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WRC第5戦イタリア、トヨタがワンツーフィニッシュ!豊田章男氏「やっと海で泳ぐことができますね!」

WRC(世界ラリー選手権)2021年シーズンの第5戦「ラリー・イタリア」が開催された。

©TOYOTA GAZOO Racing

前戦の「ラリー・ポルトガル」からコロナ以前と同じ距離を競うフルラリーとなり、コースには観客の姿も。欧州ではほぼ通常開催に近いWRCの姿へと戻ってきたことをラリー・イタリアでも再確認できた。

また、コロナ以前の2019年開催時と比較すると、7年間サービスパークがあった西海岸側の港町アルゲーロから東海岸にある港町オルビアへと変更。

さらにSS(スペシャルステージ)も名物だった“ミッキージャンプ”などのコースは引き続きあるが、新たに設定されたコースもあり、名前は同じラリー・イタリアだが中身はこれまでとは少々違うグラベル(未舗装路)ラリーとなった。

©TOYOTA GAZOO Racing

そんなラリー・イタリアの最終結果は以下の通り。

1位:セバスチャン・オジェ(トヨタ)
2位:エルフィン・エバンス(トヨタ)/1位から46秒0遅れ
3位:ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)/同1分5秒2遅れ
4位:勝田貴元(トヨタ)/同6分11秒2遅れ
5位:ヤリ・フッツネン/WRC2クラス/同9分31秒7遅れ
6位:マッズ・オストベルグ/WRC2クラス/同9分39秒2遅れ
7位:ヨハン・ロッセル/WRC3クラス/同10分37秒7遅れ
8位:ぺぺ・ロペス/WRC3クラス/同11分3秒7遅れ

優勝は今季3勝目となるトヨタのオジェ。2位にもトヨタのエバンスが入り、トヨタはワンツーフィニッシュを決めた。

3位にはヒュンダイのヌービル。そして4位にはラリー・ポルトガルに続いて勝田貴元が入った。勝田にとって自身最高のリザルトを連続で刻んだことになる。

前戦はサバイバルラリーだったが、今回も5位以下がWRC2以下のクラスというサバイバル。かなりタフなラリーであった。

◆2日目からヒュンダイに暗い影

トヨタとヒュンダイによるチャンピオン争いとなっている今シーズン。初日の金曜日にサバイバルラリーの餌食となったのは、トヨタのカッレ・ロバンペラだった。

SS4まで順調だったが、サスペンショントラブルによりデイリタイア。前戦もリタイアで今回は巻き返しを狙っていただけに悔しい結果となった。

©TOYOTA GAZOO Racing

速さをみせる日本人ドライバーとして注目を集める勝田だが、初日はSS走行中にエンジンストールがあるなど本人にとってフラストレーションの溜まるものだったようだ。だが、着実な走りで初日は6位につけた。

初日はグラベルタイヤの解析で一歩先に進んでいるヒュンダイが強さを見せつけ、8つのSSですべてステージトップを獲得してオット・タナックを先頭に1〜3位を独占。4〜6位でトヨタ勢が追う結果となった。

©WRC

2日目の金曜日、好調なヒュンダイに暗い影が落ちる。

SS9の名物である深い水たまりを横切る場面で、ダニ・ソルドのマシンの吸気系に水が入り込んだのか、エンジンストールしてしまいタイムを落とした。

ただ、これは予兆に過ぎなかった。SS12でトップのタナックがコース上の岩に左側タイヤとサスペンションをぶつけてマシンストップ、デイリタイアとなった。

不運はここで終わらない。SS15を走行中だったソルドは軽い左コーナーを走行中、右側のコース脇に生えている雑草に隠れていた岩か何かに右リヤを大きくヒットさせてマシンが横倒しに。タイヤとサスペンションアームが外れてしまうほどの衝撃だった。

こうして、初日はトップ3を独占していたヒュンダイだったが、2日目のSS16を終えると1位オジェ、2位エバンスとトヨタが逆転、3位でなんとかヒュンダイのヌービルが追いかける展開となった。

◆オジェ「本当に良い週末だった」 勝田も5戦連続入賞

ただ、まるでトヨタは幸運だったかのようにみえるが、じつはSS10で勝田はヘルメット大の岩がコース上にあり、それを避けきれないと判断して車体の真ん中で乗り越えようとしたら大きくマシンがジャンプしてしまった。

また、トップにたったオジェも同じように大きな岩を乗り越える場面があり、まさに紙一重でトヨタのマシンは生き残ったといえる。新たなコース設定は、よりタフなコースへと変化させていたようだ。

©WRC

トップを失ったヒュンダイのタナックは、2日目終了後のインタビューで「残念な1日だ。マシンは大きく進化したし速い。だけど速さと信頼性が重要で、信頼性こそ第一なんだ」と語り、不運なリタイアを悔しがった。

そして迎えた最終日。

2位を争うトヨタのエバンスとヒュンダイのヌービルはお互い譲らぬ走りを見せ、4本のSSはエバンス、ヌービル、エバンス、ヌービルの順でステージトップを獲得するなど最後まで激しく競い合った。

最後のパワーステージで、水たまりを超えたエバンスのマシンが一時的に止まってしまうアクシデントはあったが2位を獲得。そしてトップのオジェは王者らしい安定した走りをみせ、今シーズン3勝目を挙げた。

勝田は最終日にタイムを落としてしまったが4位をしっかり死守。これで5戦連続入賞だ。速さだけではなく走りの技術も大きく成長したことをうかがわせる。

©TOYOTA GAZOO Racing

優勝したオジェはラリー直後のインタビューで、「凄い週末だった。テストが上手くいって、マシンはラリー・ポルトガルから大きく前進した。土曜日にトップへ返り咲いて勝利できた。チャンピオンシップポイントにも大きいし、本当に良い週末だったよ」と、ポイントを着実に重ねたことを喜んだ。

またチーム代表のヤリ‐マティ・ラトバラは、エバンスのストップにハラハラしたと語った。「素晴らしい結果だった。ただ、エバンスのマシンが止まったときは、このまま再始動せずに2位を奪われるかと思ったよ。さまざまなドラマがあったが終わってみれば良い週末だった」。

◆豊田章男氏「チームのみんな、やっと海で泳ぐことができますね!おめでとう!」

©TOYOTA GAZOO Racing

波乱のラリー・イタリアを終えて、ドライバーズチャンピオンシップは以下の通りとなった。

1位:セバスチャン・オジェ/106ポイント
2位:エルフィン・エバンス/95ポイント
3位:ティエリー・ヌービル/77ポイント
4位:オット・タナック/49ポイント
5位:勝田貴元/48ポイント
6位:カッレ・ロバンペラ/44ポイント
7位:ダニ・ソルド/30ポイント
8位:クレイブ・ブリーン/24ポイント

そして、マニュファクチュアラーズ争いはトヨタが231ポイント、ヒュンダイ182ポイント、Mスポーツ82ポイントとなり、トヨタはそのリードを広げた。

今回の勝利には、チームオーナーの豊田章男氏も大いに喜んだ。コメントの一部を紹介しよう。

「チームのみんな、やっと海で泳ぐことができますね!おめでとう! ワンツーフィニッシュで飛び込めたからしょっぱい海水さえも最高の味に感じると思います。一昨年、私もそこの海辺にいました。

バスタオルと着替えも用意して、どうやって飛び込んだら安全かなんて考えていました。しかし、最終ステージでトップを走っていたヤリスが突然のスローダウン…ドライバーだったオィットには今でも申し訳なく思っています。

セブ、ジュリアン エルフィン、スコット
君たちがあの難しいサルディニアの道を走りきってくれたおかげで、僕たちは海の水がこんなに美味しいということをはじめて知ることができます。みんなの走りに心から感謝します。

そして、この2年間、クルマの信頼性を高め続けてくれたメンバーにも感謝しています。本当にありがとう!」

©TOYOTA GAZOO Racing

次戦は、かつて世界3大ラリーのひとつとして数えられ、1969年に石原裕次郎主演で大ヒットした映画『栄光への5000キロ』で一般にも広く知られるようになった「サファリラリー」ラリー・ケニア(6月24日〜27日開催)だ。3戦連続のグラベル(未舗装路)ラリーとなる。

トヨタは1995年に藤本吉郎が日本人初勝利を挙げている(※ただし1995年はWRCとしての開催ではなく、FIA2リッターワールドカップというラリー)。

トヨタとしてはぜひとも勝ちたいラリーイベント。また日本人ファンとしては、勝田の初表彰台をラリー・ケニアで目にしたいものだ。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>

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