終えた時点では21位。

だが、最後の5255Bをノースプラッシュの91・80点にして、374・25点の16位で通過。さらに準決勝は大きなミスを2本だけに抑えて413・65点で8位になると、4本目までは大きなミスは無く、7位に付けた決勝では5本目307C(前踏切後ろ宙返り3回半抱え型)で大きなミスをしたが、最後の5255Bを堅実に決めて7位を維持し入賞を果たした。

「7位だったけど、この大会で今できる最大の演技は出来たと思います。5本目に失敗した307Cは、予選と準決勝で回転が足りない落ち方をしていたので、それを修正しようと思って回転し過ぎるくらいの意識で頑張った結果なので、悔しいとか悔いが残るというのはない。4本目まではいい流れ出来ていると思っていたが、5本目も悪い演技だったが落ち込むというより、思い切りやった結果だと捉えています」

予選から決勝まで18本の演技。「予選はハラハラドキドキだった」と笑う馬淵コーチは、「14歳でありながら決勝であの6種目を飛べるのは、自分の経験上でもなかなか想像がつかないこと。難しい技、雰囲気、プレッシャーなど……、なかなか落ち着くことすら難しいと思うが、まだ海外経験も少ない中でよく集中し、よく修正しながら最後まで自分の演技をまとめて入賞できた。本人も次のパリ五輪ではメダルが獲れるという自信がついたのではないかと思う」と振り返っていた。

それでも難易率3・7の109Cを最高に、6種目の難易率合計の21・1は東京五輪金メダルの曹縁(ソウエン・中国)や銅メダルのトーマス・デーリー(イギリス)などの上位選手と比較しても、同じか上回るくらいと世界のトップレベル。当時14歳にしてそこまで高い難易率の種目構成を組めること自体が、彼の素質の高さを物語っている。

その構成で五輪後9月の日本選手権では、東京五輪4位相当となる516・85点を出して優勝している玉井は、「最近はいろんな人から、体が大きくなったといわれることが多くなった」と筋力強化継続の成果を話し、「パワーもだいぶ出るようになってきて、演技に余裕が出たりしているのでいい風に影響していると思う」とその手応えを口にする。

さらに、得意種目と自認する最後の5255Bも、「100点を超える演技をしたいと思っているので、毎日『この一本を決めたら五輪優勝!』とか思いながら飛んでいます」と笑顔でいい、馬淵コーチも「もういつでもきれいに飛べるという状況で、安心してみていられる」と評価する。

世界水泳でのメダル獲得が2024年のパリ五輪へとつながる

そんな玉井の今回の世界選手権の目標はもちろんメダル獲得だが、ロシア勢欠場といってもまだ中国やイギリス、ウクライナなど東京五輪上位選手はいる。

その中でも、「開催地や時期が変更された世界水泳だが、『自分の演技がどうできるか』としか考える必要は無いと思う。今自分が出来ることを海外の大会で発揮し、来年の福岡開催の世界選手権でさらにいい成績が出たらいいなと思っている」と冷静に構えている。

飛び出しのジャンプ力や回転スピードは世界でもトップクラスと評価される玉井が、ノビノビとした気持ちで挑戦する世界水泳の初舞台。それはパリ五輪メダル獲得への第一歩になるはずだ。<ライター:折山淑美>

メダル獲得が期待される日本代表選手たち

テレ朝動画では、世界水泳ブダペストの飛込競技・全種目を以下の日程で配信。

玉井陸斗選手をはじめ、メダル獲得の期待がかかる日本代表選手たちの活躍をぜひご覧ください!

◆テレ朝動画配信スケジュール

<競技の翌日にアーカイブ配信>
・6/26(日)男子3mシンクロ飛板飛込 決勝
・6/27(月)女子10m高飛込 決勝
・6/28(火)男子3m飛板飛込 決勝、男子10mシンクロ高飛込 決勝
・6/29(水)3m/10m チームイベント、女子1m飛板飛込 決勝、混合3mシンクロ飛板飛込 決勝
・6/30(木)男子1m飛板飛込 決勝、女子10mシンクロ高飛込 決勝
・7/1(金)混合10mシンクロ高飛込 決勝

<ライブ配信>
・7/2(土)男子10m高飛込 予選、男子10m高飛込 準決勝、女子3m飛板飛込 決勝
・7/3(日)女子3mシンクロ飛板飛込 予選、女子3mシンクロ飛板飛込 決勝、男子10m高飛込 決勝

詳しくはこちらのHPをご確認ください

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