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『愛しい嘘』第3話までに主要人物6人中2人が命落とす。犯人探しの上を行く極上ミステリー展開へ【ネタバレ有り】

<ドラマ『愛しい嘘~優しい闇~』第3話レビュー 文:横川良明>

え! 第3話の時点で主要登場人物6人中2人死んじゃったけど大丈夫? ジェイソンでもちょっと殺しすぎじゃない?って気を遣うレベル。

金曜ナイトドラマ『愛しい嘘~優しい闇~』はどうやら犯人探しの上を行く展開へと突入していきそうだ。

◆優美が死んだのはただの不注意か、それとも…?

奈々江(新川優愛)の死の真相が、意外な人によって語られた。

「奈々江を殺したの、私なんだ」

そう告白したのは、優美(黒川智花)だった。

夫・正(徳重聡)から暴力を受けていること。その逃げ場として不倫に走ったこと。それを知り、笑った奈々江が許せなくて、優美は奈々江を橋の上から突き落とした。

不遇な奈々江にとっては、自分より下の人間がいることがうれしかったんだろう。けれど、その優越感が優美の心に殺意の種を植えつけた。

私より不幸せでいてほしい。そうやってお互いの足を引っ張り合うようにして、奈々江も優美ももう二度と這い上がってくることのできない谷底へ落ちてしまった。

そして、その優美も望緒(波瑠)の目の前で血を吐いて絶命した。これで、再会した同級生6人のうち2人が死亡。ここは米花町かなっていうくらい、とんでもない死亡率になってきました。

問題なのは、なぜ優美が死んだのか。ワインに毒物を混入したのは優美だ。これからは自分の人生を生きていく。そう決めた優美は、正を自らの手で亡き者にするつもりだった。しかし、その死のワインを口にしたのは、自分だった。

優美は確かに自分の手で正にワインを渡していた。このとき、毒入りワインを間違えたということだろうか。だとすると、優美の頭脳はニワトリレベルになってしまう。ポケモンの金を買ってきてってさんざん言ったのに、銀を買ってくるお母さんみたいになってしまう。

それだとあまりにも優美が可哀相なので、ここはひとつ疑ってみたい。優美は誰かに騙されたのではないかという説だ。優美が入れた薬は、毒ではなかった。誰かが毒だと言って優美に渡したのだ。そして、本物の毒は別にあり、優美はそれを飲んで死んでしまった。

だとすると、毒を混入した可能性があるのは位置関係的にも雨宮(林遣都)と稜(溝端淳平)の2人。優美が手にしたワインは、稜から手渡されたものだ。稜にチャンスがないとは言わないが、あれだけの衆人環視の中、毒を入れるのは困難だろう。

ならば、同じテーブルにいた雨宮ならどうか。正が優美を見ている隙に、そっと毒を忍ばせるくらいのことはできそうでもある。

問題となっている優美の不倫相手も、今のところ稜より雨宮の方が疑わしい。雨宮が望緒に“トントンツン”をしていたとき、優美がただならぬ目で2人のことを見ていた。あれは、嫉妬の眼差しだ。やっぱり優美をたぶらかしているのは雨宮なんじゃないだろうか。

雨宮が優美の心の空白にそっと近づき手玉にとって、甘い囁きとともに毒を渡す絵がありありと浮かぶ。ほら、綺麗なバラにはトゲがあるって言うし…。

ただ、なぜ雨宮が優美を殺したかったのかと言われると、その理由は不明。だが、優美に限らず、同級生全員に恨みを抱き、復讐を狙っているというのはじゅうぶん考えられそうだ。

優美を演じた黒川智花は、2002年『愛なんていらねえよ、夏』でテレビドラマ初出演。15歳で『雨と夢のあとに』に主演するなど10代から活躍してきた。2015年に結婚。その後も、『あなたのことはそれほど』『大恋愛〜僕を忘れる君と』など主人公の友人・同僚ポジションで活躍し、『MIU404』でネクストフェーズへ。木村多江、奥貫薫らの系譜に連なる“薄幸女優”として開眼しつつある。

黒川智花は、事件の被害者だったり、その家族だったり、あるいは少し精神のバランスを失っている役どころがぴたりとハマる。今回も大きな瞳からこぼれる物哀しげな雰囲気が、見るからにワケありなセレブ妻にぴったり。自由を掴む直前で力尽きるという悲劇的な結末を儚く演じきった。

ぜひ黒川智花には今後もこの世代の“薄幸女優”の筆頭格としてドラマを盛り上げてほしい。

◆お祭りの夜、稜たちは何をしていたのか

また、今回気になったのが、学生時代に親から虐待を受けていた友人がいたという雨宮の話だ。この友人イコール中野幸なのではないだろうか。中野幸は親から虐待を受けていた。そこから救い出すために、誰かが中野家に火をつけたとしたら…。

けれど、そうすると中野幸にとっては虐待から助けてくれた恩人ということになり、中野幸が復讐のために裏で手を引いているという線は考えにくい。真相に辿り着くには、もう少しカードが足りないようだ。

火事があったのは、お祭りの当日。そのとき、あの6人はどこで何をしていたのか。雨宮は、具合が悪くなった望緒を家に連れて帰っていたと言う。これが事実であるなら、稜たち残りの4人とは別行動をとっていたことになる。

相変わらず中野幸の話題になると歯切れが悪くなる稜も怪しい。お祭りの夜の4人の行動が、この謎だらけのゲームをひっくり返す決め手のカードになる気がした。

◆雨宮VS稜…密やかに始まる男同士のマウント合戦

一方、望緒をめぐる恋模様もなんだか混沌としてきた。冷静沈着で頭の切れる雨宮に対し、単純明快だが気の優しい稜。2人は対照的なキャラクターだ。

優美のDVについて話すときも、稜が「そういうのってお節介ってやつじゃないのか」と懸念を示せば、雨宮が「お節介だっていいじゃないか」と庇い、稜が「警察に相談はできないのか」と提案すれば、雨宮が「優美さんの旦那は警察の幹部だよ」と一笑に付す。

何これ、女同士のマウントも地獄だけど、男同士のマウント合戦もハラハラしちゃう! 僕が稜なら確実に裏垢つくって「雨宮ウゼェェェェ」ってつぶやいている。

しかも雨宮は雨宮でなんとなく敵意をもって稜に接している気も。望緒が稜について話すと「仲良いんだね、深沢くんと」と面白くなさそうに探りを入れる。これは嫉妬なのか、あるいは別の意味があるのか。

相変わらず謎なのだけど、雨宮は本当に望緒のことが好きなのだろうか。どうにもうわべだけの愛情に見えてしまって、真意を疑いたくなる。はたして雨宮のついている嘘とは何か。

でも今回は、望緒からの連絡に喜ぶものの稜も玲子(本仮屋ユイカ)もいて、「食事の誘いかと思ったら」と苦笑いするところが可愛かったので、もうしばらく雨宮には騙されたままでいようと思います!(文:横川良明)

※『愛しい嘘~優しい闇~』最新回は、TVerにて無料配信中!(期間限定)

※過去回は動画配信プラットフォーム「TELASA(テラサ)」で配信!

※番組情報:金曜ナイトドラマ『愛しい嘘~優しい闇~
【毎週金曜】午後11:15~深夜0:15放送、テレビ朝日系24局(※一部地域で放送時間が異なります)
<次回2月4日(金)は午後11:25放送>