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秋野暢子、ダイエット失敗で得た“学び”。大事なのは「落とした体重を維持すること」

連続テレビ小説『おはようさん』(NHK)のヒロイン役でブレークし、数多くのテレビ、映画、舞台に出演してきた秋野暢子さん。2002年に自らの経験を生かした書籍『秋野暢子さんちのスリムな生活やせる知恵』というダイエット本をはじめ、食事や運動、健康、料理、美の秘訣に関する著書を出版。2017年には60歳になったのを機に「公益財団法人 日本尊厳死協会」の会員になったことも話題に。2018年には体操などを通じて健康増進を進め、″人生100年時代″に備えるべく「一般社団法人0から100」を設立。ボランティア活動も精力的に行っている。2020年11月には著書『からだの中に風が吹く! 10カウントブレスヨガ』も出版。筋トレとストレッチも欠かさず、コロナ禍に負けない心とからだを作る努力を重ね、美しいスタイルを維持している。

◆“赤い”シリーズがきっかけでダイエットすることに

朝ドラのヒロイン役に加え、ドラマ『赤い運命』の山口百恵さんをいじめる役で広く知られるようになった秋野暢子さん。スレンダーで背筋の伸びた美しいプロポーションが際立っているが、ダイエットに失敗したこともあったという。

「はじめてダイエットを真剣に考えたのは、『赤い激突』(TBS系)でバレリーナの役をやることになったときでした。

バレエはやったこともなかったですし、とにかく痩せろと言われて、結構無茶なダイエットをしてしまったんです。

とりあえず食べなければいいだろうということと過激な運動もしてしまったので、からだを壊してしまって(笑)。これはちゃんとダイエットについて勉強しなければいけないと思ってはじめました。

とにかく、過激な運動はしない、極端な食事制限もしない。バランスがいい食事を摂ること。ダイエットで大切なことは、体重を落とすことを目的にするのではなく、落とした体重を維持することなんですよね」

-今、毎日の日課はどのように?-

「朝起きて、とりあえず家の掃除をしたり洗濯をしたり、ワンちゃんの世話をしたり…朝のルーティンがあるので、それを済ませたら、ストレッチしかしない日と筋トレをする日、交互にやっています。だいたい1時間半から2時間弱くらい。

私は朝が早いんです。遅くても5時には起きているんですけど、4時に起きちゃうこともあります。寝るのも早くて、遅くても夜8時には寝ちゃうんです(笑)」

-ものすごく健康的ですね-

「そうなんです。7時半くらいに寝る日もあって(笑)。7時に寝ると、絶対に4時くらいに目が覚める。それでも9時間とか寝ているわけですから、ロングスリーパーなんです。

長時間寝ていると、からだがカチコチになっちゃうんですよね。だから、朝起きたらまずストレッチをベッドのなかでやってからじゃないと起き上がれない」

-良質の睡眠が取れるというのはいいですね-

「寝る前に呼吸筋トレーニングを必ずやるんですけど、それですごく睡眠の質がよくなった気がします。ワンちゃんも一緒なので、あまり長く寝ていると起こされるんです。オシッコがしたくなるみたいで(笑)。

基本的には5時には起きて、食事とかいろいろやって、トレーニングをはじめるのが大体8時位。運動前はバナナしか食べないんですけど。1時間半~2時間ぐらい運動して終わってから朝食。

それでもうやることがなくなっちゃうので、確実に午前中で全部終わりますね。だから『今日は何しようかなぁ』って(笑)。今日はクッキーを焼いていました」

-前はマラソンもされていましたねー

「はい。トレーニングのなかに走ることも入っていますけど、からだに悪いのでフルマラソンはやめて、競技にはもう出なくなりました。

若いときはいいですけど、年齢を重ねると、膝とか腰とかにくるので、あまりムリをしないほうがいいですね。だからやっぱり筋トレが増えました。筋肉をつけなきゃいけないということで」

-今現在の体調は?-

「毎年11月に人間ドックに入るんですけど、見ていただいたら『パーフェクト』って言われました。お酒をやめたんですよ。

毎年総チェックしてくださる先生が同じなので、『2020年は肝臓の数値がすごくよくなっているね』って言われました。もともとセーフの枠に入っているんですけれどもガンマGTPなどは年齢とともにだんだんあがってくるものなので」

-お酒はまったく飲んでないのですか-

「一滴も飲んでない。不思議と飲みたいとも思わないですね。あんなに飲んでいたのに、私はアル中じゃなかったんだって(笑)」

-そんなに毎日飲んでいたのですか-

「めちゃくちゃ飲んでいました(笑)。2020年の8月16日に『明日やめよう』と思って17日からやめたんですけど、別に飲みたいとも思わないし、人が飲んでいても平気です」

※『からだの中に風が吹く! 10カウントブレスヨガ』著者:秋野暢子
出版社:幻冬舎 DVD付き
人生を長く楽しむには、【丈夫な肺】と【丈夫な足腰】が必要! たった10カウントの呼吸法とヨガで、肩こり、腰痛、姿勢の悪さを解消し、転ばない足にも近づけます。血流がよくなり、身体のつまりがなくなり、まるで「からだのなかに風が吹く」ような状態に!

◆コロナでボランティア活動にも支障が…

コロナ禍で映画の撮影が延期に加え、講演会も中止に。さらに東日本大震災から続けているボランティア活動もままならない状態になっているという。

「東日本大震災のとき、みんな自分が何かできないかって、世界中がそういうふうに思ったと思うんですよね。私もそのなかの1人で何かできないかなって思って。

それで5月にはじめて東北に入ったんですけど、大阪の友人に手伝ってもらって物資を調達してトラックに積んで行って、現地でお好み焼きとたこ焼きを2500個ぐらい作りました。

そのときにみなさんが本当に大変な思いをされているのを目の当たりにして、これは一回で終わらず、続けていかなきゃいけないと思って。

それでずっと続けていますが、60歳になったとき、『あと何年元気で生きられるかな』って。健康寿命を伸ばして、自分のことは自分でできる年齢が80歳だとしたら、あと20年。

あっという間だなって思ったんです、そのとき。娘の成長を見ていると、あんなに小さかった赤ちゃんが子どもに、そしてあっという間に大人になっちゃったみたいな。私はこの20年、どうやって、何をやって生きていこうかって思って。

女優としての仕事とか、テレビの仕事とかもありますけど、それ以外にやっぱりここまで生かしてもらった世のなかに、何かちょっとお返しをしないと人生の帳尻が合わないなと思って『一般社団法人0から100』を立ち上げたというのが一連の流れです」

-立ち上げるのは大変だったのでは?-

「そうでもないです。ただ、こういうことは継続していかなければいけないので、それがやっぱり大変です。

もちろんお金は入ってきませんから、そこをどうやって継続していくかということはやっぱり大切ですね」

-とくに今はコロナで身動きとれない状態ですものね-

「2020年は東北にも行けなくなって、子どもたちに絵本を読み聞かせるということもできなくなっちゃって…。

人を集めたり、集まったりということができなくなりましたからね。『一般社団法人0から100』は、人生100年と言われる時代になってきたので、0歳から100歳までそれぞれの世代が、元気に健康に過ごすためには、運動、食事、睡眠、笑顔、人との繋がり…色々大切な事柄があります。

その大切なことを皆さんとともに考え、創造し提供していきたいと思って設立したんですけど、2020年はコロナでできなくなってしまったのが本当に残念だなあと思っています」

-11月に著書『からだの中に風が吹く! 10カウントブレスヨガ』も出版されましたねー

「東北に伺っているときに、『息苦しい』とか『息が詰まる』という声を聞くようになって、どうしたものかなと思ったときに“呼吸筋ストレッチ”と出会って、インストラクターの資格を取りました。

この本の監修をしていただいた本間生夫先生(東京有明医療大学学長)が呼吸器の第一人者なんですけど、提唱してらっしゃる“呼吸筋ストレッチ”のライセンスを取る機会があることがわかって、先生の講義を受けて試験を受けてライセンス取ったんです。ですから私は一応“呼吸筋ストレッチ”トレーナーなんです」

-すごいですね。いろいろなことができて-

「そうですね。ラジオ体操の指導士の免許ももってるんですけど(笑)。ほかにも資格を取りたいと思ってはじめたものもありますけど、基礎知識だけはたくさん入っているので、どうしようかなあって考えているところです」

-エクササイズの方法を映したDVDも付いていますね-

「はい。あれは肺を強めるものと足腰を丈夫にするもので、ベースはあまり運動したことがない人用なんです。

まずは入口としていろいろなものを高めていきましょうという感じです。私はあのレベルの運動だと物足りないので、もっと筋トレもたくさんしていますけど、あの呼吸筋ストレッチは、毎日朝昼晩とやっています。

あのDVDにはあまり難しい運動は入ってないので、ぜひやってほしいと思っています」

-秋野さんは本当にからだがしなやかでやわらかいですね-

「ずいぶんやっていますからね(笑)。今回は本当に普段あまり運動をしてらっしゃらなくてからだが硬くなったり、おそらく筋肉が硬くなっているんですけど、その人たちのために、ベースをということで。

マスクも大事だし手洗いも大事、ソーシャルディスタンスも大事だし、うがいも大事ですけど、結局自分で自分のからだを守るということが1番大切だと思うので、強い肺を自分で作る」

◆愛娘のために延命治療拒否、尊厳死を選択

2001年に18年間連れ添った夫と離婚し、シングルマザーとして一人娘を育ててきた秋野さん。2017年、60歳を迎えたとき、愛娘のために「日本尊厳死協会」に入会したという。

「うちは母一人娘一人の家庭なので、娘に迷惑をかけるわけにはいきませんからね。『日本尊厳死協会』には、私が20歳のときに母が60歳だったんですけど、母がまず入ったんです。『私は尊厳死協会に入ったから延命治療はしない』って会員証を見せられました。

そのときには母の死なんて想像もできなくて、あまりピンとこなかったんですけど、それから18年後、実際、母が亡くなるときに私がそのチョイスをしなきゃいけなくなって。

私はハワイロケから戻ったばかりで、成田空港から連絡したときには元気だったんですけど、病院に着いたときには危篤になっていました。

『すぐに延命措置を取らなければ、あと1時間で亡くなってしまう』って先生に言われて、頭が真っ白になりました。

でも、母が望んだようにしてあげたいと思って、延命治療はしなかったんですけど、私も60歳になったときに、『ああ、なるほどな。母は私に迷惑をかけたくないと思って入ってくれたんだな』と思ったので、私も60歳になったときに入りました。

それでそのことを娘にも伝えましたけど、私が母から聞かされたときと同じ反応でした。『ふーん』って(笑)。

私が母から聞かされたときと同じ(笑)。私もそうでしたけど、ピンとは来ないですよね。でも一応伝えておかないと、延命されても困るので。

終活にもいろいろ取り組んでいます。エンディングノートもつけていますし、不動産などの書類や印鑑のしまい場所、葬儀や遺品についても全部書いています」

-新年の抱負は?-

「とりあえず、このコロナの状況をはやく脱却できるようにしたいなと思っています。

それと、この本のなかの運動をみなさんにやっていただいて、からだが丈夫になるといいなと思っているので、そういう活動をこれからもどんどんやっていこうと思っています。

この本はわりと年配の方向けなので、普段あまり運動されていないご年配の方にもやってほしいですね。

要するに世のなかが便利になっちゃって、あまり歩かなくても生活ができちゃうんですよね。乗り物もあるし、わざわざ歩かなくても、都会に住んでいるとね。自分のからだを動かさなくても普通に生きていけるので、からだが硬くなっているんですよね。

すべての筋肉が25歳をピークに落ちていきますから、自分で何とか改善していかないと、結局長生きしても意味がないじゃないですか。健康でないとね。

健康だったらいいですよ、100歳まで生きても。でも、そうじゃなかったら私はいや。

だから、そのために自分で自分のセルフケアをちゃんとしないとダメだなあと思います」

背筋がピンと伸びたスレンダーなプロポーションが際立っている。2021年も幅広い分野で忙しい日々が続きそう。(津島令子)