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Mr.マリック先生、家庭崩壊の経験を涙で語る「家庭より大切な仕事はない」

過去に大きな失敗を体験した“しくじり先生”が、「自分のような人間を増やすまい!」という熱意とともに自身のしくじった経験を教える反面教師バラエティー番組『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)。

©テレビ朝日

6月25日(日)に放送された同番組には、“超魔術師”として知られるMr.マリック先生とヒップホップ歌手の娘・LUNA先生が親子で登壇。「修復不可能なくらいまで家庭崩壊しちゃった先生」として、“仕事を優先し過ぎて家庭を崩壊させないための授業”をふたりで行った。

 

◆ここに立っていることは「奇跡」

過去2回、『しくじり先生』に登場しているMr.マリック。授業のための打ち合わせを重ねるたび、“家庭崩壊”を引き起こした自らの過去のしくじりを語りたいという使命感がわいたという。そうして実現したのが、今回の“親子先生”による授業だ

©テレビ朝日

Mr.マリックは、仕事の忙しさにかまけて家庭のことを何ひとつせず、それによって家庭崩壊を引き起こした。長女のLUNAはグレにグレて家出を連発、長男は毎日部屋にこもってゲーム三昧、夫婦のコミュニケーションはゼロ…そして、Mr.マリック自身は仕事と家庭のストレスから顔面麻痺になってしまったという。

「いまこの場にふたりで立っていることは、“ハンドパワー”以上のミラクル」と語ったMr.マリックとLUNA。一体、この家族にどんな過去があったのか?

 

◆家でも“Mr.マリックの衣装”の生活

Mr.マリックが初めて全国ネットのテレビ番組に出たのは、1988年、39歳のときのことで、LUNAはこの頃8歳の小学生だった。当時披露した「スプーン曲げ」などの“超魔術”はとてつもない反響を巻き起こし、マリックは「これで一生食べていける」と感じたという。

しかし、ここからMr.マリックの家庭は崩壊していくことになる。

番組でマリックが語った“家庭崩壊を引き起こす親の3つの特徴”は、「仕事と家庭のONとOFFがない」、「子育てを妻に丸投げする」、「大事な時に叱れない」というもの。

マリックはこの頃、家にいるときも食事しているときもマジックのことばかりを考えており、家族とはほとんど会話せず、さらに家の中でも常に“Mr.マリックの衣装”で生活していた。

つまり、仕事と家庭の切り替えがまったくできておらず、そんなマリックにLUNAは、「なんじゃこいつ、気持ちワルッ!」という感情を抱いていたという。そうして、小学3年生の頃には父・マリックに話しかけるのをやめたそうだ

 

◆「誕生日って言われてもわかんない」

こうして家庭環境が悪くなる一方、仕事は絶好調。ゴールデンタイムにマリックが主役の特番が次々放送され、「きてます」「ハンドパワー」などの流行語も生み出した。

しかし、その頃マリックは、「金さえ稼いでいれば文句ないだろ!」という気持ちで子育てをすべて妻に丸投げ。授業参観や運動会には1回も行ったことがなく、子どもに勉強を教えたことも一緒に旅行したことも公園で遊んだことも、1回もなかったという。

そしてさらに、“とんでもない事件”が起こる。

当時マリック家には家族共用のスーツケースがあったそうだが、マリックがこのスーツケースの鍵の暗証番号がわからずに開けられないでいると、「暗証番号はLUNAの誕生日だよ」と家族から教えられたそう。

このときマリックは、「(LUNAの)誕生日って言われてもわかんないよ」と言い放ったという…。

このエピソードには、スタジオの生徒たちも驚愕していた。

 

◆「娘さんの退学が決定しました」

そんな当時、LUNAは学校で「Mr.マリックの娘」としてイジられ“まくる”日々を過ごしていた。

休み時間には「ハンドパワー見せてよ」、給食のときには「スプーン曲げてよ」、朝の出欠をとるときには「(学校に)“きてます”」…このように朝からずっとイジられるなかでストレスを抱えていたというLUNAだが、マリックからときたま「勉強どう?」「学校はどう?」と聞かれると、「大丈夫」としか答えなかったそうだ。

ふたりは当時を振り返り、この「大丈夫」という言葉は、子どもがグレてしまう前の“SOS”サインだと語る。

これは、親に何か言っても意味がないと思って発している一言であり、結果的にストレスをひとりで抱えていってしまうだけなのだが、マリックはこの「大丈夫」を言葉の通りに受け取ることで見落としていたそうだ。

そうして、マリックがLUNAのことを手のかからない良い子だと思っていたなか、ある日突然、LUNAの通う中学校から衝撃の連絡がきた。それは、「娘さんの退学が決定しました」というものだった。

 

◆大事なときに叱ることができなかった

LUNAの通っていた中学は私立校だったため、義務教育でも退学処置があり、マリックの知らないところでほぼ全ての校則を破る行いをしていたLUNAは、退学になってしまったのだ。

学校に呼び出されて初めてLUNAが“グレている”ことを知ったマリック…。LUNAは当時、警察に20回補導されるほどの荒れた生活を送っており、マリックの妻は何度も方々へ呼び出されていたが、マリックにはそのことを言えなかった。

そして、この大事なときにマリックは、LUNAのことを一切叱ることができなかったという。日頃コミュニケーションがなかったため、とことん娘とぶつかる勇気がもてなかったそうだ。この“叱れなかった”ことが、家庭崩壊の決定的な引き金となる…。

マリックは、「気をつけよう!子どもは急に叱れない」と、このときの教訓を語った。

 

◆初めて大声で叱りつけた

荒れる娘、キャパオーバーになってしまった妻、そして、家の問題と「仕事激減」という二重のストレスを抱えることになったマリック…。そうして家庭は崩壊し、ストレスに耐えられなくなったマリックは、顔面麻痺になってしまった。

ここでマリックは、「私は一体何をしていたんだ」という気持ちになったという。そして、初めて父親らしく、LUNAを更生させることを考え始めた。

そのためにまず、「娘が本気でやりたい好きなことをやらせよう」と決め、初めて膝と膝を突き合わせてLUNAと話し、娘が将来やりたいことを聞いた。

ここでLUNAは、「イルカの調教師かサーファーかボディボードの選手かウェイクボードの選手」と答えたそうだが、これは全てその場しのぎで適当に言った嘘。この答えを信じ、実現させるために奔走したマリックは、嘘だとわかったときに初めて大声で叱りつけたという

LUNAは、このときに言われた「ダラダラしてないで何か夢を見つけろ!」という叱りの言葉から父の愛情を感じ、今までにない感情が芽生えたと振り返る。さらに、「このままではダメだ、変わりたい」という気持ちになり、その後時間を経て、父に「私音楽をやりたい」「NYへ音楽留学させてほしい」と初めて頭を下げることになった。

 

◆Mr.マリック先生、号泣!

番組では音楽留学のあいだの実際の映像が流れたが、マリックは当時、このビデオカメラ映像の中でイキイキとゴスペルを歌うLUNAの姿に驚いたという。

そして、番組の中であらためてLUNAから、「父からもらった“家族愛”のパワーは、あんなにもグレていた私を動かした。そのパワーは、ハンドパワーよりすごいと思います。グレて迷惑をかけてすみませんでした。本当に感謝しています。パパありがとう」と言われると、マリックは号泣。

「こんな言葉が聞ける日がくると思わなかった」「あのグレていた娘が、本当に頑張ったと思う」としながら、仕事を優先し過ぎて家庭を顧みていない人に向けて、「家庭より大切な仕事はない」という教訓のメッセージを送った。

現在は、長男のところに孫が3人生まれ、LUNAも音楽活動に励み、家族みな仲良く幸せだというマリックの一家。最後にマリックが披露した、バラバラになった家族が元に戻ることを表現した特別なマジックは、スタジオを大きな感動に包んでいた。

 

◆次回は“しくじり芸人”2本立て!

・Mr.マリック&LUNA先生の“涙の親子授業”は、テレ朝キャッチアップにて無料で視聴可能!

・『しくじり先生 俺みたいになるな!!』次回の放送は、7月2日(日)よる9時58分から!「エリート街道を踏み外し人生台無し」のジョイマン先生と、「嘘エピソードで視聴者を裏切った」というデニス先生が登場する。