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<WRC>トヨタ、日本開催断念発表後の第9戦ギリシャで勝利 パワーステージでは上位3台独占

2021年シーズンのWRC(世界ラリー選手権)は年間12戦を予定しているが、第8戦ラリー・ベルギーを終えて残り4戦となった9月7日、衝撃的な発表があった。ラリー・ジャパンの開催断念がリリースされたのだ。

9月7日の17時過ぎ、報道関係者にラリージャパン2021実行委員会から「フォーラムエイト・ラリージャパン2021に関する重要なお知らせ」という題名のメールが届いた。

その中身は、「FIA世界ラリー選手権『フォーラムエイト・ラリージャパン2021』開催断念のお知らせ」。新型コロナウイルスが再拡大し、公道を使用するラリー競技の特性とおさまりを見せない感染状況から開催を断念したとされていた。

すでに8月18日には10月開催を予定していたF1日本GPの開催中止がリリースされており、11月開催のラリー・ジャパンも開催が難しいのではないかと言われていたことが現実となってしまった。

ラリージャパン2021実行委員会は「2022年の開催を目指す」としていることから、それを信じてもう1年待ちたい。そして、ラリー・ジャパンにかわる開催地がカレンダーに組み込まれるのか、それとも年間11戦でシーズンを終了するのかは9月7日時点では未確定だったが、その後、昨年同様ラリー・モンツァが最終戦として組み込まれることが発表され、2021年シーズンは当初予定通りの全12戦となりそうだ。

◆カッレ・ロバンペラ20歳、シーズン2勝目

そんな衝撃的な発表を受けた後、今回第9戦としてラリー・ギリシャが開催された。

©TOYOTA GAZOO Racing

タフなラリーコースで知られるギリシャは、長らく「アクロポリスラリー」として知られており、WRCの名物ラリーだったが、2013年開催を最後にカレンダーからは外れていた。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でカレンダーから外れたラリー・チリの代替地として8年ぶりのカレンダー復帰となった。

このラリー・ギリシャで2013年に優勝しているトヨタチーム代表のヤリ-マティ・ラトバラは、コースの特徴について次のように語った。

「もし、常に全開でこのコースを攻め続けた場合、確実にどこかが壊れる。そんなコースです。コースには大きな岩とも呼べる石がゴロゴロあり、それでいてコースを走行する平均スピードが高い。つまり、石や岩に当たったときの衝撃がとても大きい。コースを確認するレッキでは、どこは飛ばすことが可能なのか、どこは抑えなくてはいけないのかをしっかり把握する必要があります。ここでの勝利は幸運も必要なのです」と、悪路こそがラリー・ギリシャの特徴だと断言している。

そんなラリー・ギリシャの結果は以下の通り。

1位:カッレ・ロバンペラ(トヨタ)
2位:オット・タナック(ヒュンダイ)/1位から42秒1遅れ
3位:セバスチャン・オジェ(トヨタ)/同1分11秒3遅れ
4位:ダニ・ソルド(ヒュンダイ)/同3分1秒0遅れ
5位:ガス・グリーンスミス(Mスポーツ)/同5分45秒0遅れ
6位:エルフィン・エバンス(トヨタ)/同6分42秒7遅れ
7位:アドリアン・フルモー(Mスポーツ)/同6分54秒4遅れ
8位:ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)/同8分41秒1遅れ
(以下はWRC2、WRC3クラスのドライバーが入賞)

©TOYOTA GAZOO Racing

優勝はトヨタのカッレ・ロバンペラ。第7戦ラリー・エストニアで史上最年少優勝を果たした20歳のロバンペラが早くもシーズン2勝目を挙げた。2位はヒュンダイのタナック、3位にトヨタのオジェが入った。

ラリー・ギリシャは今回、全4日間15ステージ、292.19kmのSSと993.66kmのリエゾン区間で争われた。路面はグラベル(未舗装路)。しかし、このラリー会場にトヨタの育成ドライバーである勝田貴元の姿はなかった。

じつはラリー直前にコ・ドライバー、キートン・ウイリアムズの家族に緊急事態が発生しウィリアムズが帰国。代わりとなるコ・ドライバーを見つけることは難しいと出場をキャンセルした。今シーズン、力強い走りで初の表彰台を獲得するなど著しい成長を見せていただけに残念なキャンセルだが、仕方のないことだろう。

木曜日の初日、ある種の顔見せとも言えるSS1ではオジェがトップを獲得しトヨタが上位3位を独占、4~6位にヒュンダイが続いた。

そして、本格的な勝負が始まった金曜日、SS2からSS6までの5ステージが行われた。サバイバルラリーが予想された今回、最初にトラブルが発生したのはトヨタのエバンス。SS3スタート前にギヤトラブルが発生、予定時刻にスタートできずタイムペナルティなども受けてSS3はトップから1分14秒遅れとなった。さらにSS4でもペナルティが加わり、表彰台争いから脱落。

©TOYOTA GAZOO Racing

次にトラブルに見舞われたのはヒュンダイのヌービル。こちらもSS3からトラブルの兆候があり、SS4ではパワーステアリングも効かなくなるなど症状が悪化。トップから1分50秒遅れて、タイムペナルティと合わせてこちらも表彰台争いから脱落した。

チャンピオンシップ争い2位と3位のドライバーが表彰台争いから脱落したことで、トヨタのオジェは無理をせず戦える展開なった。金曜日を終えてトップはトヨタのロバンペラ。シーズン2勝目に向けて好発進を決めた。

◆豊田章男氏、遠隔のデータエンジニアたちに感謝

3日目の土曜日はSS7からSS12までの6ステージ。この日もトヨタのロバンペラは好調だった。2位のタナック(ヒュンダイ)、3位のオジェ(トヨタ)を徐々に引き離し、土曜日のスタート時点で2位との差は3秒7だったが、SS12終了時にはその差を30秒8にまで引き離した。

このロバンペラの強さは最終日まで続いた。最後のパワーステージでは見事にステージトップを獲得してボーナス5ポイントを奪取。勝利の25ポイントと合わせて30ポイントのフルスコアを獲得した。また、同じトヨタのエバンスがパワーステージ2位、オジェが3位に入り、トヨタはパワーステージ上位3台を独占した。

ラリー・ギリシャを終えたロバンペラのリリースコメントは以下の通り。

©TOYOTA GAZOO Racing

※カッレ・ロバンペラ コメント

「ギリシャで勝つことができて素晴らしい気分です。正直なところ、本当に大変なラリーでした。多くのステージをレッキで走り、夜は毎晩のように映像を見直すなど非常に長い週末だったので、このような結果でフィニッシュできて本当に嬉しいです。

金曜日の段階で既にクルマの調子は良かったのですが、タイプが異なる土曜日のステージのためにセットアップを変更したところ、クルマはさらに良くなりました。本当にいいフィーリングだったので、思いきり運転を楽しむことができました。

また、チームのみんなが素晴らしい仕事をしてくれたお陰で、クルマはトラブルフリーでした。本当に感謝しています。次のフィンランドでも、今回と同じようなスピードで走れることを期待しています」

そして、今回の勝利をチームオーナーの豊田章男氏も大いに喜んだ。

※豊田章男氏 コメント

「カッレ、ヨンネ、SS3以降、ずっとトップを走り続けての優勝、とても頼もしい走りでした! パワーステージも素晴らしい走り! ヤリ-マティの最年少記録を塗り替えたエストニアでの初優勝、次戦ベルギーでの3位表彰台、そして今回のギリシャでの2勝目。頼もしいドライバーになってくれたこと本当に嬉しく思います。 早くもお父さんを超える2勝目、おめでとう!

今回の勝利は、もちろん日々学びながら進化し続けているカッレのドライビングにも感謝ですが、彼を支えるチームのみんなにも感謝したいと思います。今シーズンは感染防止のため、エンジニアの一部はフィンランドに残り、遠隔で現地をサポートしています。遠隔サポートのやり方も改善を続け、今回は遠隔のデータエンジニアたちが、カッレの車両からいち早く不具合を見つけ出してくれて、大事に至らずに走り続けられたそうです。カッレの勝利をサポートしたみんな、今回の勝利をありがとう!

セブの3位表彰台も、ドライバーズタイトルに向け大切なポイントです。ダブルポディウムをありがとう。車両トラブルにより、エルフィンには思ったとおりの走りをさせてあげられませんでした。申し訳なく思います。原因を究明し、改善していきたいと思います。

次戦は我々のホームタウンを走るラリーフィンランドです。フィンランドではセブ、エルフィン、カッレ、貴元、みんなの笑顔を見たいと思います。ヤリ-マティをはじめチームのみんな、よろしくお願いします。ファンの皆さまも引き続き、応援いただければ嬉しく思います。よろしくお願いします。

追伸
貴元は今回走れない週末になってしまいました。楽しみにしていた日本での戦いも中止になってしまい、残念なことが続いています。しかし次戦は地元フィンランド、しっかり気持ちを切り替えて、次こそ思いっきり走ってきて欲しいと思います。

今週末、日本では”もう一人の勝田選手”が貴元の残念な気持ちも背負って、頑張って走ってくれました。今週は”日本の勝田選手”に『おめでとう』を送ります。次回は日本で走る勝田選手、フィンランドで走る勝田選手、両方におめでとうが言えるようになることを祈っています」

◆次戦はトヨタにとって第二の本拠地・フィンランド

©TOYOTA GAZOO Racing

こうしてラリー・ギリシャは終了した。ドライバーズチャンピオンシップは以下の通り。

1位:セバスチャン・オジェ/180ポイント
2位:エルフィン・エバンス/136ポイント
3位:ティエリー・ヌービル/130ポイント
4位:カッレ・ロバンペラ/129ポイント
5位:オット・タナック/106ポイント
6位:勝田貴元/66ポイント
7位:クレイグ・ブリーン/60ポイント
8位:ガス・グリーンスミス/44ポイント

オジェが大きくリードし、残り3戦の戦いを有利な立場とした。そしてマニュファクチュアラーズ争いは、トヨタが397ポイント、ヒュンダイ340ポイント、Mスポーツ153ポイントとなっている。

今回、力強い走りを見せたトヨタのヤリスWRC。すでに来年から始まる新しいレギュレーションに向けて新マシンのテスト動画が公開されるなど、現状に満足することなく着々と次の手を打っている。

次戦は10月1日〜3日で開催される第10戦ラリー・フィンランド。トヨタにとって第二の本拠地といえる場所だけに、ラリー・ギリシャに続く走りを期待したい。また、今回は欠場した勝田貴元の2度目の表彰台を期待したいところだ。

©TOYOTA GAZOO Racing

最後になるが、今回、ラリー・ギリシャのセレモニアルスタートで旗を振ったのは、ギリシャ首相キリアコス・ミツォタキス氏だった。思えば、昨年のラリー・エストニア開催が決定した記者会見にはエストニア首相のユリ・ラタス氏や財務大臣のマルティン・エルメ氏が同席した。海外においてWRCイベントがどれだけ文化として高く評価されているかのあらわれだ。

多くのファンが待ち望んでいた今年のラリー・ジャパンが中止となったことは本当に残念だが、2022年に開催するラリー・ジャパンでは、ぜひとも首相がセレモニアルスタートに登場するような高い国内認知度を得ることを願いたい。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>

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