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いよいよ開幕!五輪を控えたGPシリーズ 荒川静香&織田信成が驚く、あの逸材の“進化”「女子でも男子でも戦える」

いよいよ開幕するフィギュアスケートの「グランプリシリーズ2021」。日本時間10月23日(土)スタートのアメリカ大会から、世界のトップスケーターたちの戦いが幕を開ける。

今年のグランプリシリーズは、来年2月に開催される北京冬季五輪を控え、4年に1度の五輪シーズンでの戦いとなる。

シリーズを勝ち抜いた上位6名のみが出場できる「グランプリファイナル」は、北京五輪日本代表の選考大会のひとつ。つまり、グランプリシリーズの戦いから北京五輪への道がはじまるといっても過言ではない。

そんな特別なシーズン、選手たちはどんな戦いをみせてくれるのだろうか?

注目の初戦・アメリカ大会にさきがけ、テレビ朝日で解説を務める荒川静香氏と織田信成氏が展望を語った。

◆特別な五輪シーズンがいよいよ開幕

――グランプリシリーズ開幕目前ということで、シリーズの見どころを伺っていきたいと思います。荒川さん、いよいよはじまりますね。

荒川:「東京五輪も終わったばかりですけれど、次にもう(北京五輪が)控えています。選手たちもかなり気合いが入っていると思います」

――織田さん、やっぱりオリンピックイヤーのグランプリシリーズというのは、特別でしょうか?

織田:「特別ですね。やっぱり選手たちがいろいろ試したり、挑戦したりする最後の場がこのグランプリシリーズだと思うので、見どころいっぱいかなと思います」

――実際に五輪シーズンの大会は今までと違うことがありました?

荒川:「空気感はやっぱり違いました。選手たち以上に周りが『代表選手は誰になるのか』と予想をするんですけど、それが緊張感を生むというか空気をピリピリとさせていました。その空気に影響されて(選手も)変わっていく感じはありましたね」

◆初戦・アメリカ大会は、世界王者がいきなり登場

五輪シーズンとなる今年のグランプリシリーズ。初戦のアメリカ大会には、グランプリファイナル3連覇のネイサン・チェン(22歳)、平昌五輪銀メダリスト・宇野昌磨(23歳)らが登場。開幕戦からハイレベルな戦いが予想される。

――初戦からいきなり宇野選手が登場してきますね。

織田:「やっぱりアメリカ大会で一番注目すべきは、宇野選手とネイサン選手2人の戦いかな。技術的な部分でいえば、4回転を4本5本と跳ぶ選手が多いなか、宇野選手ももちろんそういった構成に臨んでくると思います。

今シーズンも4回転がしっかり決まるかどうか、出来栄え点でも高い評価を得られるかがポイントになりそうです」

写真:Raniero Corbelletti/アフロ

――宇野選手といえばいい意味で飄々(ひょうひょう)としている印象ですが、今回は気合いが入っている感じがしますか?

織田:「今シーズンの宇野選手、僕もアイスショーで演技を見たんですけど、ものすごくアグレッシブで、精神的にも充実感がある様子でした。何か覚悟みたいなものが見えるので、アメリカ大会は期待しています」

――宇野選手はショート・フリーともに新しいプログラムで五輪シーズンに入るのも注目ですよね。

荒川:「昨シーズンは試合数が少なかったので、プログラムを継続する選手が多いなか、宇野選手は2つとも新しいプログラムを準備しています。『試合を楽しみにしている』と言っていて、すごくいい状態なんですよね。

精神的にも技術的にも準備ができて、いい形でシーズンに入ろうとしているのが伝わってきます。そういう宇野選手、近年だと久しぶりかな」

――アメリカ大会には、世界王者のネイサン・チェン選手も登場しますね。

織田:「今の彼はほぼ無敵状態ですからね。出来栄え点でも大きく点数を稼いでいます。平昌五輪のときにミスした悔しさを4年間抱えてきたと思うので、『次こそは』という思いは人一倍強いと思います」

Sunao Noto

――ネイサン選手は平昌五輪の後から負け知らずで、絶好調のまま五輪シーズンを迎えます。すごいシーズンになりそうですね。

荒川:「平昌五輪のときは、メダルを期待されながらもショートプログラムでかなり出遅れてしまいました。おそらくコンディション的な問題というより、精神的なコントロールがうまくいかなかったのでしょう。

それからの4年間は、精神をコントロールしながらどうやって高度なテクニックを見せるのか、意識しながら進んできたと思います。その高度なテクニックに加え、音楽表現も彼の持ち味といえるので、今シーズンはどんなプログラムを用意しているのか注目ですね」

――アメリカ大会では、もう一人の注目選手・佐藤駿選手も気になります。技術的な面では、かなり高難度のジャンプで攻めるのが彼の特徴ですよね。

荒川:「佐藤選手はジュニア時代から4回転を操る選手でしたが、同世代の鍵山(優真)選手の存在にも刺激を受けていると思います。一緒にジュニアで競ってきて、先にシニアで世界選手権を経験してメダリストになった同世代のスケーターの存在は大きいと思うんです。切磋琢磨してスケートと向き合えていると思います」

N.Tanaka/Shutterz

――開幕から大注目の大会ですが、他に男子シングルで注目の選手はいますか?

織田:「ビンセント・ジョウ選手。ネイサン選手と同じアメリカの選手なんですけど、9月のネーベルホルン杯・フリーで技術点を99点も出したんですよ。今はどれだけ技術点を積み重ねられるかが勝利の秘訣だと思うので、北京五輪でメダルを獲るポテンシャルは持ち合わせていると思います。日本の強敵がアメリカにもうひとりいるぞという感じです」

◆日本勢に立ちはだかる4回転女王・トゥルソワ

実力派の選手がそろい、いきなり空中戦が繰り広げられそうな男子シングル。では、女子シングルはどうだろうか?

――日本勢でいうと坂本花織選手(21歳)、宮原知子選手(23歳)、横井ゆは菜(21歳)選手がエントリーしています。まずは坂本選手、今シーズンどうでしょうか?

荒川:「坂本選手と宮原選手は五輪を経験している選手ですので、このシーズンの過ごし方もおそらくイメージがついていると思います。坂本選手はパワーとしなやかさがあって、ジャンプはもちろん、ステップやスピンでも加点を積み重ねていく選手です。女子では加点の幅が一番の武器かな」

写真:日刊スポーツ/アフロ

――坂本選手といえば、昨シーズンまでフリーで「マトリックス」を滑っていましたが、今シーズンはショート・フリーともに新プログラムですね。

織田:「坂本選手には困難に立ち向かっていく、難しい壁があればあるほどがんばれるイメージがあります。まだ新しいプログラムなので、グランプリシリーズでは滑りこなしていく段階になるかもしれませんが、彼女だったら絶対に代表選考、そしてオリンピックまでには仕上げてくると安心感をもっています」

――宮原選手は平昌五輪4位という実績があるなかで、もう一度五輪シーズンに挑戦しますね。

荒川:「宮原選手は、ここ数年練習環境を変えたり、トリプルアクセルに挑戦しはじめたり、ベテランの経験をもちながら新しいことにもチャレンジしてきました。今は本来のいいコンディションになってきていると、滑っている姿を見ていて感じます。

また、何といっても彼女のよさは質の高さ。スケーティングやスピン、本当に一つひとつきっちりと基礎をこなして作り上げられたお手本のような技をいくつももっている選手です。音楽表現にもずっと力を入れていますので、あとはいかにジャンプを正確に試合で組み込んでいけるかというところですね」

写真:アフロスポーツ

織田:「今の彼女の武器って“深み”だと思うんです。平昌五輪が終わってから4年間、スケーティングや表現という芸術的な部分にも取り組んできました。多分、本人も成長をすごく感じていると思うので、そういった宮原選手にしかできないスケート、ベテランの味を前面に出して戦っていけるかがポイントかなと」

――横井選手にはどんなところに注目していきたいですか?

荒川:「横井選手も非常に音楽表現が独特で、自分の世界観を強くもっている選手です。本来はジャンプがすごく得意で、そこが安定してくるとこの豪華なメンバーの中でも上位に食い込む可能性は高いかなと思います」

写真:Dave Carmichael/アフロ

――アメリカ大会にはアレクサンドラ・トゥルソワ選手(ロシア)も来ますね。

織田:「トゥルソワ選手の場合、女子でも男子でもどちらでも戦えるかもしれませんね。男子よりも難しいジャンプ構成で滑るぐらいですから。彼女がすごいのは、ただ4回転を5回跳ぶだけじゃなくて、4回転のなかでも難しい4回転ルッツ2本を“後半”に組み込んでいるところ。

ロシアのテストスケートを映像で見ていたんですけれど、後半に4回転ルッツを跳んで『すごい!』と思ったら(もう1本跳んで)『えっ!? また?』みたいな。

彼女の場合は4回転が5本あって、そのうち2本失敗したとしても3本跳べていたら技術点がすごく高くなるので、ほかの選手が追いつくのはかなり難しいんですよね。もうロシアンロケットですよ。平昌五輪のときのザギトワ選手もジャンプで圧巻だと思ったんですけど、この4年間でここまで進化するかというぐらい」

N.Tanaka/Shutterz

荒川:「(平昌五輪のときよりジャンプの回転数が)1回転多いですもんね。信じられない…」

織田:「本当にスポーツとしての進化がすごすぎる」

織田、荒川両氏が口をそろえて驚いた、女子の4回転時代をけん引するトゥルソワ選手の成長。

彼女が初戦からどれだけのパフォーマンスを出してくるのか。そして日本勢はどこまで食い込めるのか――。

初戦・アメリカ大会は、今シーズンを占ううえで見逃せない戦いとなりそうだ。

※番組情報:『フィギュアスケート・グランプリシリーズ2021』アメリカ大会

◆地上波
10月24日(日)深夜1:55~3:25 男女ショート (※関東地区)
10月25日(月)深夜3:00~4:25 男女フリー (※関東地区)

◆CSテレ朝チャンネル
全競技・全選手・会場音のみで放送
12月1日(水)あさ7:00~

◆ABEMA
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