借金2000万でつくった「車いすのまま運転できるバイク」。開発者が感じた「赤字でもやりたくなるような感動」
テニスの現役を退いてから、“応援”することを生きがいにしている松岡修造。
現在は「松岡修造の2020みんなできる宣言」と題し、2021年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けてがんばる人たちを応援している。
今回修造は、車いすに乗る人のための画期的なバイクを手掛けた片山秋五さんに話を聞いた。
片山さんが手がけたバイク「コアラ」は、後方にスロープが取り付けられており、車いすに乗ったまま乗車できる。
足元のレバーで車いすを固定すると、びくともしないタフなボディで安心設計。三輪車なので普通自動車の免許で運転でき、ヘルメットなしで高速道路も走れる。
さらに、2人乗りにしたところも片山さんのこだわりだ。
「障がい者のユーザーの方に『いつも乗せてもらってるだけだから、自分が女房を乗せたい』と言われて。『俺たちは本当は(介助を)やってもらいたくないんだ、できること全部自分でやりたいんだ』と」(片山さん)
◆「気がついたら会社に2000万借金」
片山さんがコアラを作るきっかけは、一緒に働いていた障害のある従業員から「車いすでも運転できるバイクを作ってほしい」とお願いされたことだった。
高校時代にバイク事故に遭い、バイクが大好きだったにもかかわらず運転できない時期があった片山さんは、その願いに強く共感。前例のないバイクの製作に取り掛かった。
しかし、製作は困難の連続だった。頑丈に作ろうとすると、重くなりスピードがでない。軽くすると、車いすを安全に守れない。さらに、細かなパーツも作る必要が出てきたため、高価な機械を導入。ほかの仕事はそっちのけで没頭し、貯金もすべて使いはたしてしまった。
「開発費含め3000万。気がついたら会社に2000万借金があって、(出費は)トータル5000万」(片山さん)
それでも、片山さんがコアラを作りつづけた理由は…。
「お金より大きな笑顔をあげられることかな。買った人がすごい大きな笑顔で、人によっては目を真っ赤にして来てくれるんです。『ありがとう』って言って。そういう面では、赤字でもやりたくなるような感動を彼らの笑顔からもらっているんじゃないですか。思い出すとね、涙が出るんです」
片山さんのコアラに乗ってはじめて公道を走った車いすユーザーは、「最高ですね。なんとも言えない、風を切って走る(感覚が)。景色が全然違って見えます」と絶賛。
コアラは彼らに夢と笑顔を与えている。
そんな片山さんのできる宣言は「自分のバイクでもっと大きな笑顔を作りたい」。修造は「そうだ片山さんなら、できる!」とエールを送った。
※番組情報:『TOKYO応援宣言』
毎週日曜あさ『サンデーLIVE!!』(午前5:50~)内で放送、「松岡修造の2020みんなできる宣言」も好評放送中、テレビ朝日系