池上彰、JR東海の社長に異例の直撃取材!“リニア新幹線”賛否が渦巻く現場に迫る
ジャーナリスト・池上彰が自ら現地に足を運び、リニア新幹線に関するギモンを直撃取材する『池上彰が直撃取材!リニア新幹線とニッポンの未来』が1月23日(日)に放送される。
番組では、国や自治体が描く未来に組み込まれた国家的プロジェクトを形にするために、いま何が求められているのか、“国民のギモン”をわかりやすくひもときリニア新幹線の「いま」と「未来」を考える。
◆JR東海・金子社長を直撃取材
今回は、リニア新幹線に関する単独取材は極めて異例となるJR東海・金子社長を直撃取材。
総工費10兆円のコストをかけて造る意義とは? 今後どんな段階を踏んで開通を目指すのか?
リニアプロジェクトのトップから池上が情報を引き出す。
◆メディア初公開となる新駅の工事現場の全貌
また、開業を目指し着々と工事が進められているなか、新駅の周辺では開業を見込んだ街づくりもさかんになっている。
番組では、池上が神奈川・相模原市に建設中の新駅の工事現場に潜入する。
◆なぜリニア建設に賛成派と反対派がいるのか
開業を待ち望んでいるという愛知県の大村秀章知事を取材。知事からはリニアがもたらす経済効果が語られる。
また、首都圏への交通アクセスが課題となっている新駅開設予定の長野・飯田市では「1年でも早い開通を」と地元住民が期待に胸をふくらませている。
さまざまな期待の声がある一方で、反対の声も少なくない。
その声がもっとも大きいのが静岡県。南アルプスのトンネル工事の影響で、静岡県の水が500万トン減ってしまう可能性があるとして「水の問題」が解決するまで県内での工事開始を認めていない。
なぜ、工事の影響で水が減ってしまう懸念があるのか。池上ならではの目線でわかりやすく解説する。
◆トンネル工事現場にも潜入
リニア新幹線では品川~名古屋の86%がトンネル。そこで、池上が山梨・早川町ではじまっているトンネル工事の現場に潜入した。
そこで目にしたものとは?
リニア新幹線開業に向けて、事業主であるJR東海は今後どんなステップを踏んでいくのか? 私たちが考えるべきこととは?
ジャーナリスト・池上が数々の取材を踏まえ、リニアの未来を提言する。
◆池上彰 コメント
―番組の見どころと、全国の視聴者への一言をお願いします。
まず1つは、今回「リニアの工事がどのように行われているのか」という現場を見ることができましたから、番組では、その最先端の現場を興味深くご覧いただくことができるんじゃないかと思います。
それともう1つ、やはり静岡県以外の人たちは、一刻も早くリニアを造ってほしいと思っているということが、それぞれの地域でわかるということですね。
そして3つ目は、なぜ静岡県知事が反対していて、その知事の反対を静岡県民の多くが支持しているのか。なぜ静岡県の人たちが心配をしているのか。本当に反対かというと、必ずしもそうではないですね。
静岡県の人だって、リニアに反対しているわけではないんだけど、その不安を解消してほしいと思っているんだ、ということを全国の方に知ってほしいと思います。
―収録を終えての感想をお願いします
これまで静岡県内で放送してきた番組では、静岡県民向けに「リニア新幹線の何が問題なのか」ということをずっと取り上げてきましたが、今回は全国向けの番組ですよね。
そうすると「静岡県民が何を心配しているのか」ということが、見えてくるんじゃないかなと思います。静岡県発の番組であるが故に伝えることができる、意義のある番組になったなという風に思っています。
―池上さんが考えるリニア問題に関する現在の一番のポイントは?
自然、環境の問題で、静岡県民の不安があってストップしているのですが、コロナの状態のなかで、リモートが増えてきました。前はとにかく移動しなければ、直接会わなければ物事が進まなかったのが、東京と名古屋の間あるいは東京と大阪の間、わざわざ新幹線に乗らなくてもリモートでできるんじゃないかとなってきたときに、ポストコロナの日本経済をどうするのか。
そのなかで新幹線あるいはリニアがどんな役割を果たすのかということを、もう一度国家レベルで考えていくという、そういう視点が必要なのかなと思います。
JR東海に任せていますけど、国家としてどうするのかということを、やはり考えなきゃいけないんじゃないかなというふうに思いますね。
―実際にリニア新幹線のトンネル工事の現場をご覧になってどんなことを感じましたか?
このような巨大プロジェクトでは、新しい技術が次々に導入されるんですよね。非常口のトンネル工事の様子を見てみると、工事を進める現場よりもさらに先に何があるのかということをチェックしながら行っている。あるいは巨大なマシーンで穴を掘っていく。そんな最先端の機械がこの工事のためにつくられて、このような技術はこれから他の工事でも応用できるわけです。
プロジェクトによって新しい技術が開発されるということは、日本の技術力の向上に繋がっていくと思うんですよね。だから、地上の人たちの不安とは別に、このような地下での工事がまた新しい技術開発に進んでいく。そしてこのような技術は、海外でトンネルを掘るというときにその技術法として輸出できるんじゃないかなと思いましたね。
―JR東海の金子社長を直撃して、どのようなことを感じましたか?
本当に、JR東海の社長は困っていましたよね。静岡県知事が反対しているということに対して、恐らく色々な憤りとか思いはあるんでしょうけど、それを言ってしまうと喧嘩になってしまうのでそれは言えない。だけど、まあなんとか理解してほしい。
どういう言い方をすればいいんだろうか、というところでずいぶん言葉を選んでいましたし 、本当に慎重にどうすればいいのかということを悩みながら今取り組んでいるんだなということがわかりましたね。
◆ガダルカナル・タカ コメント
池上さんが非常にわかりやすく、色々説明をしていただき、これを見てくださった全国の皆さんが「静岡県民がただ駄々をこねているだけじゃないんだよ」っていうのをわかってくれるのではないかと思います。
一番興味を持ったのは、池上さんとJR東海の金子社長との対談です。色々きり込んでくださったので絶対に見どころだと思います。「JRサイドはこういう風に考えているんだ」っていうところを池上さんが聞いてくださったので、じっくり見てもらえるとありがたいです。
◆遠藤章造(ココリコ)コメント
大変勉強になりました。リニアを知ってから数十年、いつリニアモーターカーが人を乗せて走るんだろうって思ってワクワクしている世代だったので、個人的には、一日でも早く乗りたいと思っている派でした。
今回の収録でリニア工事に対して、待って!と言っている人達の意見も非常にわかりましたし、僕の中では少し混乱している状態です。
番組では、池上さんが実際に足を運ばれて、いろんな所に行かれて、そしてJR東海の金子社長とはかなり濃いお話をされていたので必見です。
◆土屋礼央 コメント
リニア新幹線のプロジェクトは、トンネル工事の影響で静岡県の水が減ってしまう可能性があるという問題だけでなく、次々に問題が出てくるくらい大きなプロジェクトなんだと感じましたし、それだけ多くの人が関係するこのプロジェクトを一つの会社だけでやっているということを皆さんに知っていただきたいです。
そこからくるメリットとデメリットは、何があるのかということをぜひ皆さんに感じていただきたいです。
番組では、池上さんからの「鉄道が好きな土屋さんはご存じかと思いますけど」という質問がすごいプレッシャーでした(笑)。池上さんの切れ味鋭い質問もぜひ楽しみにしていただきたいと思います。
◆朝日奈央 コメント
たくさん勉強になりました。もしかしたら静岡県の大切な水が大量に失われてしまうかもしれないという大きな問題を知って、そこの問題を解決し、国民の皆さんが不安を払拭した上でリニア新幹線ができたらいいなと心から思いました。
※番組情報:『池上彰が直撃取材!リニア新幹線とニッポンの未来』
2022年1月23日(日)午後1:55~3:20、静岡朝日テレビ発・テレビ朝日系列24局