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金田明夫、自分と内藤剛志は「“一般参加ランナー”から這い上がった役者」35年前、誓い合った気仙沼の夜

©テレビ朝日

1977年、「演劇集団円」の会員に昇格し、多くの舞台に出演してきた金田明夫さん。1980年代に入ると映像作品にも活躍の場を広げ、多くのテレビドラマや映画に出演。そして、1995年、41歳のときに金田さんは『3年B組金八先生』(TBS系)に北尚明役でレギュラー出演することになり、武田鉄矢さん演じる主人公・金八先生にいつも口うるさく注意する社会科の先生を演じて注目を集め、同シリーズに2011年まで出演。テレビドラマの出演が多くなっていく。

©テレビ朝日

◆35年前、内藤剛志さんと「食える俳優になろうぜ」と誓った夜

「金八先生をやっていたときにもプールの監視員のバイトをしていたんですけど、『あらっ?』なんて言われるときがあったりしましたね。

その頃には、僕はプールの監視員のなかでも結構偉くなっちゃっていたから、親分みたいな感じでね。みんなに監視員のやりかたを教えたり、育てたりするという感じで、ほとんど現場には出ていなかったですけどね」

-金八先生の金田さん、すごく印象的でした-

「そうですよね、今思うと。ありがたいことに僕は長く続くドラマに出演できているんですよ。金八先生も6年間続きましたしね。今も『科捜研の女』(テレビ朝日系)は、7、8年やらせていただいていますし、『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系)に至っては、土曜ワイド劇場の2時間ドラマの時代からいうと、もう約10年間やっているんですよ。土曜ワイドで5本やって、そのあとレギュラードラマになったので」

-『警視庁・捜査一課長』がレギュラー枠になると聞いたときにはいかがでした?-

「レギュラードラマとしては2013年から『科捜研の女』に出ていますけど、僕のなかでは先に土曜ワイド劇場で内藤剛志さんと『警視庁・捜査一課長』をやっていて、3本目くらいのときに『科捜研の女』のレギュラーに入ったんですよ。

それで、科捜研をやっているうちに、『警視庁・捜査一課長』がレギュラードラマになって。ありがたいことだけど、結構“決死の覚悟”ですよ。

2時間ドラマで1年に1本やるんじゃなくて、レギュラー時間帯でやるということは、それなりに要求されるものが高くなってくるわけで、それに応えられない場合は、2時間ドラマの方すらなくなるんじゃないかという“決死の覚悟”で、内藤剛志さんと斉藤由貴ちゃんと僕と3人で臨んだ覚えがあります」

-好視聴率でシリーズ化されたときには?-

「『やったー!』っていう感じでうれしかったです。内藤さんを20代の若いときから知っているんですよ。

僕よりひとつ年下だけど、内藤さんが初めて連ドラの主役をやることになった作品だったので、彼のそのひたむきなストイックに主役道を貫いている姿を見ていると、『これは絶対に成功させたい』っていう、そういう気持ちで作りました」

-35年ほど前には地方ロケで同じ部屋に泊まったことが思い出だそうですね-

「そうそう。大昔、気仙沼ロケでそういうこともありましたね。まだ2人とも20代でね。水谷豊さんが主役の作品だったんですけど、夜語った覚えがありますよ、『演技とは…』とか、『役者で食えるようになりたい』みたいなことをね(笑)」

-そのお2人が共演されていて、金田さんは内藤さん演じる大岩捜査一課長の右腕ともいうべき小山田管理官役ですが-

「ありがたいことですよね。何とか生き残ってるんですね(笑)。内藤さんも僕も、お互いに『一般参加ランナー』から這い上がった役者ですからね。

内藤さんがドーンと出世していって、僕も徐々に食べられるようになって…。地道にコツコツやってきた役者がいい役をつかめるというのはすばらしいことだと思いますよ」

-小山田管理官の派手なネクタイも毎回楽しみです-

「ネクタイね、そうなんです。あれは面白かったです。何百人という警察官がいて、所轄の刑事がいるなかで『小山田ここにあり!』と広く知らしめるにはどうすればいいのかと役作りを考えて、『人一倍声が大きくて派手なネクタイをしている人』にしようって(笑)。

一課長は記者会見に出たりもするので、みんな一課長の顔は知っているんですよ。でも、管理官の顔は知らないじゃないですか。

それで、衣装担当の人と『ちょっと服で遊んでみましょうか』って言って、ネクタイを派手にすることにしたんです。確か、これまで1回たりとも同じネクタイをしていないはずですよ」

-すごいですね。撮影現場はいかがですか?-

「現場がとにかく楽しいんですよ。ずっとおしゃべりしていますよ。演技の話だったら24時間しゃべっていられますね。

内藤さんとはずっと撮影でも一緒なのに、2人でときどき3時間ぐらい、電話で芝居の話になっちゃったりとか、演技の話とかね。『バカだな、俺たち』って言ったら、『バカだね、何なんだろうね?』って(笑)。やっぱり2人とも演ずるということが一番面白いんですよね」

©テレビ朝日

◆声優としてひとり70役、俳優とは別の疲労感が

アニメ『スター・ウォーズ』シリーズと映画『スター・ウォーズ』シリーズのクローン・トルーパー役や映画『ベイマックス』など多くの映画やドラマに声の出演もしている金田さん。舞台で培った表現力、多種多様な声を自在に操り、声優としても定評がある。

「アニメ『スター・ウォーズ』シリーズのクローン・トルーパー役は、10年やらせていただいています。

ドラマもですけど、声の仕事も僕は1個を長くやれるので、俳優としてはすごく幸せな試みができるんです。役とともに自分も、自分とともに役も成長させていくという面白さがあったので」

-『スター・ウォーズ』シリーズでは何十もの役をされていましたね-

「そうなんですよ。クローン・トルーパーというのは、『スター・ウォーズ』の兵隊ですが、ひとりの遺伝子のクローンで大量に兵隊を作り出しているので、全部で70役くらいのクローンをやりましたね」

-70もですか?それはすごいですね-

「でも、あれはクローンなので、全部僕なんです。ただ、キャラクターをちょっとやさぐれた男にするか、律儀(りちぎ)な男にするか、気の弱い男にするか…というようなキャラクターの色付けはしておくんだけれども、基本は僕の声ですからね」

-海外のドラマは1シーズンの本数が多いですものね。金田さんは『ベイマックス』の教授の声も印象的でした-

「そう、先生をやりました。あれも面白かったですね」

-色々な作品の声優もされていますが、最初に声のお仕事をされたのは?-

「声の仕事を担当しているマネージャーさんに、『金田さん、やってみます?』って聞かれて。『やらないよ』って言う人もいるんだけど、僕は何でも興味があるから『やるよ』って言って始まったんですよね」

-声のお仕事は実際されてみていかがですか-

「大変ですね。人の動きに声を合わせなきゃいけないっていうのは。声の芝居だから創造的なものがないので。ある意味非常に技術というものが必要になるのと、あとそこに魂を入れるっていうのが難しい。

いま色々やられている方々は、『すごいなあ、すばらしいなぁ』って思います。それをちゃんとやれるというのは。僕なんか下手っぴだから、口を合わせたりというのとか、いろんなことが大変なんですけどね(笑)」

-疲労感は声だけのお仕事の方がありますか-

「違う疲れが出るんですよね。全身を使うのではなくて声だけなので、また違う疲れがあって、からだバリバリに凝っちゃうことがありますから。

台本を持って、1日中マイクの前に立って同じ姿勢でやっていますからね。でも、面白いですけどね」

-幅広くいろいろやられていますね-

「そうですね。何か自分で制限するよりは、『何でもやろうよ』っていう感じです。何でもやっているなかで、ひと様が『これを金田にやらせたい』っていうものが生まれてくるんじゃないかなって。

だから、あまり自分からこれをやらない、あれもやらないというよりは、そこはもうお話をいただければ、それをやらせていただくというスタンスです。

あくまでも俳優って受け身じゃないですか。自分からアクションはできないですね。リアクションの世界なので」

-昔は全部お芝居もきっちり固めて現場に行かれていたそうですね-

「そういう時期もありました。45年間も芝居をやっていれば、いろんな時期があるので。何も考えないでやったときや、全部作っていくという面白さとか…。

それがだんだんだんだん回っていって、年をとっていくんだろうなあって思いますね。ありがたいことに俳優はスポーツ選手と違って、この年齢じゃなきゃできないというものではないですからね。

この年齢になると、これはできないけれど、今度はそれまでできなかったことが60歳をむかえたりすると、できるようになるというのがあるので、すごくうれしいですよね」

-お仕事が本当にお好きでストレス解消は演技をしていることだとおっしゃっていましたね-

「そうですね。だからいつも格好悪いのは、『趣味は?』って聞かれるとないんですよね。だって、何かを集めたり、ゴルフでもっていうくらいだったら芝居のことを考えている方が面白い。まあ、芝居は英語でプレイっていうぐらいだから、一番面白い遊びをしているんじゃないですかね(笑)」

演技に対する熱い思いが伝わって来る。次回後編では、17歳で亡くなった愛犬、映画『いつくしみふかき』の撮影裏話を紹介。(津島令子)

※映画『いつくしみふかき』全国順次公開
配給・宣伝:渋谷プロダクション
監督:大山晃一郎
出演:渡辺いっけい 遠山雄 平栗あつみ こいけけいこ 三浦浩一 眞島秀和 塚本高史 金田明夫
30年前、妻の出産中に妻の実家に盗みに入った広志(渡辺いっけい)は、悪魔として村を追い出された。その時生まれた息子・進一(遠山雄)は、仕事も長続きしない何もできない男になっていた。そんなある日、村で連続空き巣事件が発生し…。

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