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三浦貴大、俳優の仕事にも活きる“ライフセービング”の経験「イレギュラーな状況にどれだけ対応できるか」

俳優デビュー作『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』(錦織良成監督)で第34回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ、多くの新人賞を受賞し、一躍注目を集めた三浦貴大さん。

デビューから11年、数多くの映画、テレビ、CMに出演し、着実にキャリアップを続けている。経験を重ねるなかで多くの″二世俳優″が偉大な親の存在に抵抗を感じるようになり、親の存在を封印しようとすることも多いが、そんなことが一切なく自然体なのも躍進の要因のひとつ。

演じる役柄もさわやかな好青年からダメ男まで果敢にチャレンジし、作品ごとに新たな魅力を発揮している。

◆いろんな役ができるのは楽しい

俳優デビューの翌年には、明治維新の動乱期に専修大学の初代校長を務めた相馬永胤(そうま ながたね)役を演じた映画『学校をつくろう』(神山征二郎監督)で初主演。続く主演映画『BADBOYS』(窪田崇監督)では、それまでのイメージを覆す広島でもっとも危険視された男を雄々しく体現し、迫力の″メンチ切り″も話題に。

-デビュー早々、さまざまな役柄に挑戦されていて『BADBOYS』では壮絶な殴り合いも-

「そうですね。役柄が違うのは役者としてはすごく楽しいです。いろんな役ができるというのは。僕はさわやかな役がすごい苦手なんです。現実があまりさわやかじゃないので(笑)。家でずっとゲームをしていたり漫画を読んでいたりするような人間なので、あまりさわやかじゃないんです。

だからいろんな役ができるのはとてもうれしいです。でも、自分が出た作品を見ていて『この役はちゃんとこういう役に見えるな』というのと、自分がメンタル面で向いている役、向いていない役というのは別なんだなということにちょっと気づいたところはあります」

-ご自身で自分に向いていると思うのは?-

「本当はさわやかじゃないのに、結構さわやかな役とかはまぁまぁそう見えるなと思って、これはいいのかなと思いました(笑)。あと、すごく悪いやつじゃなくて人間性が悪いというか、言ってしまえばクズみたいな役も見ていてすごい嫌悪感があって合っているかなと(笑)。視聴者の方が嫌悪感を抱くような役もなかなかいいなあと思いました」

-普段のイメージと違うので新鮮でした-

「やりがいもあります。実生活では絶対にできないこともできるので。殴り合いなんかも実際には絶対にできないですからね(笑)」

-『BADBOYS』などを見ていると血気盛んな若い俳優さんたちが大勢いて、現場も大変だったのでは?-

「それがみんなめちゃくちゃ仲よかったんですよね(笑)。だから撮影もすごく楽しかったです」

2013年には、北野武監督の『キッズ・リターン』の10年後を描いた映画『キッズ・リターン 再会の時』(清水浩監督)に主演。自身初のヤクザ役に挑んだ。

-北野監督の映画のなかでも名作と言われている作品のその後を描いた映画ということで、プレッシャーもあったのでは?-

「前作のファンの方も多いので、難しいだろうなとは思いました。ヤクザ役というのもはじめてのことだったので不安でしたけど、あまり前作のことを気にしてもしょうがないなと思って。

いろんなことを気にしたりしていると余計うまくいかないだろうと思ったのであえて意識せず、できることを一生懸命やろうと思ってやっていました」

◆実体験とオーバーラップ、白衣は着慣れているなと

『BADBOYS』では熱い男の絆で結ばれ、拳を交え合う相手役を演じていた阿部進之介さんと主演映画『栞』(榊原有佑監督)で再共演。三浦さんは、医療の現場でさまざまな困難に苦しみながらも日々患者と向き合い、希望を求めて前進しようとする主人公の理学療法士・高野雅哉役。阿部さんは試合中のケガで下半身不随になったラグビー選手・藤村孝志役を演じている。

「阿部さんとは『BADBOYS』以来、7、8年ぶりに共演させていただいたのですが、阿部さんが話していたことで、役者をやっているなかで僕がずっと大事にしていたことがあるんです。

『たとえば咳をしてしまったりとか、そういうのを芝居でやるときに、いったいそれに何の意味があるのかということをちゃんと考えて芝居をしないとダメなんだ』というのを、阿部さんもまだ20代で若かったんですけど、おっしゃっていて。

それまではセリフに頭がいきがちだったんですけど、自分の体のモーションとか、たとえばケンカのシーンでお腹(なか)を殴られたときに本当に咳は出るのかとか、そういうことをしっかり考えないと芝居になっていかないんだなと。阿部さんのあの一言でそう考えるようになりました。だから僕の心のなかの師匠みたいな人なので、久しぶりに会えてすごくうれしかったです」

-『栞』ではよかれと思って一生懸命リハビリ指導をしたのに、相手は目的が違っていたという話の展開で切なかったです-

「そうなんです。難しかったですね。すごい話を書くなあと思いました。この本を最初に読んだときに、『どんな人がどんな思いで書いたんだろう』というのが気になったので、監督とお話をする機会をいただいたんです。そうしたら、榊原監督は僕よりひとつ年下だったんですけど、よくこういう話を書いたなあと思って」

-監督は実際に理学療法士をされていたそうですね-

「そうです。でも本当に命が失われていく話だったので、僕がずっとレスキューをやっていたということもあると思うんですけど、こういう話を感動のためだけに書くというのはあまりよくないなと思っていたんです。

でも、監督がこの作品にかけた思いなどをうかがったときに『雅哉(主人公)が理学療法士をやっていたことによって命の大切さということを伝えたいし、理学療法士をもっと広めたいんだ』と話されていたので、そういうことならと思って受けさせていただきました。

それと、僕がライフセービングとか、精神保健福祉を勉強していたというインタビュー記事を読んでくださっていて、『この役は命と向き合う仕事をしていた人にやってほしいと思った』と言われたので、ぜひやらせていただきたいと思いました。

理学療法士についてもっと知られてもいいと思いますし、あの人たちがいないと、とくに今は高齢社会でもっともっと人手が必要なはずなので、広く知られるようになるといいなあと思っています。マンパワーが必要なので」

-病院のシーンが多いですが、実習に行かれたときのことなども思い出したのでは?-

「そうですね。実習のときのことはよく思い出しました」

-白衣がとてもよく似合っていましたね-

「ありがとうございます。白衣は結構着なれている感じはありました。しっくりくるなあって(笑)」

患者さんとは病院にいる間だけというように割り切る関わり方は自分にはできないと思い、精神保健福祉士になることを断念したという三浦さんと主人公の姿がオーバーラップする。

デビューして11年、これまでにドラマ、映画を合わせると100本以上に出演してきた三浦さん。当然のことながら撮影が重なることも。

-作品の撮影が重なっているときに切り替える術は?-

「切り替えるために何かをするとか、とくにそういうのはないです。ストレスとかもそうなんですけど、何かたまったらこれをするというのは決めないようにしています。

切り替えるときにこれをするとか決めてしまうと、それができなくなったときにすごい困るだろうなと思うので、何も意識しないようにしています。決まったルーティンみたいなのは作らないほうがいいなと。それができないときにストレスになっちゃうと思うので」

-とても落ち着いてらっしゃいますね。パニックになったりすることは?-

「やっぱりレスキューをやっていたときの経験があるんじゃないかと思います。高校から大学まで8年くらいやっていたので。レスキューをやっていると事故が起こったときなども冷静でいなきゃいけない。イレギュラーな状況にどれだけ対応できるかという仕事だったので、それはいまだに活きているのかなと思います」

素直で謙虚な姿勢、ナレーションでもおなじみの落ち着いた声が心地いい。次回後編ではコロナ禍での日々、5月7日(金)に公開される名匠・佐々部清監督の遺作となってしまった主演映画『大綱引の恋』の撮影裏話も紹介。(津島令子)

スタイリスト:涌井宏美

©︎2020映画『大綱引の恋』フィルムパートナーズ

※映画『大綱引の恋』
2021年5月7日(金)より全国公開
配給:ショウゲート
監督:佐々部清
出演:三浦貴大、知英、比嘉愛未、石野真子、松本若菜、升毅、朝加真由美、中村優一、金児憲史、恵俊彰、西田聖志郎

有馬武志(三浦貴大)は35歳で独身。鳶(とび)の親方で大綱引の師匠でもある父の寛志(西田聖志郎)から、早く嫁をもらって、しっかりとした跡継ぎになれとうるさく言われていた。ある日、ひょんなことから韓国人研修医のジヒョン(知英)と出会い、しだいに惹かれるようになるが…。

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