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選手選考はオーディション、メンタルコーチはマジシャン!新体操・日本代表、進化の秘密は斬新すぎる「チーム改革」

10月27日(水)より、福岡県北九州市にて「世界新体操」が開催される。

12年ぶりの日本開催、かつ史上はじめて「世界体操」との同時開催となった今大会。

前回2019年の世界新体操で史上初の金メダルを獲得した日本代表“フェアリー ジャパン POLA”は、自国開催の大舞台で2015年大会から続く5大会連続のメダル獲得を目指す。

◆実績は二の次。選手選考も改革

じつは新体操日本代表は、17年もの間さまざまなチーム改革を行ってきた。

その中心にいたのは、強化本部長の山﨑浩子氏。1984年のロサンゼルス五輪で日本歴代最高位の個人総合8位入賞を果たし、日本に新体操ブームを巻き起こしたレジェンドだ。

2004年、山﨑氏が強化本部長に就任した当時、日本代表はオリンピックに出場すらできない低迷期だった。日本新体操の立て直しを決断した山﨑氏は、過去の常識を覆す数々の改革を断行する。

そのひとつが、選手選考だ。

それまでの日本新体操界は、大会で実績を残した大学や企業などのチームが日本代表になっていた。

しかし、山﨑氏は全国から有望な選手を集め、オーディションを敢行。実績は二の次で、外国の選手に見劣りしないプロポーションや柔軟性など将来性を重視した。

これにより、直前の世界新体操に出場していた代表選手ですらふるい落とされたことも。

新たな選考方法には批判もあったというが、山﨑氏はその真意を次のように語る。

「私が物事を決めるときに、『これをしたらみんながどう思うか』ということは一切考えたことがないんですね。みんな考え方は人それぞれなので、それぞれのことを考えていたら物事は全然決まらないから。『どうしたら世界に近付けるか』だけを考えてやってきました」(山﨑氏)

「世界と戦えるチームをつくる」――その強い意志で、批判に屈することはなかった。

◆共同生活で1日8時間も練習

さらに山﨑氏は、練習環境も改革。

オーディションで選ばれた選手たちは、アパートで共同生活をしながら代表メンバーに勝ち残るためしのぎを削った。

練習は朝6時からはじまり、基本の姿勢や道具を使ったものまで1日約8時間。親元を離れた選手たちは、練習後には自分たちで食事も作った。

選手たちが協力しながら家事を行い、毎日を過ごすことは、山﨑氏の狙いでもあった。

「フロアに立って、たった2分半くらいの時間ですべてを出し尽くすには、相当の精神力がないとダメなんですよ。仲間でこうやって生活することによって、『あなたも乗り越えたよね。私も乗り越えたよね。がんばってきたよね』っていう(連帯感が生まれる)。これが力になると思うんですよ」(山﨑氏)

◆表現力に加え、メンタルケアも改革

山﨑氏が強化本部長に就任してから4年が経つと、徐々に成果があらわれる。

2008年の北京五輪では、2大会ぶりの五輪出場。さらに翌年の世界新体操では、団体種目別でチームとして完璧な演技を披露した。

しかし、結果は4位でメダル獲得はならず。

「他のチームが失敗したのにもかかわらず、メダルを獲れなかった。今までと同じようにしていては、何も変わらないという思いですね」(山﨑氏)

そこで山﨑氏は、日本代表の練習拠点を新体操の強豪国ロシアに移すことを決断する。最大の目的は、ロシア代表のコーチを務めたインナ・ビストロヴァコーチの指導を仰ぐこと。

それまで、代表のコーチは日本人しか務めてこなかったが、慣例を打ち破りライバル国のコーチを採用するという改革を行った。

表現力を意識した厳しい練習は、1日8時間にも及んだ。

「(得たものは)やはり表現力ですよね。最初からその作品にあった“顔”をしていないと、(選手たちは)すごく怒られました」(山﨑氏)

さらに山﨑氏は、メンタルトレーニングにも着手。

本番で緊張して空回りしたり、がんばりすぎて視野が狭くなったりしている選手のパフォーマンスを引き上げるため、精神科医兼マジシャンという異色の経歴をもつ志村祥瑚氏にメンタルトレーニングを依頼した。

“思い込み”の力を使ってマジックを披露している志村氏は、マジックを通して凝り固まった選手たちの意識を徐々に切り替えていった。

こうした改革を経て、迎えた2019年の世界新体操。

フェアリージャパンは団体種目別・ボールで会場をわかせる演技を披露し、団体史上初の金メダルという快挙を成し遂げた。

山﨑氏が強化本部長に就任してから15年。その努力が実った瞬間だった。

◆最後の舞台で、集大成の演技を

10月27日(水)に開幕する世界新体操を最後に、山﨑氏は強化本部長を退任する。

「各世代の選手たちが、本当にいつもがんばってくれたなと思いますね。数多くの選手たちや関係者の方々に、感謝したい気持ちでいっぱいです」(山﨑氏)

この決定を聞いた選手たちは、口々に山﨑氏への感謝を述べた。

「このチームに加入してからずっと、山﨑先生のおかげでここまでやることができた。やっぱり山﨑先生の存在は欠かせない」(松原梨恵)

「山﨑先生も “家族”みたいな感じですかね。世界新体操で一緒に笑顔で終わりたいし、ここまでありがとうございましたという気持ちをちゃんと伝えられるような演技をしたいです」(杉本早裕吏)

山﨑浩子氏の17年。集大成の舞台へ――フェアリージャパンが挑む。

※放送情報:『世界新体操2021

◆地上波
10月29日(金) よる8:00~「団体総合決勝」
10月31日(日) よる6:30~「団体種目別決勝」

◆ABEMA
10月27日(水)よる7:15~ 「個人種目別1日目」
10月28日(木)よる7:15~ 「個人種目別2日目」
10月29日(金)よる8:00~ 「団体総合決勝」
10月30日(土)午後2:30~ 「個人総合決勝」
10月31日(日) よる6:30~ 「団体種目別決勝」

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