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北原里英、アイドルを辞めるか新潟に行くか…「AKB48として一番悩んでいた時期」に訪れた選択

2008年、AKB48の選抜メンバー入りをして以降、AKB48の活動だけでなく、映画『ジョーカーゲーム』で初主演もはたし、女優としても注目を集めるが、そんな多忙な日々のなか、挫折を味わったことも…。

◆初主演映画の一番の思い出はカエル?

もともと女優志望だった北原さんは、2012年に映画『グラッフリーター刀牙(トキ)』で映画初出演をはたし、同年、映画『ジョーカーゲーム』で初主演を飾る。

-AKB48で活動しながらドラマや映画の仕事をされるというのはいかがでした?-

「外で仕事をすると、逆にすごくAKB48のことも好きになれるんです。AKB48に戻ってきたときに安心するので。『帰る場所があるって、なんてすてきなんだ』と思えました。

外で、今までできなかったお仕事も経験できて、それで帰ってきたときに、あらためて仲間の大切さを知るという感じで。すごくいい経験になりました」

-今は卒業されていますが、元AKBの北原里英さんと言われることについてはどのように感じていますか?-

「私はまったく抵抗がないです。元AKB48だということに、すごく誇りをもっているので、現場でAKB48のことを聞かれるのも、別にいやではないです」

-2012年に『ジョーカーゲーム』で映画初主演されましたが、映画の主演と聞かされたときはいかがでした?-

「ものすごく緊張しました。映画に出られることはもちろんうれしかったですけど、主演と聞いて、『主演だ、よっしゃー!』みたいな感じで喜べる余裕はなかったですね(笑)」

※映画『ジョーカーゲーム』
政府が「義務教育延長法」施行。人間力を高めるという名目のもと、導入された命がけのゲームをテストするために、赤沢千夏(北原里英)のクラスが参加者に選出され、生徒30人が死闘を繰り広げることに…。

-『ジョーカーゲーム』も結構過酷な役でしたね-

「たしかに過酷な役ではありました。でも、もともとこういったシリアスな雰囲気の映画がすごく好きなので、自分が挑戦できるということは素直にうれしかったです」

-撮影中で印象に残っていることはありますか-

「同世代の俳優さんたちと学園もので、あんなに大人数一緒に、というのははじめてだったので、皆さんの仕事に取り組む姿勢を見て、すごく勉強させていただきました。

でも、一番印象に残っているのは、田舎の山のなかで撮影しているときに、ものすごく大きなカエルがいたんですよ。カエルとか虫がダメなので、『こんなにでかいカエルがこの世にいるんだ』ってビックリして…。よっぽど衝撃的だったんでしょうね。それが一番の印象深い思い出です(笑)」

◆アイドルをやめるか、新潟に行くか…

2008年にAKB48の選抜メンバーに選ばれて以降、選抜常連となっていた北原さんだが、その後、選抜落ちを経験、シングル選抜からも外れてしまうこともあった。

「AKB48として一番悩んでいた時期でした。今後どうしていくか考えていたときだったんですけど、突然、園子温監督のドラマ『みんな!エスパーだよ!番外編~エスパー、都へ行く~』(テレビ東京系)の話が来て…。

園監督の作品のファンだったので、本当にうれしかったです。現場がすごく刺激的で楽しくて、『やっぱり私はお芝居がしたい。こんなに何年もAKB48をやってきたからここでやめるのはもったいないと思っていたけど、このタイミングで卒業して女優をやりたい!』と、一度は卒業を決意したんです。ですが、ちょうどそのときに新潟に行く話が来たんです」

-いきなり新潟へと言われたのですか-

「そうです。でも、人事異動みたいなものなので。AKB48グループをやめるか新潟に行くかで悩みましたけど、本当に行って良かったなぁと思います。

愛知出身なんですけど、今では新潟も同じくらい詳しくなりましたし、周りからは『僕、愛知出身なんです』って言われるよりも、『新潟出身なんですよ』って言われることのほうが多かったりします。

それだけすごく特別な土地が、故郷以外にできたことがすごくうれしいです」

NGT48に移籍した北原さんは、発足メンバーとして後進の育成にも貢献。並行して女優としても活躍の場を広げ、念願の監督たちとのタッグも実現する。

◆憧れの監督との撮影現場は過酷で…

2018年4月、北原さんはAKB48グループを卒業。本格的に女優として専念することに。念願の白石和彌監督の映画『サニー/32』で主演もはたすが、それはかつてない過酷な撮影だったという。

「もともとは秋元(康)先生がラジオ番組のなかで、『北原主演映画やろう』みたいなことを言ってくださって、『どんな映画が好きなの?どんな映画に出たいの?』って聞かれたんです。

ちょうど白石監督の映画『凶悪』を見て感銘を受けたあとだったので、それを伝えたんですけど、まさか本当に白石監督ご本人に話をしてくださるとは思わなかったのでビックリしました。

企画が決まってから実現するまで2年ぐらいかかったんですけど、NGT48に移籍、総選挙で選抜に復活、卒業を発表するという激動の2年間でした」

※映画『サニー/32』
中学校の教師・藤井赤理(北原里英)は24歳の誕生日、2人組の男たちに誘拐・監禁されてしまう。男たちは、かつて「小学生による同級生殺害事件」を起こし、「犯罪史上、最もかわいい殺人犯」とネットなどで神格化された少女“サニー”の狂信的な信奉者だった…。

-かなり衝撃的なシーンもありますが、雪のなかでの撮影は大変だったのでは?-

「撮影は本当に大変で、凍え死ぬかと何回も思いました(笑)。人生で一番寒かったです。一応見えない所には貼るカイロを仕込んだんですけど、寒すぎるところだとカイロも効かないんですよね」

-それに周りには誰もいなくて、ひとりだけという感じでしたね-

「はい。あの状況はつらかったです。カメラもスタッフさんもみんな遠く離れていて、たったひとり。それにまっさらな雪の上でというシーンだったので、NGを出して足跡をつけちゃうわけにもいかなくて、一発勝負だったんですけど、私が本当に力尽きて倒れ込むまでカットがかからなくて。

しかも、みんな遠く離れているので、私のところに助けに来てくれるのにも、すごく時間がかかって…。

そのときに、自分の長靴を脱いで貸してくれたプロデューサーさんが神様に見えました(笑)」

-白石監督は何か言っていました?-

「やっとの思いで戻って来たときに、白石監督に『ごめんね~』と謝られました(笑)」

-あのシーンは本当に緊迫感がありました-

「暗くて本当に怖かったです。雪が2mぐらい積もっていて、自分が立っている雪の下が道なのかどうかもわからない状態だったんです。

『この雪の下は本当に大丈夫ですかね?枝とかないですか?』って聞いたら、『1週間前にロケハンに来たときは大丈夫でした』っていう感じで(笑)。でも、そういう経験もほかではなかなかできないので、今後の女優業にはすごい糧になったのではないかと思います」

-『凶悪』のリリー・フランキーさんとピエール瀧さんとの共演は?-

「本当にすごい夢のような現場で、はじめておふたりの2ショットを見たときは、こっそりテンションが上がりました(笑)。『サニー/32』のDVDは私の棺桶に入れてほしいと思っています。

『サニー/32』だけは、はじめて何回も劇場に見に行きました。初号試写で見て、そのあと自分でもチケットを買って、ドキドキしながら2、3回映画館に足を運びました」

-よくあそこまで体当たりで頑張りましたね。女優としての本気度を感じました-

「ありがとうございます。2年越しにこんなに褒めてもらえるなんてうれしいです」

-神格化されてネットアイドルのようになっていくサニーは、北原さんとオーバーラップする部分がありますね-

「それこそまさに白石監督が描くアイドル映画だなと思いました。白石監督は、『アイドル映画を撮ります』とおっしゃっていたんですけど、単にアイドルをしている子のアイドル映画を撮るんじゃなくて、偶像化されてアイドルになっていく。

それもサニーは小学生のときに同級生を殺した殺人犯ですからね。ああいう形でアイドル映画を撮るというのが、すごいですよね。さすがだと思いました」

AKB48グループ卒業後すぐに、映画『爆裂魔神少女 バーストマシンガール』に出演。腹部に不気味な頭部だけの姉が生息しているという異色の姿で殺し屋・橘キキョウを演じた。

-血生臭いシーンがたくさんありましたが、特撮シーンが多いので、撮影時にはどういう映像になるのかわからなかったのでは?-

「はい。まったくイメージできなかったです。でも、あれは完成した映画がすさまじくおもしろくて(笑)」

-北原さんのお腹(なか)のところに双子の姉の不気味な顔だけがあるというすごい姿でした-

「あれはすごいですよね。小林勇貴監督も以前から大好きで、『卒業したら小林勇貴監督と映画の現場でご一緒したい』と思っていたんですけど、その夢が早々にかなった作品なので思い入れがあります」

-園子温監督、白石和彌監督、小林勇貴監督…わりとコアな趣味でユニークですね-

「たしかに、あまり誰ともかぶらないかもしれませんね(笑)」

2018年7月には、つかこうへいさんの名作舞台「『新・幕末純情伝』FAKE NEWS」で舞台初主演。主演映画『映画 としまえん』も公開され、女優として活動の場を広げていく。

次回後編では、舞台「『新・幕末純情伝』FAKE NEWS」、『映画 としまえん』、公開中の映画『HERO~2020~』の撮影裏話、「STAY HOME」の日々を紹介。(津島令子)

(C)HERO~2020~製作委員会

※映画「『HERO』~2020~」シネ・リーブル池袋ほかにて公開中
配給:ベストブレーン
監督:西条みつとし
出演:廣瀬智紀、北原里英、小松準弥、松尾諭、斎藤工(友情出演)ほか
2年間限定の約束ではじまった広樹(廣瀬智紀)と浅美(北原里英)の恋。広樹には、2年しか付き合うことができない“秘密”が…。

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