テレ朝POST

次のエンタメを先回りするメディア
menu

直木賞作家・辻村深月が感じた『相棒』の凄さ。他作品で「敬遠されてしまうようなことも可能になる」

2000年に土曜ワイド劇場の作品としてスタートしたドラマ『相棒』。10月21日(水)には、最新作の相棒 season19第2話を放送する。

2020年にドラマ誕生から20周年を迎えることを記念し、「『相棒』20周年記念インタビュー企画」と題したインタビューを実施。“『相棒』ファン”を自称する著名人が同作との出会いや熱い思いについて語っている。

今回は、作家・辻村深月のインタビューの様子を紹介。「『相棒』を放送しているクールは毎週キラめいている」と笑顔で語る辻村に、同作の魅力や今後の『相棒』に期待することを聞いた。

「『バベルの塔~史上最悪のカウントダウン!爆破予告ホテルの罠』(『season5』第11話 元日スペシャル)を妹と一緒にみはじめたら、仕事をほっぽり出して夢中になってしまった(笑)」という辻村。これがきっかけで、『相棒』にのめりこむようになり、いまでは関連イベントにも足を運ぶようになった。そんな彼女に、作家視点でみた『相棒』のすごさを解説してもらった。

辻村深月(以下、辻村)「さまざまな魅力のある作品だと思いますが、私は小説家なのでドラマをみるときは、どうしてもストーリーを重視します。『相棒』はミステリー作家の視点でみても、毎回本格ミステリー度がすごく高いんです。

他のシリーズだと“トリッキーなこと”として敬遠されてしまうようなことも『相棒』であれば可能になる。それをみられるのが、すごく楽しいですね。

たとえば犯人の動機が『人前で恥をかかせられた』だったとします。普通なら『それぐらいのことで…』となってしまいそうなことであっても、『どういう場面でどういうふうに、それが強烈な記憶として犯人に残ったのか』というところを、ストーリーとゲストのキャラクターで“厚み”をつけるので、それを目にした視聴者は『この屈辱を味わったら、自分もそうしてしまうかもしれない…』と感じます。その上で、その犯人だからこそその方法をとった、という必然性のあるトリックや事件が展開することに、毎回圧倒されています。

あと『相棒』には、ホラーと紙一重のような雰囲気の山奥に踏み込んでいくエピソードも結構多い。『相棒』って都会の刑事ドラマなんですけど、その土地の民俗性みたいなものも交えながら違和感なく物語に落とし込んで展開していく。『相棒』にできないことはないという感じがすごいと思います。

また、スペシャル回や劇場版では、ひとつの真相がわかっても、それでおしまいじゃなく、次の展開がクライマックスとしてひらいていく。なにかがわかったからこそ、『だとしたら次は、どうなるんだろう?』というワクワク感があるところが大好きです。

それから、普通のドラマではやらないかもしれないような、実際の社会情勢や権力に対して心に迫るメッセージが盛り込まれているところも素晴らしいなと思います」

『相棒』に20年間出演し続ける杉下右京の一番の魅力は「何が正義なのか、シーズン1から軸がブレないところ」だと語る辻村。そんな彼女に、杉下右京を演じる水谷豊について聞いてみた。

辻村「水谷豊さんでなければ、できなかったことがたくさんあると思います。

ドラマづくりを考えると、『右京さんは頭脳派で、相棒は体力派で体を張る』というふうにキャラクターを描きがちになります。ですが『相棒』では、水谷さんの精悍さと動きの機敏さのおかげで“動ける右京さん”になるんです。

『ちょっと様子をみてきます』って言ってビルの下に行くのが神戸(及川光博)くんじゃなくて、右京さんだったりするところに『これは唯一無二のシリーズだな』と感じます。

右京さんが動けて走れることで、それぞれの相棒との関係性も唯一無二の魅力になっていますよね」

◆『相棒』でなければできなかったという種類の感動がある

「『相棒』をみると、無性にバディものを書きたくなります」という辻村に、『相棒』の印象に残るエピソードを聞くと、彼女は2つのエピソードの名前を挙げた。

辻村「最初にみて、『相棒』を大好きになった『バベルの塔~史上最悪のカウントダウン!爆破予告ホテルの罠』(『season5』第11話 元日スペシャル)ですね。

ゲストの大塚寧々さんや遠藤章造さんたちの演技が素晴らしく、それぞれのキャラクターの厚みや関係性からも目が離せない。大塚寧々さん演じる元刑事・楓の娘さんは、耳が不自由な子で。それを知った右京さんが手話で楓にメッセージを送り、窮地を脱するシーンがあるんですが、そこがもう最高にスマートでカッコいいんです。

シナリオに一切のムダがなく『このために、この展開があったんだ』って思うようなことの連続で、ミステリー度も高く大好きです。

もうひとつは、「待ちぼうけ」(『season12』第18話)。

この話は、みていて途中で『あれ?!』と思うところがあるんです。特命係2人が休暇をとっているという設定なので、いつもより穏やかで事件性の薄いところからスタートするんですけど、なんかちょっとみていて違和感を覚えるんです。

それで、物語の途中で「(その違和感を覚えたのは)だからだったんだ!」と思う瞬間があるんですよね。それが右京さんと甲斐(成宮寛貴)くんのキャラクターがあるからこそ、すごく引きたつ設定になっていて。その話の傍らで、伊丹刑事(川原和久)たちも活躍するんですけど、彼らの事件への絡み方もとても素晴らしく『「相棒」でなければできなかった』っていう種類の感動があるんです。

太川陽介さん演じる友部の悲しさと、その友部に右京さんがラストに語りかけるシーンが本当に圧巻。すべての『相棒』ファンにみていただきたいエピソードですし、今まで『相棒』をみたことがない方も、このエピソードをみたらきっと『相棒』のすごさがわかっていただけると思います」

そして「今後の『相棒』に期待すること」を尋ねると、以下の答えが返ってきた。

辻村「まず、20年間『相棒』を見せてくださってありがとうございますという気持ちがあり、これからもずっと続いて欲しいなと思います。“最高傑作”を次のシリーズでまた更新していってくれることを期待しています。

あとこれは、すごく難しいので実現するかはわかりませんが、小学生くらいの推理マニアの子どもとか、右京さんの孫世代くらいの相棒がでてきてくれたら嬉しいですね。ゲスト回とかでもいいので。

右京さんは、人に厳しい面をもつ一方で、小さいものや弱いものへの慈しみももたれている方。シナリオからもそれが感じ取れるので、その右京さんが小学生ぐらいの相棒をむかえたとき「どんな事件をどうやって解決するのだろう…」ということが気になりますね」

※番組情報:『相棒 season19』第2話
2020年10月21日(水)午後9:00〜10:09、テレビ朝日系24局

※過去回は、動画配信プラットフォーム「テラサ」で配信中!

LINE はてブ Pocket
関連記事
おすすめ記事