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「笑われても『200勝したい』って…」40歳の開幕投手、ヤクルト・石川雅規の“決意と挑戦”

6月19日(金)に行われたプロ野球開幕戦。

東京ヤクルトスワローズの先発マウンドに立ったのは、石川雅規40歳。史上5人目となる40代での開幕投手をつとめ、5回3失点と先発の役割をはたした。

石川はなぜこの歳になっても、第一線で投げ続けられるのか。

6月21日(日)深夜に放送したテレビ朝日のスポーツ情報番組『GET SPORTS』では、40歳とは思えない石川の思考と、投球を変えた“ある秘密”に、テレビ朝日アナウンサー・三上大樹が迫った。

◆「まだまだ野球がうまくなる」

2001年、青山学院大学から自由獲得枠でヤクルトに入団。身長は167センチと、同期のなかでひと際小柄だった石川。

入団会見で「小さな大投手」を目指すと誓うと、プロ1年目は初先発で初勝利を飾るなど12勝をマークし、新人王を獲得した。

その後は大きな怪我もなく、入団から5年連続2ケタ勝利を挙げ、2011年に100勝を達成。プロ18年目の昨シーズンも、勝ち星はチームトップ。

ストレートは140キロに満たないが、多彩な変化球を使って、打者のタイミングを外す巧みな投球術で、現役最多の通算171勝を積み上げてきた。

1月の自主トレでも、40歳で迎える新たなシーズンに備え、激しい筋力トレーニングなどで自らを追い込む石川の姿があった。

僕の根本には大きい人に負けたくないという気持ちがあるので、そういう気持ちがなくなったら、僕はプレーヤーとして終わりかなと思います。まだまだ野球がうまくなると信じていますし、選手である以上、まだまだ全盛期はこれから先にあると信じてやっているので

「まだまだ、うまくなりたい」40歳になっても常に進化を求め続ける男は、投球の際にも“ある工夫”をしているという。

三上:「昨シーズン、1球1球投げる場所を変えるなど、さまざまな取り組みをしていた印象があるんですけど?」
石川:「使えるものはすべて使いたいという思いがあるので、プレートひとつとっても。プレートに足が端っこでもかかっていれば投げていいんですけど、だったら一球ずつ変えてもダメというルールはないわけで…」

2019年6月5日(水)、日本ハムとの交流戦に先発した石川は、序盤から凡打の山を築き、8回3安打無失点でシーズン2勝目を挙げた。

石川が話していたのは、1回の近藤健介に対する場面でのこと。

プレートを踏む足の位置に注目すると、1球目は三塁側寄りに足を置いていた。2球目は一塁側寄りに。さらに3球目は、再び三塁側寄りに。そして最後は一塁側を踏んで三振に抑えた。

ひとりのバッターに対し、何度もプレートを踏む位置を変えていたのだ。

この効果について、現役時代に石川とバッテリーを組んでいたテレビ朝日野球解説の古田敦也は、次のように語る。

「いろんなところから投げるとボールの角度が変わります。同じスライダーでも曲がりの幅も違いますし、ひとつの球種でいろんな角度がつけられる。バッターからすると打ちづらい、ということです」

プレートの踏む位置を1球ずつ変えると、ボールを離す手の位置も変わってくる。すると、同じ球種でも投げるボールの角度が変わり、バッターの目線を変えることができるのだ。

ただ、プレートを踏む軸足の位置を変えることで、踏み出した足の位置も変わってしまうため、多くのピッチャーは投げづらさを感じる。それゆえ、石川のようにプレートの位置を1球1球変えるピッチャーは少ないという。

古田:「石川は若い頃から探求心があって、抑えるために何が必要かを常に考えている。ゆっくり投げてみたりタイミングを変えてみたり。その究極として行きついた結果が、この誰もができないプレートの踏む位置を変えるという方法。すごいなと思います、やるなぁと。その手があったかと」

石川:「まだまだうまくなるためには、まずはやってみようという思いです。怖さよりも『どうなるんだろう』という興味のほうがありますね」

◆「密かに200勝を狙っている」

40歳になっても「うまくなりたい」。その思いは、ある出来事も後押ししていた。

2019年、石川とともにヤクルトを支えてきた1歳下の後輩、館山昌平が引退。その引退セレモニーで館山は、「プロ入り前から石川さんの背中をずっと追いかけてきました。これからもチームの選手の、後輩たちの高い目標でい続けてください」という言葉を残していた。

石川はこの言葉に涙を流すとともに、ある決心を固める。

石川:「後輩が辞めていく分を背負ってやっていかなければいけないと。僕も1年でも長くという思いを後輩たちの思いを含めて、やっていきたいなと思います」
三上:「あの涙は石川投手を後押しする?」
石川:「苦しいときに、もう一歩踏み出せる力になると思います。密かに200勝を狙っているので

「200勝」それは幾多の名投手のなかでも、達成できた者は数えるほどしかいない金字塔。現在171勝の石川は、その目標に向かっても着実に歩んでいる。

200勝はとてつもなく大きな夢です。でも自分で限界を作らなかったらチャレンジできる夢だと思うので、笑われても『200勝したい』って口に出していきたいと思います」と決意を語った。

番組情報:『GET SPORTS

毎週日曜日夜25時30分より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)