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異例のGPシーズン開幕、織田信成が注目する“ロシア女王争い” 「レベルがすごいことになっている」

いよいよ、本日10月24日(土)より「フィギュアスケート・グランプリシリーズ」が開幕する。

今年は新型コロナウイルスの影響で、大会のレギュレーションが変更。各大会が「国内運営大会」となったことに伴い、「“開催国出身の選手“、“開催国またはその近隣を練習拠点としている選手”が1大会のみ出場」となった。

2022年に開催される北京冬季五輪のプレシーズンとしても注目を集める今シーズン、選手たちはどんな戦いをみせてくれるのだろうか。グランプリシリーズ解説の織田信成が展望を語った。

◆異例の今シーズン、選手たちへの影響は

――今年は大会レギュレーションが例年と異なり、1大会のみの出場や出場できる大会地域にも制限があります。こういった変更による選手たちへの影響は?
織田信成(以下、織田):日本の選手はカナダへ振り付けに行ったり、ヨーロッパへ練習に行ったりしている選手が多いので、(コロナの影響で)なかなか振付師やコーチの方とコミュニケーションが取れない状況が続いているようです。

そういった日常の練習のなかでも大きな影響が出ているのが少し心配です。

――アメリカ大会は無観客で行われますが、無観客による選手の影響をどう考えますか?
織田:お客さんがいない影響は、数あるスポーツのなかでもフィギュアスケートはすごく大きいんじゃないでしょうか。

僕も現役時代に滑っていて、後半辛くなってきたときにお客さんの「頑張れ」という声援が力になって、自分でも信じられない力が出たことがあります。お客さんはそういうパワーを与えてくれる存在でした。

そういうお客さんがいないとなると、自分のありのままで戦わないといけなくなる。雰囲気なども自分で作らないといけないというのは、選手からしたら難しいと思いますね。

――今シーズンは、コロナ禍での調整など準備も大変だったかと思います。選手たちにはどんなシーズンにしてほしいですか?
織田:やっぱり選手たちにとっては、モチベーションを保つのがすごく難しいシーズンだと思います。試合に向けて練習していくなかで、突然試合がなくなってしまったり…。本当に気持ちも大きく揺さぶられて、今までにない経験のなかでのシーズンでしょう。

でも、僕の周りを見ていてもみんなすごく前向きというか、試合はないけれど日々やることは変わらないし、「またいつ試合があってもいいようにちゃんと練習してきます」っていう子がすごく多いなという印象です。

今シーズンは試合に出られるだけでいいというか、みんなの前で滑れることのありがたさを選手が一番感じていると思うので、そういう思いをかみしめてほしいですね。

◆とくに注目は「ロシア女子」

――各大会のみどころを教えて下さい。
織田:アメリカ大会は、やはり男子はネイサン・チェン選手がひとつ注目だと思います。リモートの演技も見たのですが、練習時間がないなかで、しっかり技術も体力も保てていると思いました。

4回転を何種類跳ぶかはわかりませんが、チェン選手自身も出場できる試合が限られていますし、やれるところで思いっきりやってくるのか…。4回転をフリーで何本入れてくるのか、毎年ながら楽しみですね。

中国大会は、中国の今まで見たことのなかった選手や国内の下位の選手たちも出場予定なので、そういう選手たちも見ていきたいと思います。また、僕も現役時代に戦ったことのある閆 涵(エン カン)選手など、ベテラン勢もすごく充実しているので、彼らにもがんばってほしいなと思います。

ロシア大会は、グランプリシリーズのなかでも一番注目しています。とくに女子のレベルがすごいことになっているので。

アレクサンドラ・トゥルソワ選手の4回転ジャンプはもちろん、アリョーナ・コストルナヤ選手も今シーズンはロシア以外の振付師の先生とプログラムを作っているということなので、そういった新しいプログラムに注目ですね。

来シーズンの北京冬季五輪を見据えると、順位もすごく重要だと思うので、女子の争いはとくに注目しています。

日本大会は男女出場している選手が多いので、今の仕上がり具合に注目しています。男子は佐藤駿選手と鍵山優真選手が今シーズンからシニアデビューなので、彼らが(シニアの)国際大会でどんな点数を出すのか、すごく注目しています。


――カナダ大会(宮原知子出場予定)・フランス大会(宇野昌磨・島田高志郎・紀平梨花出場予定)が中止になりました。大会中止により出られなくなった選手に対してどう思われますか?
織田:僕も現役時代に東日本大震災があって、(日本で開催される予定だった)世界選手権がモスクワで延期開催されました。でも今の選手たちは、中止になってもこの先いつ大会があるかわからない状況なので、すごく不安だと思います。

フィギュアスケートはどうしても選手生命が短いというか、ピークがずっとつづいて長くやるというより、数年の間にパッと芽が出たりピークがくる選手がいるスポーツなので、そういった選手たちの時間が奪われてしまうのは本当に悲しいです。僕たちも素晴らしい演技を見られる機会を奪われてしまったので。

もちろん健康第一ですが、出来る限り次の大会などについては早めに教えてあげてほしいなとは思います。難しいとは思うんですけれど、情報があるだけでもがんばろうと思えるので。

選手たちも本当にがんばっている最中なので、その選手たちの日々の葛藤や気持ちを汲み取ってあげられるような何かがあればいいかなと思います。

◆五輪プレシーズンは「大きな変化が見られるんじゃないか」

――北京冬季五輪のプレシーズンとなる今シーズンにおいて、大会全体を通して男女別にそれぞれ期待することや視聴者にここを見てほしいというポイントはありますか?
織田:プレシーズンはいろいろ挑戦できる最後のシーズンだと選手たちも位置づけていると思います。選曲や振り付け、ジャンプの回転数、いろいろなことに挑戦できる最後のシーズンなので、大きな変化が見られるんじゃないかと注目しています。

男子だと、鍵山選手は4回転をフリーで3本用意しているので、彼の今の実力だとそれを完璧にこなしてクリーンに滑る力もあると思います。佐藤選手も4回転ジャンプをたぶん4本用意してきて、かなりハイレベルな戦いになってくると思うので、羽生選手や宇野選手もすごくいい刺激になると思います。

日本人女子の中でも高得点のジャンプに挑戦する選手は多いので、それがどこまで決まるのか、そこら辺の仕上がりというのもファンの方には注目していただきたいですね。

――選考でいうと、ロシア女子は去年の世界トップ3が同じ国にいます。五輪で3人しか出られないということを、選手たちはどう思っていると考えますか?
織田:精神的にはかなりキツイでしょうし、コーチからも「それじゃあ絶対に五輪に行けないわよ」みたいなプレッシャーもあると思うんですけど、ロシア女子の場合は「これが限界」っていうところにいってから常に安定させるぐらいの気持ちじゃないと絶対勝てないし、(代表に)選んでくれないと思います。

来シーズン、世界ジュニアでチャンピオンになったカミラ・ワリエワ選手などがシニアデビューすると、さらに自分たちの個性をもっともっと出していかないと勝てないので、かなりハイレベルな戦いになってくると思いますね。

――その挑戦がロシア大会で見られそうでしょうか?
織田:見られるんじゃないでしょうか。トゥルソワ選手は、4回転ルッツと4回転トウループ2本、計3本で用意していると思うんですけど、インスタグラムなどでは4回転ループ(の映像)を上げていたり、トリプルアクセルにも挑戦していたり、『まだまだ私にも伸びしろがある』とアピールしているので、それらをロシア大会でどのぐらい入れてくるかですね。僕は絶対攻めてくるんじゃないかと思います。

※番組情報:『フィギュアスケート・グランプリシリーズ2020』

アメリカ大会
10月24日(土) あさ8時05分~ 男女ショート CSテレ朝チャンネル2 生中継
10月24日(土) 深夜2時55分~ 男女フリー CSテレ朝チャンネル2 生中継

中国大会
11月6日(金) 午後5時35分~ 男女ショート CSテレ朝チャンネル2 生中継
11月7日(土) 午後4時40分~ 男女フリー CSテレ朝チャンネル1 生中継

ロシア大会
11月20日(金) 深夜3時~ 女子ショート テレビ朝日(関東地区)
11月21日(土) 深夜3時~ 女子フリー テレビ朝日(関東地区)
11月20日(金) よる7時25分~ 男子ショート CSテレ朝チャンネル2 生中継
11月20日(金) 深夜1時20分~ 女子ショート CSテレ朝チャンネル2 生中継
11月21日(土) よる7時25分~ 男子フリー CSテレ朝チャンネル2 生中継
11月21日(土) 深夜1時05分~ 女子フリー CSテレ朝チャンネル2 生中継
11月22日(日) よる8時55分~ エキシビション CSテレ朝チャンネル2 生中継

※大会の状況等により、放送予定が変更になることがあります。

 

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