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三浦貴大、兄・祐太朗が結婚して“ラッキー”「気にせず幸せになっていただいて…」

さわやかな好青年からダメ男まで幅広い役柄にチャレンジし、2010年に映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』(錦織良成監督)で俳優デビュー以降、100本以上の映画・テレビに出演してきた三浦貴大さん。

高校と大学ではライフセービング部に所属し、ベーシック・サーフライフセーバーの資格を取得。全日本学生ライフセービング選手権大会(インカレ)で入賞もはたしたスポーツマンだが、実はインドア派。部屋でひとり気ままに過ごすのが好きだという。

◆ワーカーホリックだと思っていたが…

俳優デビューしてから11年、映画、ドラマ、舞台、CM、ナレーションなど多忙な日々が続き、まとまった休みはほとんどなかったという三浦さん。はじめての長期休暇が2020年の緊急事態宣言期間だったと話す。

「緊急事態宣言があった去年のこの時期がすごい空いて、『お休みってこんな感じなんだ』って思いました。約3か月間も空いたのははじめてだったので」

-どんなふうに過ごされていたのですか?-

「僕はもともとインドア派なので、家で過ごすことが全然苦にならないんです。漫画を読んだり、ゲームをしたり、音楽を聴いたり…僕は家で楽しむ術がたくさんあるので」

-コロナはまだ先が見えないですが、不安はなかったですか-

「今後ドラマとか映画の業界がどうなっていくのだろうという不安はありました。それこそ僕は映画が多いので、映画館に人が入れなくなるこの状況で映画を作ろうとする会社があるのかなとか、いろんなことを考えました。

自分の仕事、役者という仕事が立ち行かなくなることもあるんじゃないかなというふうには考えてはいたんですけど、そうしたらそうしたで何か別のことをやればいいかなと思って(笑)」

-割りとおおらかなのですね-

「そうですね。とりあえず、まだ年齢的にアルバイトとかもできるし…と思って(笑)。僕はどっちかというと気楽なので、意外と大丈夫でした」

-あまりガツガツしていないところも三浦さんの魅力ですね-

「自分ではわからないですけど(笑)。でも、デビューしてからずっとコンスタントにお仕事をさせていただいていて、本当にありがたいことなんですけどちょっとワーカーホリック(仕事中毒)を疑ったこともあったんです。でも、去年自粛期間のステイホームが本当に楽しかったので『全然ワーカーホリックじゃないじゃん』って(笑)」

-自粛期間を終えて撮影が再開されたときはいかがでした?-

「戻ったときは大変でした。本当は自粛期間に撮影するはずだった作品がずれて撮影することになって、もともとその間に入っていた作品もあったので、スケジュールが被って結構大変でした。急に忙しくなってしまったので全然脳がついてこなくて、そのペースに慣れるまで少し時間がかかりました」

©︎2020映画『大綱引の恋』フィルムパートナーズ

※映画『大綱引の恋』
2021年5月7日(金)より全国公開
配給:ショウゲート
監督:佐々部清
出演:三浦貴大 知英/比嘉愛未/中村優一 松本若菜 西田聖志郎 朝加真由美 升毅 石野真子

◆最新主演映画で韓国語のセリフと太鼓に挑戦

コロナ禍でエンタメ業界も多大な影響を受け、映画館や劇場の予定も大幅な変更を強いられているが、主演映画『大綱引の恋』が5月7日(金)に全国公開される。

この作品は、鹿児島・薩摩川内市に420年以上続く“川内大綱引(せんだいおおつなひき)”に青春をかける鳶(とび)の跡取り息子・武志(三浦貴大)と、甑(こしき)島に勤務する韓国人女性研修医・ジヒョン(知英)の切ない恋、そしてその2人を取り巻く家族模様を描いたもの。2019年に撮影されたこの作品は、数々の家族愛をテーマにした名作を世に送り出してきた名匠・佐々部清監督の遺作となってしまった。

-冒頭、三浦さんのナレーションではじまりますがすごくいいですね、耳に心地よくて-

「ありがとうございます。声の仕事が大好きなのでうれしいです」

-方言あり、韓国語ありでいろいろ大変だったのでは?-

「大変でした。韓国語が難しくて、言葉の問題が今回は本当に大きかったです。韓国語は『カムサハムニダ(ありがとうございます)』ぐらいしかわからない感じで、基礎の基礎も知らなかったので本当に大変でした。

韓国語を大学で教えてらっしゃる先生にちょっと教えていただいて、読み書きから全部勉強しました。ここはこういう意味だからこういう発音になります、というように全部教えていただいて」

-相手役の知英さんは日本語が本当にうまいですよね-

「そうなんです。知英さんに関しては日本語がうますぎて、監督に『もうちょっと片言にしてくれ』と言われていたくらいでした。僕の韓国語のセリフのところは大体知英さんが一緒だったので、知英さんが結構直してくれて、わりとスムーズにいきました。

撮影前に知英さんに『ちょっと聞いてもらっていい?』ってセリフを言ってみて、『そこはこう変えたほうがいいよ』という感じで直してくれていたので」

-あそこまで流暢(りゅうちょう)な日本語を話す方はめったにいないですよね-

「すごいです、日本人が使う言い回しみたいなのを本当に自然に使うのですごいです。でも、一度現場で僕が『あそこにいるおっちゃんがさ』って言ったときに、『おっちゃんて何?』って言われたのはちょっと新鮮でした(笑)」

-今回は家族の物語ですが、実生活のご家族とは全然タイプが違うのでは?-

「そうですね。鳶という家業があってという家族は想像がつかないところはありますけど、これまでいろんな家族を演じてきたので。うちも父が役者で僕も役者なので、家業みたいになっちゃってはいるんですけど、結果的に(笑)。でも、継ぐとかいうことはないので。

劇中では鳶職に加え、お祭りの一番太鼓を継いでいくということもあるので、ふたつ継いでいかなきゃいけないものがある。そういう状況が想像できない部分だったので、みんなどういうふうに考えているのかなというのを地元の人とかに聞かせていただきました。

実際一番太鼓をやっている方とか、今回使わせていただいた有馬組というところの方が同じような状況だったので、お話を伺ったりしてイメージをつかんでいったという感じです」

-太鼓を叩(たた)くシーンも大変だったと思いますが-

「大変でした。練習もかなりしました。ホテルに帰ってからも枕をたたいて練習していましたし、撮影なのでカットを割るんですけど、腕がパンパンで毎日筋肉痛でした」

-お祭りのシーンがすごい迫力でしたが、実際のお祭りの数日後の撮影だったとか-

「はい。お祭りの6日後だったので、みんなまだできあがってる状態ですごかったです(笑)。皆さん喜んでくれて『もう1回祭りができるぞ』みたいな感じで来てくださったので、すごい熱気でした」

お祭りのシーンは再現撮影に加え、2019年の大綱引本番と18年の大綱引の映像を編集したものだという。迫力の映像に圧倒される。

「本当に思い入れがあります。薩摩川内の人たちもすばらしいですし風景もとてもきれいで、こういうところに住みたいなと思ったぐらいでした」

©︎2020映画『大綱引の恋』フィルムパートナーズ

-とても残念ですが、2020年3月31日に佐々部監督が急逝されて-

「そうですね。もうすぐ1年です。あまりにも突然でびっくりしました」

-三浦さんは佐々部監督とはじめてタッグを組んで主演ということに-

「はい。僕も一応10年以上仕事を続けてきたなかで、佐々部監督は今会うべくして出会えたなあというところがあって、やっぱり映画というものはどういうものなのかということをもう一度考え直させてくれるような方でした。

いろんなお話もしましたけど、やっぱり映画というのは撮影期間じゃなくて準備が大切なんだという話などをすごくしてくださいました。映画の現場の作り方とか、監督とはこうあってほしいなという監督だったので、本当にこのタイミングで出会えてよかったなと思っています」

-次回作の準備で下関に行かれていて亡くなられたそうですね-

「本当に残念です。この作品は鹿児島と薩摩川内で先行上映させていただいたんですけど、監督にとって映画館で映画を人に見てもらうことが多分一番うれしいことなんじゃないかなと思うので、劇場で見てもらえるチャンスがあるというのは監督に一番喜んでもらえるんじゃないかなと思います」

◆自身の結婚願望は…

俳優として忙しい日々を送っている三浦さんだが、近年はカメラマンとしても才能を発揮。映画『ローリング』で共演した柳英里紗さんが監督をつとめた短編映画2本にカメラマンとして参加し、『大綱引の恋』で共演した中村優一さんの写真集『333』のカメラマンもつとめて話題に。

-これからやってみたいことはありますか?-

「とにかく役者としてやれることは全部やりたいなと思っています。ほんとに佐々部監督にお会いしてからなんですけど、一回ちょっと監督をやってみたいなと思ったことがあります」

-俳優仲間の方が監督をされているのをみて刺激されたりは?-

「そうですね。でも、そのなかで僕は役者なんだなというふうにも思ったので。自分で物語を作るのではなくて、もともとあるものに対して自分がどう表現するのかというのが多分好きなんだろうなということに気づいたので」

-かなり忙しい毎日だと思いますが、ひとり暮らしに物足りなさは?-

「ないです。大学を卒業して実家に戻ったのも半年間くらいだったので、ひとり暮らしも人生の半分ですね。今年36になるので」

-掃除や洗濯など家事も全然苦にならないですか?-

「はい。ひとりなので自分がやるべき範囲だけやればいいので(笑)。変に凝ったりもしなくていいし。ひとり暮らしをはじめた頃は家具に凝ってみようかなとか、料理をやってみようかななんて思ったこともありましたけど、今は自分の必要なものだけをやればいいという感じなので、全然苦にならないです」

-家にずっといられるということは、居心地いいんでしょうね。きれいにしていて-

「いや、きれいじゃないです(笑)。僕は一か所にいられればいいんです。ずっとその場所。食べるのもゲームをするのも、漫画を読むのも同じ場所でいいので、実際は二畳でいいんです、多分(笑)」

-お酒が好きだということですが、お酒をのむのも同じ場所で?-

「はい、そうです。仕事から帰ると大体お酒をのんで寝ますね。とくに最近は外でのめなくなって家にいることが多いので量は少ないです」

-お兄様の祐太朗さんが2020年に結婚されましたが、結婚願望は?-

「いえ、むしろ兄が結婚してラッキーと思っているタイプです。兄が結婚したからいろいろやってくれるかなと思って(笑)」

-お孫さんのことなども?-

「はい。兄夫婦に子どもができても何でもいいんですけど、ひとりのほうが家族のことで何かあったときに動けるかなと思うので。兄夫婦は気にせず幸せになっていただいて、細かいことは僕がやろうかなと(笑)」

-ひとり暮らしで不自由がないと気楽でいいですものね-

「そうですね。あと本当にひとりでやる趣味が多いので、『やっぱりひとりのほうがいいかな』と思う瞬間がいっぱいあるんですよね(笑)」

-インドア派と言っていましたが、『ひとりキャンプで食って寝る』(テレビ東京系)では、ひとりでキャンプする姿がサマになっていましたね-

「キャンプ経験はゼロではないですし、サバイバル能力もわりとあるほうだと思うんですよね」

-番組で缶詰のアレンジ方法も覚えてレパートリーも広がったみたいですね-

「そうなんですよ。アレンジ方法も覚えて、あれからひとりでキャンプに行くようになりました。ひとりでやるキャンプが楽しいので、これは結婚できないぞって(笑)。そういうことを理解してもらうのも難しいと思いますし。ゲームもやりたいし、漫画も読みたいし…やりたいことがいっぱいあるので(笑)」

素直で誠実な姿勢がすがすがしい。いろいろな役柄にこれからもチャレンジしていきたいと話す三浦さん。今後の活躍がますます楽しみになってきた。(津島令子)

スタイリスト:涌井宏美