五輪延期で“熟成”が進む!東京2020の表彰状をつくる和紙職人「来年を楽しみにしてください」
テニスの現役を退いてから、“応援”することを生きがいにしている松岡修造。
現在は東京オリンピック・パラリンピックに向けて頑張る人たちを、「松岡修造の2020みんなできる宣言」と題して応援している。
今回修造が訪れたのは、岐阜県美濃市。
昔ながらの趣を残すこの街では、東京2020で使用される表彰状が作られている。オリンピック・パラリンピックでは、3位の選手に与えられるメダルのほかに、8位までの選手に表彰状が贈られるのだ。
東京2020の表彰状に採用された美濃市の「美濃手すき和紙」は、1300年以上の歴史を誇り、現在は40人ほどの職人たちが伝統を引き継いでいる。
「ずっと守ってきた美濃手すき和紙の技術が認められたということで、非常にうれしかったですね」と語るのは、職人の鈴木竹久さん。
伝統の技を活かした制作工程を特別に見せてもらった。
◆職人の繊細な技術が光る和紙づくり
美濃手すき和紙の原料は、「コウゾ」と呼ばれる植物で、その表面を削って使う。この原料を美濃市の豊富で綺麗な水にさらし、余分なちりなどを洗い流す。
そして炭酸ナトリウムとともに2時間煮込み、繊維を柔らかくしていく。柔らかくした繊維から取りきれていないちりなどは、職人が一つひとつ丁寧に取り除いていく。
鈴木さんはこの作業が非常に大事だという。ミリ単位の小さなちりも、取りこぼしのないように2度繰り返し行う。
そして、紙すき。特徴は、縦横に動かして紙をすくこと。こうすることで繊維が均一に整い、丈夫で美しい仕上がりになる。まさに職人の繊細な技術があってこそだ。
その後、乾燥させてようやく1枚の和紙が完成。ここまで10日近くの時間がかかるという。東京2020に向けて作られたのは、実に1万7600枚。
修造:「これはメダルと同じぐらいの…選手にとっては“重さ”があると思いますよ」
鈴木さん:「洋紙の場合は表面がツルツルしていますよね。和紙の場合、直接触ったときにやっぱり繊維そのものが出ています。少し感触が違う。その違いを肌で感じていただけるとうれしいですね」
◆1年の延期が和紙を熟成させる
残念ながら新型コロナウイルスの影響で東京2020は延期になってしまったが、鈴木さんは意外な言葉を口にする。
「この和紙は時間がたてばたつほど熟成されて、書きやすく、よい品質になります。逆によかったかもしれません」
できたての和紙と1年経った和紙の表面をよく見ると、時間がたった方が表面の毛羽立ちが落ち着いて見える。
実際に両方の和紙を書き比べた修造は、1年経過したほうを「何か字が躍っています!いや~すごい!」と称賛した。
鈴木さんもすかさず「来年を楽しみにしてください。よい物をお渡しできると思います」と自信を口にする。
1年の熟成期間を得た、美濃手すき和紙で東京2020を見据える鈴木竹久さん。彼のできる宣言は「職人が思いを込めた美濃手すき和紙で世界のアスリートを称えたい」。
修造が「美濃手すき和紙ならできる!」とエールを送ると、鈴木さんも「できる!」とエールに力強く応えた。
※番組情報:『TOKYO応援宣言』
毎週日曜あさ『サンデーLIVE!!』(午前5:50~)内で放送、「松岡修造の2020みんなできる宣言」も好評放送中、テレビ朝日系