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ダルビッシュ有、日本人初の最多勝。“妻の涙“で奮起「どんどんできるようになっていくねん」

今シーズン、メジャーリーグの舞台で躍動したシカゴ・カブスのダルビッシュ有

8勝をあげ、日本人初の最多勝のタイトルを獲得。さらには、投手最高の栄誉ともいわれる「サイ・ヤング賞」の候補にも挙がっている。

9月20日(日)の『GET SPORTS』では、ダルビッシュへの独占インタビューを放送。躍動の理由が明らかになった。

◆No.1投手への挑戦は苦難の連続

2012年、ダルビッシュはメジャー挑戦の際、口にした言葉がある。

世界中の誰もが『No.1のピッチャーはダルビッシュだ』と言ってもらえるようなピッチャーになりたいなと思っています

そう語り、世界最高峰の舞台へと乗り込んだが、待ち受けていたのは想像だにしなかった苦難。

テキサス・レンジャーズ入団後、3年連続で二桁勝利を挙げるも、2015年には右ひじの靱帯損傷により、トミー・ジョン手術を受ける。

その後、トレードでロサンゼルス・ドジャースへ移籍すると、2017年、ヒューストン・アストロズとのワールドシリーズでは2試合を投げ、いずれも2回途中で降板。後にアストロズのサイン盗みが判明したが、このときはワールドシリーズ敗退の戦犯扱いを受け、激しい誹謗中傷を浴びた。

だが迎えた2019年、前半戦の18試合は55四死球、防御率5.01とよくなかったものの、後半戦の13試合はまるで生まれ変わったかのようなピッチングを披露し、12四死球、防御率2.76と格段に成績が上がった。

投手の力を計るうえで、今メジャーリーグでもっとも評価される指標K/BB(奪三振数を与四球数で割った数値)を見てみると、サイ・ヤング賞投手のジャスティン・バーランダー(9.80)やタイトルホルダーのゲリット・コール(8.67)などを抑え、16.86という圧倒的な数字でトップだった。

2019年の後半戦に見せた突然の覚醒。いったいダルビッシュに何が起こったのか。2020年1月、独占インタビューでその全貌を語ってくれた。

◆「私と結婚してから成績がよくない」

――去年の後半戦はどうでしたか。

ダルビッシュ:「投げている感覚とかブルペンでの球筋、コントロールっていうのは、『ああ、俺一番すごいな』とは思っていました」

――すぐに変わったわけではないんですか?

ダルビッシュ:「だんだんよくなった感じです。ただ、1回Twitterで言ったんですよ、『あるきっかけがあった』と。(2019年の)5月ごろ、妻に寝る前に泣かれて。『私と結婚してから成績がよくないから、私のせいじゃないか』って

――奥さんは結構溜まっていたんですか?

ダルビッシュ:「普段は全然見せないんです。でもあそこで言ってきたってことは、我慢して自分のなかで思っているところがあって、『何もできてないんじゃないか』ってことを言ってしまった感じ。完全に自分の責任なんですけど。それを言われたときの自分の表情を覚えていて、苦笑いというか、恥ずかしいというか。すごい情けなかったんですよ。『俺ヤバい。マジでちゃんとやらなあかん』って思って、そこからパッと変わりましたね。

それから1週間後くらいに、妻に『ちょっと俺最近おかしいかもしれへん。毎日1個できるようになっていくんよ。どんどんできるようになっていくねん』と言いました。僕らって仮説をいろいろ立てて球場に行く。『これ試してみよう。あ、できた。じゃあ次の日はこれを試してみよう。あ、違った』と。その連続なんですよ。でも5個立てていくと5個全部できるんですよ。全部の仮説が当たっていくっていう状態でした。

だから今、一番すごくなるかもしれへんよって(思った)。それが(2019年の)6月くらい。ただ、成績はまだついてきていなかった時期だったんですよ。でも僕としてはそこに確信があって。7月くらいに一気に結果がついてきたって感じですね」

――それは気持ちの問題だったんですか?

「正直な話、守っている感じがあったんじゃないかな。たとえばワールドシリーズのこともあったし、大型契約もしたし、ケガもしたし。自分のなかでネガティブな方に(気持ちが)いっていたのかなって思うけど、あのとき『俺、逃げたらあかんな。これだけ家族を苦しませてしまっているっていうのは、男としても夫としてもダメだな』と思って、そこから変わりましたね

◆覚醒のきっかけとなった武器

妻・聖子さんの涙が大きなきっかけとなり、覚醒への道を歩みはじめたダルビッシュ。一方、ピッチングの面でも覚醒のきっかけとなるある球種があった。

ダルビッシュ:「ナックルカーブという、昔でいう速いカーブと同じなんですけど、あれをまた投げはじめて、左打者への三振が増えました

一般的なカーブに比べて変化は小さめだが、スピードは少し速いナックルカーブ。実は以前からダルビッシュの持ち球のひとつでもあったのだが…。

ダルビッシュ:「トミー・ジョン(手術を)受けてからまともに投げられていなかったんで。もうムリやと思っていたんです」

――怖いという思いが?
ダルビッシュ:「怖くはないんですが、(手術前と)同じような球が投げられない。前はほぼ空振りをとれていたんですけど、バットに当たってしまうっていうのがあって。でもたまたまフィラデルフィア・フィリーズと試合をしたときに、(当時のチームメイト、クレイグ・)キンブレルにナックルカーブについて聞いて、『体全体で投げにいく』って言われたんですよね。その2日後くらいに次の試合があってブルペンで投げてみたら、メチャクチャよくて。ジャイアンツ戦で投げて完全につかんだって感じですね」

2019年8月22日(木)のジャイアンツ戦。手術後に投げることができなかったナックルカーブで三振を奪うなど、再び武器として取り戻した。

ダルビッシュ:「みんなナックルカーブを意識してストレートはこないと思っているから、急にストレートを投げると、ファールになったり、(シーズン)最後の方は左打者にストレートで三振をとったりもしていました。ほかの変化球のコントロールがどんどんよくなって、(打者が)ストレートに遅れるようになった。それで、ストレートがたまにくるから、変化球も合わないっていう。ナックルカーブを投げだしてからプラス緩いカーブを使うようになったんですよ。それがストライクをとれるようになってから変わりましたね」

復活を遂げたナックルカーブと、その相乗効果でメジャー屈指の投手として覚醒したダルビッシュ。さらに今年、新たに挑戦したい球種があると語っていた。

ダルビッシュ:「今、僕がやりたいなって思っているのは、ストレートをちょっとシュートさせて、フェードみたいな感じで伸びる(ボール)。今、ストレートの被打率が低い人たちは、ちょっとシュート気味で伸びている人が多いんですよね。ストレートよりはちょっと曲がるくらい。要するに高速シュートとまっすぐの間くらい。僕は『フェードのストレート』って言っているんですけど

このとき明かした“フェードのストレート”は今シーズン、ダルビッシュの新たな武器として威力を発揮。最多勝のタイトル獲得に大いに役立った。

そして、日本人初となるサイ・ヤング賞の可能性については…。

ダルビッシュ:「2013、2014年ごろ、記者の方にサイ・ヤング賞獲得の可能性があると言われたんですけど、そのとき僕、『周りの評価と自分の評価が一致していない』とずっと言っていて。でも今は自分の評価は高いので、今のほうが可能性はあるのではないかなと思っています。あきらめずに日々を過ごしてきたので、今があるのかなとは思います」

“No.1のピッチャー”を目指し、挑んだ世界最高峰の舞台。妻・聖子さんの涙が大きなきっかけとなり、進化を遂げた今、はたしてサイ・ヤング賞の称号は?

番組情報:『GET SPORTS

毎週日曜日夜25時30分より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)

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