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【WRC】情熱の国スペインのイベントは、WRC最速とも言われる高速ラリー

WRCも終盤の第11戦を終え、舞台は華麗なマタドールの国、スペインのカタルーニャ州となる。ラリー・カタルーニャがWRCイベントに加わったのは1991年からと歴史は浅い。

しかしながら、F1やMotoといったモータースポーツに熱狂的な国民が多いことからも、その人気は高く、とくに1993年から2000年代にかけては、スペシャルステージすべてがターマック(舗装路)ということで、高速ラリーの代名詞として一気にWRCのメジャーイベントとなった。

 

◆グラベル導入で多少スピードダウン

しかし、ターマックを得意としたセバスチャン・ローブ(フランス)が2005年から2012年まで8年連続で勝ち続けたことで変化が生まれた。

FIAのルール変更に法って、2010年からグラベル(未舗装路)とターマックを組み合わせたコース設定に変更されたのだが、これはローブが強すぎたからだとも言われている。

実際、マシンを横滑りさせるドリフトがラリーの醍醐味だが、ローブ時代は、フォーミュラカーのようにマシンをドリフトさせることなく、タイヤの能力をギリギリまで引き出して走るグリップ走行が主流となり、速度が上がって危険度が増したことに加えて、見た目の派手さがなくなったこともグラベルを取り入れる要因になったとも言われている。

 

◆バルセロナ近郊で観光も楽しめる

そんなラリー・カタルーニャは、カタルーニャ州最大都市のバルセロナから、海岸沿いに西南西方向に約110キロ離れた観光都市サロウを中心に開催される。

サロウの街で有名なのは、ヨーロッパ内では屈指のテーマパークと言われている「ポート・アベンチュラ・パーク」。

世界的旅行サイトであるトリップアドバイザーでも、サロウの観光ではポート・アベンチュラ・パークが1位。家族で楽しめるタイプのテーマパークなので、ディズニーランドやユニバーサルスタジオからキャラクター的要素を引いたものと考えると良いかもしれない。

また、北東約10キロには世界遺産の街・タラゴナがあり、ローマ時代の水道橋や円形競技場など、数々の遺跡を見学できる。つまり、大都市バルセロナと併せ、観光も十分に楽しめるのがラリー・カタルーニャなのだ。

 

◆木曜日のSS1はバルセロナ市内で開催

ところで、ラリーの朝は非常に早いが、今年のラリー・カタルーニャは、金曜日は午前8時30分、土曜日は午前7時15分スタート、そして日曜日は午前6時15分にそれぞれ最初のドライバーがスタートする。

この週末のサロウ地域の日の出時刻は午前8時6~8分とあり、日曜日はまだ暗いうちのスタートとなる。

また、木曜日の午後6時にはバルセロナでのスペシャルステージが開催される。

これは、バルセロナ市街地にある国立カタルーニャ美術館前を封鎖して行われる。バルセロナからサロウへアクセスもよく、WRCイベントのなかでは、ラリー・モンテカルロと並び観戦しやすいラリーイベントとあって、国内外からのファンも多く観戦に訪れ、ラリー・カタルーニャはまさに秋のお祭りとなる。

今年のラリー・カタルーニャの注目ポイントは、やはりランキングトップを快走するセバスチャン・オジェ(フランス)と、それをランキング2位で追うアンドレアス・ミケルセン(ノルウェー)によるVW同士の対決だろう。

昨年、ラリー・カタルーニャに勝利した27歳の若手のミケルセンが、その前に2年連続でラリー・カタルーニャに勝利し、現在32歳といちばん脂が乗っている王者・オジェとどう戦うのか? そこが最大の注目ポイントになる。

(文/田口浩次)