体操世界王者・橋本大輝が手に入れた新たな“武器”。五輪金でも「まださらに成長できる」
東京オリンピックで体操・個人総合史上最年少の19歳で金メダリストになった橋本大輝。
内村航平から王者を継承し、次に見据えるのは10月18日(月)から開幕する世界体操だ。
「チャンピオンとしてこのまま勝ち続けていきたいというのが目標です。日本を引っ張っていけるような体操男子のトップになりたいと思います」(橋本)
テレビ朝日のスポーツ番組『GET SPORTS』では、新たなスタートを切った橋本が五輪後初の試合で見せた成長に迫った。
◆金メダリストが感じる“伸びしろ”
東京オリンピックでは、6種目で争う個人総合で金メダルを獲得した橋本。しかし、すべてが会心の演技というわけではなかった。
自身もその“伸びしろ”について口にしている。
「跳馬とつり輪、あそこでもう1点近く稼げたので、そこを修正できれば間違いなくもう一度チャンピオンになれると思います」(橋本)
オリンピックでは、得意の跳馬の着地でバランスを崩すというミスをし、得点を伸ばせなかった。
さらに苦手種目のつり輪では、ある課題が浮き彫りになった。技が思ったように認定されず、演技の難しさを示すDスコアを0.3点も下げてしまったのだ。
なぜ予定より0.3点も得点が下がってしまったのか? その理由について、橋本を指導する順天堂大学の原田睦巳監督は次のように答える。
「開脚上水平(うわすいへい)が不認定でした。足先が水平位置にいなきゃいけないところが、下がりすぎだから難度として認められないという判断だったみたいですね」
開脚上水平は、静止したときに輪より高い位置で肩から足先までが水平にならなければいけない。しかし、橋本は足先が肩の位置よりも下がっていたため、技として認められなかったのだ。
その判定を受けた橋本の様子はというと…。
「『正直動揺しました』と言っていました。次は認められるように改善していくしかないと思いますし、認定されなかったポジションはわかっているので、そのポジションにならないように練習をしていきました」(原田監督)
課題は開脚上水平の姿勢。苦手なつり輪を底上げするため、修正を図っていった。
◆「まださらに成長できる」
そして9月4日、オリンピック後初の公式戦である「全日本学生選手権」に出場。オリンピックでミスが出たつり輪に挑んだ。
演技構成は、東京オリンピックと同じ。オリンピックで技の認定がされなかった開脚上水平の演技では、足先を肩より高い位置に保ち、ポジションを修正。静止時間もより長く止めて強さをアピールし、最後の着地もぴたりと止めてみせた
その結果、Dスコアは予定通りの5.6。課題の開脚上水平もきっちりと認められ、苦手なつり輪で14.233。これは、全体3位の高得点だった。
「つり輪に関しては、姿勢や秒数などすごく意識してきました。身体がきつくてもトレーニングを結構やっていたので、その成果が出たかな」(橋本)
課題修正のため、どんな取り組みをしてきたのか? 原田監督はこう振り返る。
「(大事なのは)動いてる動作から急激に力技に入るときのバランスのとり方なので、その感覚を毎日毎日積み重ね、ポジションを毎回確認する。壁際に鏡がありますから、鏡に映しながら自分でポジションを確認したり、本当に地味にコツコツ修正していっただけ」
毎日の地道な練習の積み重ねが、橋本をさらに強くさせていった。
この試合、他の種目でも王者の意地を見せ、個人総合優勝をはたした橋本。試合後のインタビューでは、「オリンピックが終わって、まださらに成長できると感じました」と語った。
そんな橋本の次なる挑戦は、10月18日(月)から日本で開催される世界体操。オリンピック王者が再び世界一に挑む。
「まだ世界体操では世界チャンピオンになっていないので、世界体操でチャンピオンになって、真のチャンピオンになれるようにがんばりたいと思います」(橋本)
※番組情報:『GET SPORTS』
毎週日曜日夜25時25分より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)