テレ朝POST

次のエンタメを先回りするメディア
未来をここからプロジェクト
menu

徳永えり、30歳の誕生日にガッツポーズ!その背景に10代で聞いた事務所社長の言葉「やっぱり社長はすごい」

映画『フラガール』(李相日監督)、映画『春との旅』(小林政広監督)、連続テレビ小説『梅ちゃん先生』(NHK)などに出演し、若き演技派女優として注目を集めた徳永えりさん。

次々とドラマ、映画への出演を続けながらも、20代後半ぐらいはうまくいかないことが多く、苦しんでいたという。

30歳になる直前、徳永さんはかねてからの夢だった飲食業のアルバイトをすることに。約半年間、小さなカフェで、早朝から仕込みをして料理を提供するというアルバイトを経験して徳永さんは、芝居の世界で必要としてくれる人がいるのならとあらためて俳優業に携わることを決意したという。

©映画「ポプラン」製作委員会

◆『わろてんか』の撮影で濱田岳さんに衝撃を受けて

約半年間のカフェでのアルバイトを終えた徳永さんは、連続テレビ小説『わろてんか』の撮影に入ることに。『わろてんか』は、吉本興業の創業者・吉本せいさんをはじめ、かつて戦前の日本で活躍した芸人や実業家をモデルに、ヒロイン・藤岡てん(葵わかな)が寄席経営に挑む姿を描いたもの。

徳永さんは、てんの身の回りの世話をするトキ役で出演。のちにてんの幼なじみの武井風太(濱田岳)と結婚することに。

「濱田さんと共演できたことは大きかったです。私は台本のセリフをきっちり言わなければとか、決められたことをやるほうが安心するんですけど、濱田さんは真逆な方で(笑)」

-濱田さんとの掛け合いがおもしろかったです。楽しくなりますよね-

「ありがとうございます。話に関係なく私たちがずっと楽しんでやっていました。私たちというか、濱田さんが暴走しているだけなんですけど(笑)」

-朝ドラはきっちり台本が決まっていてというイメージがありますが-

「私のイメージも最初はそうだったんです。前に出させていただいた『梅ちゃん先生』のときもみんな真面目にきっちりとやっていたんですけど、濱田さんは本当にいうことを聞かなくて、私もびっくりしました。『この人大丈夫?』って(笑)。

でも、濱田さんも無作為にやるとか、そういうわがままな感じではないんです。ちゃんと自分で回収できる範囲で遊ばれていて、それを見て『いいなあ』って思いました。

スタッフさんも濱田さんのお芝居にはアドリブを期待するところがあって、なかなかカットがかからないんです(笑)。

私が20代のときにずっと悩んでいたことというのは、自分自身がぜんぜん遊びが利かない芝居で変にまじめだから、それがつまらなかったんですよね。まじめに作り込むことを最初に教科書として教えてもらっていたので、それから抜け出す勇気がなくて。

『役柄的にはもっと元気にもっとはじけてください、自由に』と言われても、脚本以上のことが自分にはできない、どうしても怖くてうまく立ち回れないという経験がいっぱいあったんです。

それをなんとか乗り越えたかったんですけど、その大きなきっかけは本当に濱田さんです。だから濱田さんが自由におひとりでやられているのを見て、ここに自分がパートナーとして乗っかりたいし、なんか良い作用があるかもしれないと思って食らいついていったら、ああなりました(笑)」

-もともとお笑いはお好きだったそうですね-

「はい。関西人なので(笑)。それと関西弁で自分が芝居をするというのも大きかったと思います。関西弁のノリというか関西人のノリはわかっているので、それは濱田さんには負けないと思って。

だから、『あなたが落とした球は私が全部拾う』って思いながらやっていたら、いつの間にかボケ突っ込みというか。ゆくゆくは濱田さんと夫婦になる設定だと聞いていて、ぎくしゃくしたまま10か月間続くのはあまりにも寂しいので、何とかしようとああなりました。

でも、濱田さんはすごくシャイで、目も合わせてくれないような方なので、それをうまくなんとかして自分も取り込んでやっていこうと思ってやっていました。私は『濱田さんは先生だ』と言っているんですけど、向こうはなんとも思っていないと思います(笑)」

-息がピッタリで良い感じの雰囲気が伝わってきました-

「ありがとうございます。朝ドラでもこんなに自由にして良いんだと思いました。大阪局で撮っていたというのも大きかったかもしれないですね。やっぱり関西人が多いので」

-『わろてんか』の撮影を経験されたことで変化はありましたか?-

「濱田さんに堅い鎧(よろい)を全部はずしていただいて自由になった感じだったので、本当に楽しかったです。

『わろてんか』が終わったあとの仕事は、自分でも伸び伸びとやっているって思いました。そこからいただくお仕事の内容もガラッと変わったので、びっくりしました。それがちょうど30歳になったタイミングだったので、本当に転機ですね」

 

◆「えりは30歳からだよ」という言葉を信じて…

早く30歳になりたいと思っていたと話す徳永さん。30歳のお誕生日には思わずガッツポーズをしたという。

「事務所の社長にも10代のときから『えりは30歳からだよ』と言われていたので、早く30代になりたいと思っていました」

-10代半ばのときに30歳からだと言われたわけですが、いかがでした?-

「困りますよね(笑)。『30までの15年間はどうすりゃ良いんだ?』って思いましたけど、実際になって意味がわかりました。すべてがすごくいい感じで、『やっぱり社長はすごいなあ』って(笑)。

私が入った頃は青春ものとかキラキラ系のドラマが多かったんですけど、自分は多分そういうタイプじゃないし、経験や重ねる年齢というものが私には必要だということがわかっていたので、すごく時間がかかるだろうなとは思っていました」

-30代になってご結婚もされて、公私ともに大きな変化があったようですね-

「そうですね。全部30歳以降に変わりました。それまでぜんぜん恋愛ものには縁がなかったのに、映画とドラマで恋愛もののお話が来て、『えっ? 私が恋愛ものをしていいんですか?』みたいな感じでワクワクしちゃって(笑)。うれしかったです。

それまで本当にそういうオファーがなくて、学生役が終わったらすぐお母さん役にいっちゃったんです。恋愛を楽しむとか、じれったい感じの役を経験したことがなかったので」

2018年、30歳になったと同時に、徳永さんは『恋のツキ』(テレビ東京系)で連続ドラマに初主演することに。同い年の恋人がいるのに、バイト先の高校生と恋に落ちる主人公のフリーター、ワコを演じた。大胆なラブシーンも話題に。

-ラブシーンに抵抗はありませんでした?-

「ぜんぜん。おもしろくてしょうがなかったです(笑)。ラブシーンというのはアクションシーンと一緒で、みんなの力がそれこそ本当に必要なんですよね。

私たちが好き勝手にやるんじゃなくて、カメラ位置、照明さん、音声部のみんなのせめぎ合いというか、みんなの力を結集して作るシーンという感じなので、みんな必死でした」

-女優さんによっては、触らないでくれとかいろいろ言われる方も多いようですが-

「私はぜんぜんなかったです。『どうぞ』みたいな感じで(笑)。こういうタイプがいいのかどうかわからないですけど、やっぱり男性の方が緊張するじゃないですか。

からだを触るにしても気を使うだろうし、ドラマなので制限というのもありますけど、そのなかで最大にエロいシーンを作ろうと言ってやっていたので、怒られるか怒られないかのぎりぎりを攻めよう、やるなら徹底的にとみんなでやっていました。

監督は女性と男性半々でしたけど、女性の方が大胆でおもしろいですよ。描写がどんどん激しくなって『私はいいけど、これ本当に大丈夫?』みたいな感じで(笑)」

-マネジャーさんも何も言わず?-

「はい。男性のマネジャーさんだったんですけど、携帯のカメラでモニターを撮ってもらって、あとでそれを見ながら『もうちょっとこの角度はこうしたほうが良かったなあ』とか自分で研究したりしていました(笑)」

-独身のときとご結婚されてからでは何か変わりました?-

「ぜんぜん変わらないんです。自由で仕事のペースも独身のときと同じですし、夫も自由な人なので。もちろん仕事の話もお互いしますけど、『あなたはあなた、私は私、でも二人でいても楽しいよね』という感じなんです、私たち夫婦の関係って。だから新しい形なのかなと。

ひとつ変わったと言えば、安心感は増えましたね。絶対的な味方がいるというのはありがたいなと思います」

©映画「ポプラン」製作委員会

※映画『ポプラン』
2022年1月14日(金)より全国公開
配給:エイベックス・ピクチャーズ
監督:上田慎一郎
出演:皆川暢二 アベラヒデノブ 徳永えり しゅはまはるみ 原日出子 渡辺裕之ほか

◆消えたイチモツが時速200キロで飛ぶ?

1月14日(金)には、『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督の映画『ポプラン』が公開されたばかり。

主人公は、ある朝起きると男性の“アレ”が失くなっていた田上(皆川暢二)。“アレ”はポプランと呼ばれ、同じようにポプランを失った人々が取り戻すための集会「ポプランの会」に行き着いた田上は、家出したポプランを探す奇想天外な旅に出ることに…、というストーリー。徳永さんは主人公の元妻役を演じている。

-タイトルから想像していた内容とあまりに違っていてびっくりしました-

「私も本当に驚きました。みんなびっくりしますよね?『イチモツが飛んで行くって何?』って(笑)。

私も企画書や脚本を読ませていただいたときに、わかるようでわかんない。大筋はわかるし、たぶんいいお話だなと思うけど、でも『一番の中心となっているイチモツとは? ポプランとは?』というのがずっとわからない状態で、現場でもわからなかったです」

-徳永さんはポプランを探し求める主人公の別れた奥さん役-

「元の妻としての立場を考えて演じていましたけど、みんなは『どう見るんだろう?』って思いました。『大丈夫だったのかな?』って」

-堅実で優しい人と再婚されているという設定でしたね-

「はい。幸せに暮らしているところに突然、別れた前夫が現れるなんて迷惑な話ですよね(笑)。自分は新たな家族とともに人生を豊かにしているところへ突然来られたら、たまったもんじゃない。

でも、やっぱりかつて好きだった人というのもあるし、彼女は理解もある人なんだろうなとは思うので、そこの距離感は大事にしました。かと言って、今の新しい家族を見せつけるわけではなく」

-今現在が幸せだから前の夫に大人の対応をする余裕があったのでしょうね-

「そうですね。それに今の夫が器の大きな優しい人だから、バランス的なものも良かったです。現場に行ってはじめてわかったんですけど、ちょうどいいのかなって。

自分の中では結構フラットに演じた印象だったので、仕上がりがちょっと不安でもありました。ちゃんと伝わっているのかなと思って」

-伝わりましたし、元の夫に最後にいうセリフも効いていました-

「ありがとうございます。良かったです。安心しました」

-上田監督は現場でいかがでした?-

「おもしろかったです。撮影にはいる前もですが、上田さんはずっと楽しそうに制作していらっしゃるんですよね。それがやっぱり役者にとって一番の指針というか、監督に楽しく撮っていただいていることが一番安心するので、ずっと安心していました」

-映画が大好きな少年がそのまま大人になったような感じですよね-

「本当にそうです。それが一番いいなあって。私が思う映画監督は、そうあって欲しいなと。ご自身の作品なので、一番うれしそうに楽しそうにしていらっしゃる姿を見て、良かったなあと思いました」

-今後はどのように?-

「からだを動かすことが好きなので、まだからだが動くうちにアクションシーンだとか、アクティブな役にチャレンジができたらいいなと思っています。

昔はそれこそ切り替えが下手だったり、すごく役の影響を受けていたんですけど、今はあまりそういう感覚がなくなったので、いけるところまでいろんな役でいってみたいなとは思います」

シリアスな難役の演技に定評のある徳永さんだが、実像はとても明るくて饒舌。張りのある澄んだ声が耳に心地良い。仕事も私生活も絶好調。今後の活躍にも期待が高まる。(津島令子)

スタイリスト:道端亜未
ヘアメイク:尾曲いずみ

はてブ
LINE
おすすめ記事RECOMMEND