コロナ禍を戦う医師、“医療崩壊を防ぐための挑戦”「命を守りたいって思いだけ」
テニスの現役を退いてから「応援すること」を生きがいにしている松岡修造が、東京オリンピック・パラリンピックや未来に向けてがんばる人たちを応援する「できる宣言」。
今回紹介するのは、いまだ新型コロナウイルスの感染拡大がつづくなか、あるアイデアで多くの人に安心を与えている医師・秋冨慎司さん。
秋富さんが生み出したのは、埼玉のとある場に設置されたコンテナ。
「PCR検査をしたり、医療従事者が安心して安全なかたちで検査を行ったり、発熱患者さんを診られるように企画をしたコンテナです」(秋冨さん)
この中には多くのアイデアが詰まっている。
ひとつ目の特徴は「輸送が簡単」という点。トラックにフィットし、船や飛行機で輸送可能な国際規格で作られているため、有事の際は海外に運ぶことができる。
ふたつ目は「短時間で設置可能」。設置場所に到着してから、配線、内装作業などを経てわずか2時間で診察が開始できる。
狭いコンテナ内ということで、“密”を心配する人がいるかもしれないが、このコンテナには「医療従事者を感染から守る」という特徴も。
コンテナの中を見てみると、患者と医師の間は仕切られた状態。アクリル板越しにゴム手袋を用いて診察していた。
さらに、室内の気圧を低くできる装置を患者側に設置。外から入った空気を医師側から患者側へ流れるようにすることで、医療従事者の感染リスクを減らしている。
そして4つ目の特徴は、「診察後の空気もきれい」。感染の可能性がある空気をコンテナの外へ排出する際に、高性能フィルターできれいな状態にしてから排出している。
アイデア満載のこのコンテナを、東京2020でも使用してほしいという秋冨さん。
「海外から多くの選手や関係者がホストタウンに来られると思うんですけども、田舎や元々医療資源が乏しいところだと、どうしていいかわからないと思います」(秋冨さん)
選手達の事前合宿地となるホストタウンは全国で500箇所以上。秋冨さんは自治体とタッグを組むことで、安全安心を提供したいと考える。
◆救えなかった命があるから…
実はこのようなアイデアが生まれた根底には、秋冨さんの壮絶な過去があった。
「医療従事者としてJR福知山線脱線事故や東日本大震災に関わり、やはりもっと多くの人が助かったのではないか、もっと多くの人を守れたのではないかと思いました。そうした過去の経験から、何ができるかを常に考えています」(秋冨さん)
2005年4月、107人が亡くなったJR福知山線脱線事故。さらに、2011年3月の東日本大震災。秋冨さんは両方の現場で治療にあたったが、医療物資の不足から救えなかった命があったことを悔いていた。
「危機に強い体制作りが、今日本で求められています。政府関係者・政治家・官僚、死ぬ気でがんばっているので、私でできることがあるのではないかという思いではじめました。命を守りたいって思いだけなので」(秋冨さん)
日本の医療を支える秋冨さんの“できる宣言”は、「医療崩壊を防ぐために今やれることをやって安心できる社会を作る」。修造も「日本の医療ならできる!」とエールを送った。
※番組情報:『TOKYO応援宣言』
毎週日曜あさ『サンデーLIVE!!』(午前5:50~)内で放送、「松岡修造の2020みんなできる宣言」も好評放送中、テレビ朝日系